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2018年3月の記事

2018年3月26日 (月)

日本SF名作集成1 タイムスリップの不思議

 2005年にリブリオ出版から発行された『日本SF・名作集成 全10巻 大きな活字で読みやすい本シリーズ』の第一巻である。このシリーズは活字が大きくて年配者にはとても読み易くて嬉しいのだが、残念ながらリブリオ出版が2015年に倒産してしまいこのシリーズ本も絶版になってしまった。
 私は地元の図書館で偶然本書を見つけて早速借りたのだが、選択された4作もなかなかの佳作揃いだし、とにかく文字が大きくて読み易く、遅読の私でも僅か3日で読了してしまったのである。

 その内容と寸評は次の通りである。
1)時間鉄道の夜(著者:大場 惑)
 10年に一度だけ列車が走るという、伝説の時間鉄道の謎に挑むモラトリアムな青年たちのお話。

2)竜の侍(著者:山田正紀)
 江戸末期、奥州の小藩での淡い恋物語。SFとは全く関係ないのだが、乙女心と時間の流れを巧みに描いた傑作と言える。

3)時の果の色彩(著者:梶尾真治)
 リリカル・タイムトラベル小説のご本家カジシンが描くほろ苦く切ない物語と、ユニークな時間理論が融合したラブファンタジー。

4)フライデイ(著者:谷 甲州)
 船内で冷凍睡眠を繰り返しながらも、帰還までに数十年を要する宇宙探査に志願した私が遭遇した謎の生命体との出来事。

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2018年3月21日 (水)

祈りの幕が下りる時

★★★☆

製作:2017年日本 上映時間:119分 監督:福澤克雄

Inoriq
 原作は東野圭吾の小説であるが、あの松本清張の『砂の器』のオマージュと言えるほど、その展開と雰囲気がそっくりであった。そしてあとで知ったのだが、なんと福澤監督は2004年放映、中居正広主演の日曜劇場『砂の器』で演出をしていたと言うのだ。
 さてストーリーは、主演の阿部寛演じる加賀恭一郎という刑事の身内にまつわる話なのであった。そして加賀の少年時代に失踪した母親の死と、その恋人だったと思われる男の行方と正体を追ってゆく展開に終始することになる。

 途中で何となく犯人が分かるのだが、その動機が全く分からない。つまるところ本作の見どころは、被害者探しと犯人探しに加えて動機探しが絡んだ三重構造になっているところであろうか。
 ただ松嶋菜々子演ずるヒロイン浅居博美が、どのようにして女優になり演出家にまで駆け上ったのか、その過程が全く描かれていないところが『砂の器』のように感動出来なかった原因かもしれない。時間が足りなかったと言えばそれまでだが、そこを上手くまとめるのが監督の仕事なのではないだろうか。
 
 本作は長期間上映中であり、ネットでもかなり高評価である。だが私的には今一つのめり込めず、申し訳ないが日曜サスペンス劇場程度の完成度しか感じられなかった。ただ久しぶりに見た松嶋菜々子さんは、相変わらず美しく謎めいていて素晴らしかったね。

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2018年3月15日 (木)

マンチェスター・バイ・ザ・シー

★★★☆

製作:2016年 米国 上映時間:137分 監督:ケネス・ロナーガン

 第89回アカデミー賞主演男優賞・脚本賞をはじめ、NY批評家協会賞やゴールデン・グローブ賞でも男優賞などを受賞している。だからという訳ではないが、前半はかなり暗くて重い感じがたちこめていた。

 ストーリーは、ボストン郊外で暮らす不愛想な便利屋リーの実兄が亡くなるところからはじまる。それを機に帰郷したリーは葬儀の手配に明け暮れ、さらには16歳の甥の後見人に指定され、かつ己自身が抱えている過去のトラウマと向き合うことになってしまう。
 またストーリーは真っ直ぐに進んで行くのではなく、時折過去の回想がオーバーラップして行くたびに、リーの抱えているトラウマが鮮明になってくる。といったちょっと洒落た展開手法を使っている。

 さすがに各賞で男優賞を受賞しただけあってリーを演じたケイシー・アフレックの迫真の演技は大いに評価したい。ただ父親が死んでも悲しむのではなく、気味悪がるばかりで、二人の女の子を股にかけ、叔父を召使のように扱う甥っ子の性格の悪さはなぜ必要だったのか。それともあれが今どきの若者の象徴だと言いたいのだろうか。そして突然何の前触れもなく不用意に終わってしまうラストシーンは、文学的ともいえるが分かり辛いかもしれない。

 このお話の中の主人公、その元妻、実兄の妻の三人は精神を病んでいて、周囲の評判も良くないのだが、実兄のジョーだけは誰に聞いてもりっぱな人間として描かれている。そして自分の息子の後見人に弟を指定して死んでいったのも、弟に息子を押し付けたのではなく、弟のトラウマを解消するための遺言だったとも考えられる。結局はりっぱなお兄ちゃんの愛情物語だったのであろうか。

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2018年3月 9日 (金)

スパイダーマン:ホームカミング

★★★☆

製作:2017年 米国 上映時間:133分 監督:ジョン・ワッツ

 これまでのスパイダーマンとは違って、ややコミカルな創りになっている。またアベンジャー映画の一環として、アイアンマンも登場するのだが、このあたりは従来通りの単体スパイダーマンとして製作して欲しかったとの感想も多いようだ。

 ただその昔バットマンの役を演じていたマイケル・キートンが、敵役として怪鳥スーツを身に纏ったまさに『バードマン』に成り切っていたのは面白かったね。今後の続編でもまたマイケル・キートンが出演するようである。
 そして新生スパイダーマンは、アイアンマンのトニーにプレゼントされたメカ満載の新スーツを着て活躍することになるみたいだね。これも時代の流れなのだろうか。

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2018年3月 5日 (月)

光をくれた人

★★★☆

製作:2016年 米国、豪州、NL 上映時間:133分 監督:デレク・シアンフランス

 観ていてこれは原作ものだと直感したが、やはりM・L・ステッドマンの小説「海を照らす光」が原作だった。
 第一次世界大戦から帰還したトムは、心の傷を癒すには絶好の孤島での臨時燈台守の仕事に就く。真面目な仕事ぶりを評価され、三ヵ月後には正規雇用として採用されることになる。そして契約のために町に戻ったときに、土地の名士の娘イザベルと出会い一目惚れされてしまう。

 その後文通を重ねて、二人は結婚し孤島で暮らすことになる。イザベルはすぐに妊娠するのだが、ある嵐の日に体調に異常を覚えて、流産してしまうのである。さらに二度目の妊娠をしたときも再度流産して、子供の創れない身体になってしまうのであった。

 そんなある日、島に男の死体と赤子を乗せたボートが漂流する。トムはこのことを本部に連絡しようとするのだが、この赤子は神が自分に与えたものだと思い込んでしまったイザベルは、自分たちの子供として育てたいと譲らない。はじめは拒否していたトムだったが、イザベルの気持ちが余りにも激しく抵抗できず、渋々その赤子を自分たちの子供として育てることにするのだった。

 こうした流れで、前半はややミステリアスに展開してゆく。だが後半になってトムが赤子の実母と遭遇してから、真面目なトムの激しい葛藤が始まるのだ。そしてそこからがこのヒューマンドラマの本格的な幕開けとなるのである。
 トムの葛藤、イザベルや実母の複雑な苦悩と悲しみの演技も見所であるが、赤子だった子も4歳に成長していて、いくら説得してもイザベルが本当の母親だと思い込んでいる姿がいじらしいのだ。

 全ての罪はイザベルにある。赤子はいつまでも赤子ではなく、人間なのだと言うことを忘れてしまい、結局は三人の大人と子供一人を苦しませることになってしまうからである。だがそのイザベルの我儘を許してしまったトムにも同罪であろう。そして終盤に感動のシーンが訪れ、ラストに二度目の感動シーンが用意されているのだが、もう少し派手な演出で感動シーンを飾って欲しかったかな・・・。

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