マンチェスター・バイ・ザ・シー
★★★☆
製作:2016年 米国 上映時間:137分 監督:ケネス・ロナーガン
第89回アカデミー賞主演男優賞・脚本賞をはじめ、NY批評家協会賞やゴールデン・グローブ賞でも男優賞などを受賞している。だからという訳ではないが、前半はかなり暗くて重い感じがたちこめていた。
ストーリーは、ボストン郊外で暮らす不愛想な便利屋リーの実兄が亡くなるところからはじまる。それを機に帰郷したリーは葬儀の手配に明け暮れ、さらには16歳の甥の後見人に指定され、かつ己自身が抱えている過去のトラウマと向き合うことになってしまう。
またストーリーは真っ直ぐに進んで行くのではなく、時折過去の回想がオーバーラップして行くたびに、リーの抱えているトラウマが鮮明になってくる。といったちょっと洒落た展開手法を使っている。
さすがに各賞で男優賞を受賞しただけあってリーを演じたケイシー・アフレックの迫真の演技は大いに評価したい。ただ父親が死んでも悲しむのではなく、気味悪がるばかりで、二人の女の子を股にかけ、叔父を召使のように扱う甥っ子の性格の悪さはなぜ必要だったのか。それともあれが今どきの若者の象徴だと言いたいのだろうか。そして突然何の前触れもなく不用意に終わってしまうラストシーンは、文学的ともいえるが分かり辛いかもしれない。
このお話の中の主人公、その元妻、実兄の妻の三人は精神を病んでいて、周囲の評判も良くないのだが、実兄のジョーだけは誰に聞いてもりっぱな人間として描かれている。そして自分の息子の後見人に弟を指定して死んでいったのも、弟に息子を押し付けたのではなく、弟のトラウマを解消するための遺言だったとも考えられる。結局はりっぱなお兄ちゃんの愛情物語だったのであろうか。
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