聖の青春
★★★☆
製作:2016年 日本 上映時間:124分 監督:森義隆
幼年時に難病を患い、それが将棋と出会うきっかけになった天才棋士・村山聖が、29歳の若さで癌に侵されて、死出の旅につくまでの物語である。また彼は同世代ながら、次々とタイトルを手中に収める羽生善治に嫉妬し、激しいライバル心を抱くのだった。
なにせ実在の人物たちの物語なので、嘘や極端な誇張は許されない。従って恋愛話もなければ、スーパーマン的な活躍も描けない。描けるのは村山聖の人となりと羽生善治との戦いだけに絞られてしまう。だから将棋好きの人にとっては、いろいろと見どころが盛り込まれているものの、将棋を知らない多くの映画ファンにとっては退屈だったかもしれない。
映画としての完成度は決して悪くはないし、村山聖役の松山ケンイチと羽生善治に扮した東出昌大の全身全霊で挑んだ役創りも見事としか言いようがない。二人とも外見や仕草もそっくりに仕上げていたし、こころの中の葛藤までをじっくりと魅せてくれたからである。
それにしても、興行成績が振るわなかったのは、『3月のライオン』のように架空のお話で、可愛い女優やラブストーリー、派手な登場人物などで彩られることがなかったためと考えられる。まあ前述した通り、実話で現存の棋士が登場していめため、限界があるのは仕方ないだろう。
それにしても将棋の世界は、昔から「静と動」、「優等生と劣等生」と、かなり対照的なライバルが多かったね。古くは関根金次郎と坂田三吉にはじまり、大山康晴と升田幸三、中原誠と米長邦雄と言った具合だ。もし村山聖が健在だったら、同じようなライバル関係が続いていたかもしれない。また奇人変人が少なくなり、コンピーターにも勝てなくなった将棋界に、きっと青嵐を巻き起こしてくれたに違いない。
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