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2018年8月の記事

2018年8月31日 (金)

ベイビー・ドライバー

★★★★

製作:2017年 米国 上映時間:113分 監督:エドガー・ライト

 あの『キル・ビル』のタランティーノ感覚に、おバカ風味をブレンドしたアクション映画と言えば判り易いかもしれない。エドガー・ライト監督の作品は数本しか観ていないので確信している訳ではないが、その多くが本作のような作風のようである。

 オープニングからいきなり銀行強盗と派手なカーアクションがはじまる。最近は超・ド派手なカーアクションが大流行なので、それに比べれば本作のカーアクションはやや地味かもしれない。だが映像だけの超非現実なカーアクションではなく、現実的かつ天才的な運転テクニックを魅せてくれたので画面に釘付けだった。
 また主な登場人物全員が個性的で分かり易く、音楽のノリとストーリーテンポの良さにあっという間にラストまで突っ走ってしまった感がある。ことに主演のアンセル・エルゴートの、もの静かでニヒルな中にも優しさが溢れる佇まいには好感を持たざるを得ない。大失敗を演じてしまったにも拘らず、ケヴィン・スペイシー扮するボスに助けられたのもなんとなく判る気がしたね。
 それからヒロインを演じたリリー・ジェームズも超可愛いな。『シンデレラ』を演じたことのある彼女は、若く見えるけどなんとアラサーなんだね。調べてみてびっくりしてしまった。さすが女優さんだね。

 こうした作風の映画は賛否両論が戦うことが多いのだが、僕的には好みの作風なので同監督の他の作品をもっと鑑賞してみようと思った。いずれにせよ同監督作品を未見の人は、一度観てみないことには良いも悪いもないだろう。

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2018年8月25日 (土)

君の膵臓をたべたい

★★★

製作:2017年 日本 上映時間:115分 監督:月川翔

 膵臓の病を患い余命いくばくかの女子高生と、偶然病院でその秘密を知ってしまった人見知りの激しい僕との奇妙な交流を描いた学園ロマンス作品。高校時代の僕を北村匠海が演じ、母校の教師になった現在の僕を小栗旬が演じ、現在と過去の話をパラレルに紡いでゆく。

 膵臓を病むヒロイン役を演じた浜辺美波は、とても明るくて可愛い女の子なのだが、ちょっと図々しくオチャラケ過ぎる態度は、現実離れしていて余り共感を呼ばないかもしれない。またラストに全く関連のない通り魔に刺されるという展開にも疑問符が沢山ついてしまうだろう。
 まあ病気が悪化して死ぬと言うのも、歴史的に手垢のつき過ぎた展開なので、ある意味でこれは逆転の発想かもしれないのだが・・・。それにしても何の脈絡もないこんな結末では、それまでの全てのシナリオをいきなりドブに捨ててしまったのと同じではないか。

 本作の主眼は「余命いくばくもない限られた人生を精一杯生きてゆく」というはずなのだが、ストーリー展開や心の葛藤の描き方が浅くて物足りないし、いろいろとつっこみどころも豊富である。だから大人達には物足りなく感じるのだが、これだけネットの評価が高いと言うことは、中・高校生たちの共感を得たと言うことかもしれない。そのあたりを理解したうえで本作を鑑賞すれば腹も立たないだろう。

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2018年8月20日 (月)

奇跡のチェックメイト

★★★☆

製作:2016年 南ア・米国 上映時間:124分 監督:ミーラー・ナーイル

 なんと14歳でチェスのウガンダ共和国代表に選ばれた、スラム街出身の少女の実話をもとに描いた感動ドラマである。ウガンダのスラム街で暮らす少女フィオナは父を亡くし、厳しい母親に兄弟たちと、トウモロコシを売りながら貧しい生活を送っていた。
 ある日弟が通うチェスクラブでチェスを知り、その魅力にはまってゆく。彼女の才能をいち早く察知したコーチの献身的な指導もあり、彼女はグングン力をつけ、とうとう国を代表するプレイヤーに育ってゆくのだった。

 よくあるサクセスストーリーなのだが、アフリカ少女とチェスのドラマというところが珍しい。またこのようなドラマは、はじめから結果がはっきり分かるのだが、それ以上にラストは清々しい気分を味わえるので文句はない。

 そして主な出演者と実際の人物を並べて紹介するエンディングも良かったね。いずれにせよ文字も読めないのに、よく頑張ってチェスのトップに昇りつめた少女も立派だが、献身的に少女を支え続けたコーチの存在があってこそだろう。いかにもウォルトディズニーの好きなストーリーに仕上がっているではないか。

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2018年8月17日 (金)

ホステージ 戦慄のテロ計画

★★★

製作:2017年 ジョージア、ロシア、ポーランド 上映時間:104分 監督:レゾ・ギジナイッシュビリ

 本作は実話を基にして製作された作品であり、背景はまだロシアがガチンコの社会主義国だった1980年代のようである。当時のソ連国民は、反体制派の取り締まりをはじめ、国境警備、海外での情報収集などを行っていたKGB(ソ連国家保安委員会)の監視下におかれていた。
 そして少しでも西側に興味を持つ発言や行動を取ると、亡命希望者と見なされて投獄またはシベリア送りにされることがあったようである。さらに亡命や国家機密の流出、西側諸国の思想の流入、外貨流出等を防ぐ事を主な理由に、個人的な海外渡航が原則的に禁止されていた。

 本作のサブタイトルは『戦慄のテロ計画 』と付され、ジャンルもアクションとなっているのだが、どちらも全くの出鱈目である。実は西側にかぶれている宣教師にそそのかされた若者たちが集団亡命を計ったのだが、結果的にアクシデントが重なり、焦った一人が発砲してしまい、罪のない乗客・乗務員数名を犠牲にした大事件に発展してしまったのである。だから決してテロリストではないのだ。また本格的なアクションシーンが豊富に描けるはずの終盤の突入シーンも一切映像化されておらず、アクションというより旧ソ連の状況と国民意識を克明に描いた社会派ドラマと言ったほうが的を得ているだろう。

 それにしても前半の50分間の眠たかったこと・・・。何度も途中で投げ出したくなったか知れない。若者たちの環境や親たちの状況を丁寧に描いているのだが、私から見ると皆同じような顔付をしているため、誰が誰なのかよく判別がつかないまま睡眠状態に導かれてしまったのである。
 もし丁寧に描くのなら、なぜ裕福な家庭に育った若者たちが亡命に走ったのか、一体何が不満だったのか、その心情を克明に描写すべきではないだろうか。とは言うものの、たぶん裕福なボンボンたちだから、現実離れした理想を求めて無理な行動に走ったのかもしれないね。
 まさに旧ソ連時代は今の北朝鮮とそっくりさんだったようだ。だが現在のロシアは、何だかんだと言っても、このような映画が製作され世界的に上映出来るようになったのだから、連邦崩壊によって大変貌したと言えるだろう。結局は実行犯の若者たちのほとんどが死刑になり、その遺骨もどこに埋められたのか分からない状況だという。もし彼等が亡命を実行せずおとなしくしていれば、現在も60代位のおじいちゃんとして平和に暮らしているのにね。まさに若気の至り、無駄死にだったようである。

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2018年8月10日 (金)

エイリアン:コヴェナント

★★★☆

製作:2017年 米国 上映時間:122分 監督:リドリー・スコット

 ネットではかなり評価が低いのだが、そんなに悪い映画ではなかった。もしかすると、リドリー・スコット監督に期待し過ぎたエイリアンファンが多かったのかもしれない。
 確かにシガニー・ウィーバーが演じたリプリーのような、強烈なイメージを発散する主役が不在だったり、エイリアンとの戦闘シーンが迫力不足だったことは否めない。だがそれだけで本作を駄作と決めつける訳にはゆかないだろう。

 本作はエイリアンとの戦いと言うよりは、人智を超えてしまったアンドロイドの恐怖がメインテーマであり、ある種の宗教的な香りが漂っているではないか。そのことはオープニングでの、博士とアンドロイドのやり取りに全てが詰まっている。
 そもそも我々は、エイリアン映画に何を求めているのだろうか。少なくとも宗教観などと言う高尚なものではなく、SFとホラーが融合したとてつもないアクション映画を期待しているのである。だとすると、本作はリドリー・スコット監督の独りよがりと言うことになってしまうのだ。
 まあそうした意味では、エイリアンシリーズは第1作と第2作で終わっていて、外伝として『エイリアンVSプレデター』が存在しているだけなのかもしれないね・・・。

 それはそれとして、今後さらに続編が数作準備されているようだ。ただそれらの続編が、エイリアンファンの思い入れとどんどんかけ離れたストーリーになってしまうのではないかと危惧しているファンも多いのではないだろうか。
 監督のライフワークとして、強烈な思い入れが臭ってくること自体は決して悪くないのだが、ファン側の思い入れを無視しては意味がない。だからこそ今後創られる続編は、是非ともファンの期待を裏切らない作品に仕上げて、有終の美を飾って欲しいのである。
 

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2018年8月 4日 (土)

きっと、いい日が待っている

★★★★

製作:2016年 デンマーク 上映時間:119分 監督:イェスパ・W・ネルスン

 本作は実話に基づいて製作されたのだが、癌に侵された母親と、頼りない叔父だけしか親族のいない13歳と10歳の兄弟が、擁護施設に預けられるところからはじまる。そこで二人は目立つ行動をとったため、いじめの標的にされたり、教員たちから体罰を受けたりするのだった。
 それで施設の先輩たちからは、出来るだけ目立たず幽霊のようにしていたほうが良いと諭されるのだが…。片足が内反足で不自由ながらも、「宇宙飛行士」を夢みる弟のエルマーはなかなか環境に馴染めない。それで兄弟揃って施設を脱出するのだが、すぐにつかまって教員たちから暴行を受けるのだった。
 
 果たしてそんな彼等に、平和で幸せな日々が訪れるのだろうか。時代背景はケネディ大統領時代の1960年代後半、場所はにコペンハーゲンの郊外にある児童養護施設である。それにしても、当時はこんな地獄のような施設が当たり前のように存在していたのだろうか。唯一の救いは、中途から入所してきた優しい女性教師だけである。

 本作は実話を参考にした社会派ドラマなのだが、暴力教師、変態教師、狂気の校長などの存在、さらに刑務所のように隔離された施設など、まるでホラー映画を観ているのではと錯覚してしまうではないか。ただそんな中でも、子役たちの的確な演技と、兄弟愛を描いた脚本が見事に絡み合って、最後まで目が離せない名作に仕上がっていたと思う。

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