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2018年9月の記事

2018年9月27日 (木)

gifted/ギフテッド

★★★★

製作:2017年 米国 上映時間:101分 監督:マーク・ウェブ

  ギフテッドとは、先天的に、かなり顕著に高度な知的能力を持っている人、またはその能力のことを指す。またアメリカ教育省は、「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した才能を持つ子供のことである。」と定義している。そしてその高度な知的能力は、誕生から死去するまで生涯にわたって見られるという。

 それにしても凄い映画だ。オープニングからエンディングまで息つく暇もなく緊張感が続くので、全く退屈することもなくあっという間にエンディングクレジットが流れてしまったという感がある。
 7歳の天才少女メアリーを巡って、叔父のフランクと祖母のエブリンが裁判所で戦うことになる。エブリンの言い分は「メアリーに豊かな生活を保障し、その特殊才能をさらに開花させてノーベル賞を受賞させる」と言うもの。一方のフランクは、たとえ貧しくともメアリーを超人扱いせず、普通の暮らしをさせて大勢の友人を作ってもらいたいと言うこと。
 どちらの言い分も正当性があり、裁判官たちも弁護士たちも、なかなかどちらが正しいと決められない。そんな日々が続くうち、どちらかともなく和解案が提案されることになるのだが・・・。

 メアリーのもつ能力は、若くして自殺した母親譲りなのだが、もちろんフランクもエブリンも同じDNAで繋がっている。その具体的な能力とは『トラハテンベルク速算法』という暗算法を出発点とした超・数学能力である。そしてメアリーが大学教授達の前で、その超・数学能力を発揮するシーンは圧巻だった。だが叔父のフランクに甘えるときは、ただの可愛い7歳の少女なのだ。
 この天才少女メアリーを演じたのは、これまたダコタ・ファニングの再来のような天才子役のマッケナ・グレイスである。とにかく超可愛いし演技力も抜群、将来が楽しみなのだ。
 さらに他のキャスト達も、フランクを演じたクリス・エヴァンス、エブリン役のリンゼイ・ダンカンをはじめとして、個性的で存在感のある俳優たちが揃っていて文句のつけようがない。『特殊能力』の話と言えば、SF作品のようだが、本作はあくまでもヒューマンドラマとして創られているので勘違いなきように。

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2018年9月22日 (土)

ブレス しあわせの呼吸

★★★★

製作:2017年 英国 上映時間:118分 監督:アンディ・サーキス

Buress
 映画プロデューサーのジョナサン・カベンデュッシュが、自身の両親の実話を自ら製作し映画化が実現した作品である。また「ロード・オブ・ザ・リング」「猿の惑星」シリーズで知られるイギリスの俳優アンディ・サーキスが初めて手掛けた長編映画だという。
 
 1959年、妻・ダイアナのお腹には第一子を宿っているというのに、出張先のナイロビでポリオに感染し、首から下が動かなくなり、人工呼吸器に頼るだけの状態になってしまうロビン・・・。その後長男が生まれるのだが、絶望の淵で喘ぎ続けるロビン・・・。
 だが死を覚悟しダイアナの協力を得て、無理矢理人工呼吸器をつけたまま退院してしまうのである。病院長には無理に退院しても、2週間位しか持たないと止められていた。だがなんとロビンはダイアナの必死の看護と、自ら発明した特殊車椅子のお蔭で、その後10年以上も前向きに生き延びるのである。

 実を言うと難病を背負った患者のラブストーリーは、だいぶ手垢にまみれているし私自身は、この手のテーマ作品はなるべく避けていたのである。だが今回この作品を観てみる気になったのは、まずネットでの評価が高かったこと、そして実話に基づいた話だったからである。

 結論はネットでの高評通り、なかなか素晴らしい作品に仕上がっていた。単なる難病ラブストーリーではなく、特殊車椅子の発明という事業も絡ませているし、難病を患いながらも前向きに明るく振る舞うロビンたちにも感動した。
 また音楽も悪くないし映像も美しく、俳優たちも全力を尽くしているし、何度も感動の涙に濡れてしまった。

 ただ綺麗ごとばかりが描かれている感があり偽善的な臭いがしたこと。ダイアナの実家が富豪で支援があったのか、余り生活感が感じられなかったところが少し残念であった。とは言え全般的には完成度の高い作品であり、是非一度鑑賞されることを薦めたい。

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2018年9月15日 (土)

万引き家族

★★★☆

製作:2018年日本 上映時間:120分 監督:是枝裕和

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 リリー・フランキーの夫に対して安藤サクラの妻や子供たちとは、ちょっと年齢が離れ過ぎているよね。・・・なんて考えていたのだけれど、本作を鑑賞してその理由が分かった。
 つまり何か変な祖母だと思っていた樹木希林や、安藤サクラの妹なのかなと考えていた松岡茉優も含めて全員が、赤の他人だったという結末なのである。それを言っちゃあネタバレじゃないのと、叱られてしまいそうだが、それを言わなければこの映画に対するコメントは何も書けないのだから仕方がない。
 
 赤の他人同士なのだが、皆それぞれが『深い心の傷』を背負っており、誰かと寄り添って生きてゆきたいという裏願望を持っている。だから赤の他人同士が家族を装って一緒に暮らしているのだろう。
 本作はタイトルの万引きだけではなく、児童虐待・殺人・独居老人などの社会問題にメスを入れている群像劇とも言える。従って本来はとても暗くて陰湿なドラマになりそうなのだが、出演者の多くがおとぼけ風味を身上とする役者さんで固められているためか、以外に明るく楽しく鑑賞することができた。多分そのあたりは、是枝マジックによる味付けなのかもしれない。

 さて本作では『三度目の殺人』で描き切れなかった『法律的な悪と実質的な善』という矛盾したテーマを再提出し、もう砕いて分かり易く描くつもりだったのであろうか。だが分かり易くなったものの、やはり結論は出せずに尻切れトンボ的な終わり方でお茶を濁しているようであった。
 本来はテアトル新宿あたりでの単館上映になりそうな作品なのだが、カンヌ最高賞の受賞によりメジャーなシネコンなどで上映それることになったのだろうか。それなりに良い映画であることは否めないが、私自身が勝手に期待していた『感動の涙』を流すようなシーンは最後まで見ることが出来なかった。それだけが心残りだったかもしれない・・・。
 また昔どこかで同じような臭いのする映画を観たことがあると感じながら鑑賞していたのだが、それはまぎれもなく是枝監督の出世作『誰も知らない』であった。

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2018年9月 9日 (日)

三度目の殺人

★★★

製作:2017年 日本 上映時間:125分 監督:是枝裕和

 一応表向きはサスペンス映画ということになっているのだが、裏のテーマは「嘘と慣れあいに塗れた裁判制度」に対する批判という形をした社会派作品なのだろう。もしそれが日常茶飯事の事実であれば重大な問題なのだが、「稀にそうしたこともあるのだろう」程度に承知しておこうではないか。

 ストーリーの流れは、・・・真実よりも勝利に拘る弁護士・重盛(福山雅治)は、ほぼ死刑が確定している三隅(役所広司)の国選弁護人を担当することになる。このままだと死刑は免れないと考えた重盛は、なんとか無期懲役に持ち込もうと調査を開始するのだが・・・。
 映像は三隅との接見と被害者家族との会話シーンなどを映し出してゆくのだが、なんとなくもったりとした探偵ものの雰囲気に呑まれて眠たくなってしまった。結局終盤になるまで何を描きたいのかはっきりしない映画なのだ。

 決して悪い映画ではないのだが、ストーリーが分かり辛いうえに、会話もよく聞き取れないし、何と言ってもあの闇の深さは後味が良くない。なんとなく観客無視の姿勢が拭えない作品だと感じてしまったのは、私だけの錯覚なのであろうか。
 また犯人の三隅にとって本件は二度目の殺人なのだが、なぜタイトルは三度目の殺人なのかよく考えてみた。つまりあえて不利になる証言をして死刑を確定させてしまったということで、ある意味『自殺』と同じことになって、それが三度目の殺人なのであろう。そう考えるより考えようがないからである。だとすると、咲江(広瀬すず)の告白が真実だったということになるではないか。

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2018年9月 5日 (水)

レッド・スパロー

★★★★

製作:2018年 米国 上映時間:140分 監督:フランシス・ローレンス

 主演はあの『ハンガー・ゲーム』から一躍スターダムに躍り出たジェニファー・ローレンスなのだが、いつの間にか美女になりオールヌードまで披露できる演技派大女優に成長していて度肝を抜かれてしまった。またかなりエグいシーンが多発するのだが、異色のスパイ映画としてかなり見応えのある作品に仕上がっていたと思う。
 
 ボリショイバレエで人気沸騰中だったドミニカ(ジェニファー・ローレンス)だったが、バレエの舞台中に起きた事故で脚に大怪我をして引退を余儀なくされてしまう。そして病状の母を養うために、スパイ組織で働く叔父の奨めでやむなくスパイ養成所に入所するのであった。
 そんな経緯でスパイとして育てられたドミニカだが、養成所を卒業して今度は米国のスパイと接触することになる。彼女の任務はロシアのスパイでありながら、CIAにロシア側の情報を流し続けている人物の正体を探ることであった。

 それにしても養成所の訓練が、女性を辱めるような異常な売春婦訓練ばかりなのは極端過ぎないだろうか。まあ「米国から見たロシアという国家の異常さ」を分かり易く表現しているのだと考えれば良いのかもしれないが、ちょっとやり過ぎのような気がする。
 ロシア独特の陰湿な雰囲気が漂い、スパイ同士の騙し合いとどんでん返しが続くので、よく観ていないと理解不能に陥るので要注意である。いずれにせよこの作品を鑑賞するには、アクションより心理戦に力点を置いた作品であることを承知しておく必要があることは間違いないだろう。

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