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2017年9月の記事

ナミヤ雑貨店の奇蹟

★★★★

製作:2017年 日本 上映時間:129分 監督:廣木隆一

Namiya

 東野圭吾原作のファンタジー作品である。原作本はだいぶ前に購入していたのだが、読むタイミングを失って映画のほうが先になってしまった。というのは、小説を買って数日後に映画化されることを知り、先に小説を読んだら映画がつまらなくなるので、保留していたという訳なのだ。
 ナミヤ雑貨店というのは、昭和時代に開業していた駄菓子屋のような店で、西田敏行扮するところの老人が一人で店番をしていた。そしてこの店では、閉店後にシャッターの郵便受けに悩み事を投函すると、翌朝牛乳受けに返事を書いて置くというサービスもしていたのである。

 時は流れて、いつの間にか2012年になってしまった。とっくに閉店した「ナミヤ雑貨店」は風化してしまったが、まだ店だけは残ったままである。そこに侵入したのは、悪事を働いて逃げ込んできた三人の若者達であった。

 そして突然驚いたことに奇跡が起こったのである。なんとシャッターの郵便受けに、32年前からの手紙が届いたのだ。
 この『時空を超えた手紙のやり取り』という手法は、韓国映画の『イルマーレ』をリスペクトしたのだろうか。こうしたタイムスリップ系のお話は、それまで謎だった事柄が終盤になって全て繋がってきたり、どんでん返しが用意されたりするものだが、本作でもいろいろな人物を繋ぎ合わせて見事にラストシーンへ収束しているではないか。

 さてこの映画の観客には、なぜか若い女性たちが多く賑やかだった。不思議に感じて後で調べたのだが、主演の三人のひとりに山田涼介という若者がいて、なんとこれが『男性アイドルグループ・Hey! Say! JUMPのメンバー』だというのだ。結局かの女性たちは彼を観にやってきただけだったのである。
 その山田涼介君以外の二人は村上虹郎君と寛一郎君なのだが、三人ともおじさんには全く無名の俳優たちが主演を張っていたとしか思えなかった。もちろん、西田敏行をはじめ小林薫、萩原聖人、吉行和子。尾野真千子、成海璃子など、おじさんでも良く知っている俳優もかなり出演していたので、決してB級作品ではない。それにしてもあの昭和時代の雰囲気を漂わせている商店街は、今でも現存しているのだろうか。当然セットやCGも援用していると思うのだが、エンドロールで協力商店街名が流れていたので『本物』なのであろう。

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プレデター

★★★★

製作:1987年 米国 上映時間:107分 監督:ジョン・マクティアナン

 本作を観るのは二度目であるが、製作年度から30年経過した現在でも全く色褪せていないところが素晴らしい。このあとプレデターシリーズが数本創られるのだが、本作を超えるものは一本も出現していない。もちろん初回作と言うこともあるが、アーノルド・シュワルツェネッガーの存在感の大きさによることは間違いないだろう。

 ストーリーとしては、屈強な軍人ダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊が、某国のジャングルの中でゲリラたちに捕らえられた政治家を救出する任務に向かい目的を達成するのだが、姿が見えず高度な戦闘技術を持つ地球外生命体・プレデターに狙われるという展開である。

 このプレデターは身体もでかくてかなり強いのに、高度な武器を使用するため、さすがの特殊部隊も全く歯が立たない。そしてひとりふたりと殺されて、最後は隊長のダッチとの一騎打ちとなるのである。まさに人類最強の男と異星人との「何でもありの死の決闘」と言えよう。
 この映画は実はこのタイマンのラストシーンのためにある作品であり、それまでのすべての出来事は前座だったと言っても過言ではないだろう。とにかく凄い戦闘であり、全てが終わった後には安堵感と脱力感が渦巻いているようであった。そしてプレデターの蟹のような醜く恐ろしい素顔が、一生心の中に刻み込まれることになるだろう。

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ディファイアンス

★★★★

製作:2008年 米国 上映時間:136分 監督:エドワード・ズウィック

 第二次世界大戦で、シンドラー同様約1200人のユダヤ人の命を救ったと言われるビエルスキ兄弟の活躍を描いた実話映画である。ただし映画化にあたってかなりの脚色が施されているようだ。
 まずはビエルスキ兄弟の次男がズシュになっているが、実際は三男役のアザエルのほうが次男であるということ。さらにラストの戦車との戦闘シーンも、映画らしさを演出するために付け加えられたアクションである。

 また映画ではビエルスキ兄弟を英雄視して描いているが、ポーランド人から略奪することで生き延びた山賊集団とみなされている歴史的な評価もあり、一概にビエルスキ兄弟の評価を語ることは出来ないようだ。
 ただ映画としてはそこそこ良い出来であり、主演のダニエル・クレイグやリーヴ・シュレイバーをはじめとした迫真の演技と緊迫感溢れるストーリー展開は、良質なサスペンス映画として評価することが出来るだろう。それにしても終戦までの三年間も、あれだけの人数の人々が隠れおおせたのか不思議でたまらないのだが…。

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ジョゼと虎と魚たち

★★★★

製作:2003年日本 上映時間:116分 監督:犬童一心

 渋谷はミニシアターが良く似合う若者の街だ。この映画を観たのはもう13年も昔になってしまったが、パルコ3にある『シネクイント』というミニシアターは、当時も若者達で熱気ムンムンの満席状況だった。
 ほとんどが女性と若いカップルで、おじさん1人というのはだぶん僕一人だけだったと記憶している。その日は本作の上映最終日だというのに、この大混雑ぶりは一体何だったのであろうか。

 奇妙なタイトルだが、『ジョゼ』は身障者であるヒロインの愛称であり、彼女の夢は好きな人が出来たら一番怖いもの『虎』を見ること。そして海を見て、『魚』を見ることなのであった。
 主人公は、次々と女性とSEXすることが大好きな大学生という設定であるが、妻夫木聡の清々しい風貌と演技のためか、全くイヤミな男には写らないのである。

 毎朝乳母車に毛布をかけて散歩する老婆に不信を持つ町の人々・・・。主人公はひょんなきっかけから、その中に歩行障害を持つ少女(ジョゼ)が乗っている事を発見するのである。
 そしてジョゼの独得の話し方、表現方法、料理の上手さなどに主人公はだんだん惹かれてゆくのだが、観て居るほうも自然と感情移入してしまう不思議な魔力がある女性であった。

 ラストの展開はちょっとあっけない気もしたが、主人公が彼女を連れて実家へ帰ることを中止したときから、なんとなく「その予感」があったと解釈すべきかもしれない。
 エンディングで、ジョゼが台所で1人食事をつくっているシーンは、かなり切ないが、同時に現実を強く生き抜こうとする彼女の思いが伝わってきて、なんとも印象的であった。そして映画が終わったあとも、1人ぼんやりとロビーで煙草をふかし、遠い青春の記憶に浸ってしまったことを今でも覚えている。

 さて本作は現在名監督になりつつある犬童一心監督の出世作なのだが、同時にベッドシーンも厭わず、ヒロインの『ジョゼ』を熱演した池脇千鶴の出世作にもなったのではないだろうか。また身体障害者の恋をテーマとした映画としては、本作より1年前に製作された韓国映画『オアシス』があるが、こちらは怒涛のような激しさを表現した問題作と言えよう。

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ドクター・ストレンジ

★★★☆

製作:2016年 米国 上映時間:115分 監督:スコット・デリクソン

 優秀だが傲慢な脳外科医のドクター・ストレンジが、ある日自動車事故に遭い、両手が思うように動かせなくなってしまう。あらゆる高額治療を試みるのだが、両手の機能は取り戻せず、地位と名誉と金を失っただけであった。
 そんな彼は失意の中で、同じような事故に遭遇して重体だったにも拘らず、奇跡的に復活したバスケットボールの選手がいることを知る。その奇跡を生み出せるのは、ある魔術師に弟子入りして修行を繰り返すということであった。
 
 本作は『アイアンマン』や『X-メン』でお馴染みのマーベル・コミックからのチョイスであるが、主人公が外科医であることや物質世界ではなく精神世界でのバトルが中心になるというユニークさに注目したい。ビルが歪んだり縦横がチェンジしたりと、まるで『インセプション』のような映像や、暗黒の異次元世界と時間の巻き戻しなどのシーンには度肝を抜かれるだろう。
 ただこうした作品は何度も観ると飽きるため、単発ものに止めておいたほうが良いと思うのだが、なんとなくシリーズ化されそうな気配を感じたのは私だけであろうか。

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湯を沸かすほどの熱い愛

★★★☆

製作:2016年 日本 上映時間:125分 監督:中野量太

 夫の一浩(オダギリジョー)が急に蒸発し1年間、妻の双葉(宮沢りえ)は仕事に出て、娘の安澄(杉咲花)は、いじめに遭いながらも登校を続け二人で頑張ってきた。ところがある日、いつも元気な双葉がパート先でばったり倒れてしまう。そして精密検査の結果は、なんと全身にガンが転移し、余命3か月だと告知されてしまうのである。

 このままでは死に切れない双葉は、探偵を使って一浩の行方を調べあげる。そして彼の住むアパートに乗り込むのだった。なんと彼と同棲していた女は、幼い娘を残したまま蒸発していた。そんなこともあり、一浩はその日のうちに家に戻ることになるのだが、女が残していった娘も一緒であった。そして翌日から1年間休業中だった銭湯は、再開店することになるのだった。

 少女たちの演技は素晴らしいし、第40回日本アカデミー賞の「主演女優賞」を受賞した宮沢りえの演技力もりっぱであったが、見方によっては女優さんたちの演技に支えられた作品とも言えるだろう。まあ好みの問題かもしれないが、僕的には本作の脚本や演出には疑問符をつけたい。それは全体的にご都合主義的な展開と荒唐無稽な発想が、女優さんたちの熱演とぴったり絡まないからかもしれない。
 その最たる証がおちゃらけともとれるラストシーンであることは否めない。こうした社会派作品を創る場合は、もっと真面目に誠実に創って欲しかったね。

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