ジョゼと虎と魚たち
★★★★
製作:2003年日本 上映時間:116分 監督:犬童一心
渋谷はミニシアターが良く似合う若者の街だ。この映画を観たのはもう13年も昔になってしまったが、パルコ3にある『シネクイント』というミニシアターは、当時も若者達で熱気ムンムンの満席状況だった。
ほとんどが女性と若いカップルで、おじさん1人というのはだぶん僕一人だけだったと記憶している。その日は本作の上映最終日だというのに、この大混雑ぶりは一体何だったのであろうか。
奇妙なタイトルだが、『ジョゼ』は身障者であるヒロインの愛称であり、彼女の夢は好きな人が出来たら一番怖いもの『虎』を見ること。そして海を見て、『魚』を見ることなのであった。
主人公は、次々と女性とSEXすることが大好きな大学生という設定であるが、妻夫木聡の清々しい風貌と演技のためか、全くイヤミな男には写らないのである。
毎朝乳母車に毛布をかけて散歩する老婆に不信を持つ町の人々・・・。主人公はひょんなきっかけから、その中に歩行障害を持つ少女(ジョゼ)が乗っている事を発見するのである。
そしてジョゼの独得の話し方、表現方法、料理の上手さなどに主人公はだんだん惹かれてゆくのだが、観て居るほうも自然と感情移入してしまう不思議な魔力がある女性であった。
ラストの展開はちょっとあっけない気もしたが、主人公が彼女を連れて実家へ帰ることを中止したときから、なんとなく「その予感」があったと解釈すべきかもしれない。
エンディングで、ジョゼが台所で1人食事をつくっているシーンは、かなり切ないが、同時に現実を強く生き抜こうとする彼女の思いが伝わってきて、なんとも印象的であった。そして映画が終わったあとも、1人ぼんやりとロビーで煙草をふかし、遠い青春の記憶に浸ってしまったことを今でも覚えている。
さて本作は現在名監督になりつつある犬童一心監督の出世作なのだが、同時にベッドシーンも厭わず、ヒロインの『ジョゼ』を熱演した池脇千鶴の出世作にもなったのではないだろうか。また身体障害者の恋をテーマとした映画としては、本作より1年前に製作された韓国映画『オアシス』があるが、こちらは怒涛のような激しさを表現した問題作と言えよう。
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