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2018年5月の記事

衝動殺人 息子よ

★★★★

製作:1979年日本 上映時間:131分 監督:木下恵介

 今から40年近く昔に製作された名作であるが、ずっと観よう観ようと思いながらも、なんとなく見逃し続けていた。それをやっとTV放映されたものの録画によって鑑賞することが叶った。ただ若山富三郎が主演であることだけはしっかり承知していたのだが、監督があの『二十四の瞳』や『喜びも悲しみも幾歳月 』の木下恵介だったとは、この録画を観るまで分からなかった。

 ストーリーは、縁もゆかりもない行きずり殺人で一人息子を殺された父親が、悲しみと苦悩に明け暮れる日々を描いている。そして彼がその苦悩を拭い去るため、また息子の恨みを晴らすために、同じ境遇の遺族たちを訪ね歩き、被害者遺族の会を設立して彼等を保護する法律を作る運動を進めてゆく姿も描いてゆく。

 原作は『中央公論』で連載された長編ノンフィクション「衝動殺人」である。また父親役を好演した若山富三郎は、キネマ旬報主演男優賞・ブルーリボン賞・毎日映画コンクール・日本アカデミー賞などの主演男優賞を総なめした。さらにはこの映画が世論を動かして、『犯罪被害者給付金制度』の成立に貢献したとも言われている。

 身体が動かなくなるまで夫婦で全国を歩き回り、被害者の会をリードした姿はあの横田さん夫婦とも重なってしまうではないか。またかなり重いテーマで上映時間も長いのだが、回想シーンを多用して家族の情愛を描いているため、遺族たちの深い悲しみがひしひしと伝わってくるのだ。
 それにしても凄いキャストだ。若山富三郎、高峰秀子のほか、田中健、大竹しのぶ、田村高廣、中村玉緒、藤田まこと、近藤正臣、加藤剛、橋爪功、吉永小百合など主役級の俳優が惜しげもなく登場するのである。それはそれとして、いま観ても全く古臭くないところが名作の名作たる所以だろうか。

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日本侠客伝

★★★☆

製作:1964年 日本 上映時間:98分 監督:マキノ雅弘

 今から半世紀以上前に製作された映画であり、その後全11作も製作された日本侠客伝シリーズの原典である。主演は高倉健と中村錦之助であるが、脇を松方弘樹、津川雅彦、長門裕之、田村高広、品川隆二、大木実が固め、女優陣は三田佳子、藤純子、藤間紫、南田洋子という、今から考えると超豪華キャストなのだ。それにしても当たり前だが、全員若い、若い、若い、若いよねー!!。

 ストーリーは、深川で運送業を営む木場政組が、ライバルである沖山運送の妨害工作に悩まされているところからはじまる。そんな一触即発状況を心配して、病床に臥せっていた木場政親分だったが、無理を押して沖山運送に出向いたのが仇となり、病状をこじらせて帰らぬ人となってしまう。
 そしてそれを機に、沖山運送は汚い手を使いながらますます勢力を伸ばしてゆく。反面、木場政組はだんだん追い詰められてゆくのだが、そこに除隊した辰巳の長吉(高倉健)が木場政組に帰ってきて小頭に就任し、沖山運送に立ち向かうのであった。じゃじゃん、じゃんじゃん。

 と言ったよくある任侠パターンである。まあそれなりに面白いのだが、高倉健にしても錦之助にしても超人の如く強いわけではないのだ。彼等は男気に長けていてパワーもあるのだが、独りで敵を簡単に蹴散らかすことは出来ない。ある意味で現実的な路線なのかもしれないが、そのあたりにやや物足りなさを感じてしまったのは、時代の違いなのか趣味の問題なのだろうか・・・。

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自虐の詩

★★★★

製作:2007年 日本 上映時間:115分 監督:堤幸彦

 原作はなんと業田良家による4コマ漫画なのだが、4コマと言いながらもストーリー漫画風のドラマチックな展開と涙なくしては語れないお話のオンパレードだった。
 これを映画化するのはかなり難しいはずだと思っていたが、阿部寛と中谷美紀のコンビがその困難を振り払い、実に素晴らしい映画として完成させてしまった気がする。また一番泣かされたのは、高校時代の親友・熊本さんとの別れと再会のシーンかもしれない。

 幸せになりたい。誰もが願うことであるが、真実の幸せとはいろいろな苦労も乗り越えた先にある平凡だがほのぼのとした人生ではないだろうか。改めて人生とは何かを考えさせられる映画であった。とにかく騙されたと思って、実際にこの映画を観てみることだ。百聞は一見にしかずである。

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無限の住人

★★★

製作:2017年 日本 上映時間:141分 監督:三池崇史

 余りにも評価が低いので、通常ならまず観ないのだが、かつて夢中になって読み込んだ漫画の映像化なので、素通りしてしまうわけには行かなかった。それにしてもかなり長い上映時間だったが、それでも全く役に立たないのだ。
 つまり一作完結の映画では、原作の面白さが全く味わえなかったのである。むしろ映画ではなく、連続テレビドラマとして製作したほうが成功したのではないだろうか。

 キムタクは殺陣が素晴らしいし、風貌や態度も原作のイメージ通りで、かなりその熱演ぶりが胸に伝わってきた。ただヒロインの凛を演じた杉咲花は私のイメージからは大きく外れていたし、天津影久役の福士蒼汰もちょっと違うような気がする。
 それに画面がやたら暗いし、喋っている言葉もよく聞き取れないのだ。つまり脚本が悪いだけではなく、ミスキャストに加えて映像・音響効果も非常に良くないのだ。

 初めはキムタクの不人気とか、原作ものによくあるいちゃもんなのかと思っていたのだが、これらが悪評の原因だったようである。せっかくの原作と、豪華キャスト陣を誇りながら、監督の責任によって悪評原因を創り出してしまったのは実に残念な気がするね。

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いぬやしき

★★★★

製作:2018年 日本 上映時間:127分 監督:佐藤信介

Inu

 原作のマンガは第一巻を読んだだけなので比較は難しいのだが、少なくとも主演の木梨憲武が、犬屋敷壱郎の役柄にぴったりはまり切っていたのは間違いないだろう。
 それにしても、あの空中戦に関しては、とうとう邦画のVFX技術もここまで来たかと驚かされるレベルに達していたような気がする。ただなんとなく『マン・オブ・スティール』の戦闘シーンを彷彿させられたし、犬屋敷壱郎の佇まいは、『中年スーパーマン左江内氏』にそっくりだったのが気になってしまった。

 ストーリー的にはストレートで分かり易く、人生物語的な流れも感じられてちょっぴり胸きゅんとなるに違いない。そして中盤までは特に中年男性の観客の心が、スカッと感に満たされるはずである。
 だが佐藤健演じるところの獅子神皓が、大量無差別殺人を繰り返すシーンが続くと、せっかくのスカッと感も吹き飛んでしまった。なんとそのくだりが、伊藤英明の『悪の教典』の殺戮シーンを観ているようで、気分が悪くなってしまったのだ。
 また謎のラストシーンは、続編を意図するものなのだろうか。そうでなければ、余り意味のないシーンのような気がするのだが…。まあ何だかんだ言っても、いずれにせよ、面白い映画であることは間違いないだろう。

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