忍びの国
★★★☆
製作:2017年日本 上映時間:125分 監督:中村義洋
原作は、『村上海賊の娘』、『のぼうの城』の和田竜である。主演は嵐の大野智くんで、主題歌を嵐が歌っている、となれば嵐ファンは必見であろう。私自身は別に嵐ファンでも何でもないが、久々の忍者ものであり、ネットの評価もまあまあだったので、近くのシネコンに出かけて観たのである。
オープニングの忍者同士の小競り合いと、大野くんと敵首領の次男との「川」という戦い方も面白かったが、どちらかといえばその後に展開する北畠具教と元家臣との殺陣シーンのほうに度肝を抜かれた。ただ北畠具教のことを知らないまま見ると、「お殿さま風情があんなに強過ぎるのは腑に落ちない」てなことになってしまうだろう。
北畠具教といえば戦国大名で公家でもあり、伊勢国司北畠家の第8代当主である。だがそれだけではなく、彼はかなり剣術に長けており、なんと塚原卜伝に剣や兵法を学び奥義の「一の太刀」を伝授されているのだ。さらには剣聖「上泉信綱」からも剣を学び、柳生宗厳や宝蔵院胤栄とも親交があったと言われている。
本作ではその北畠具教に扮した國村隼が、抜群の殺陣を披露してくれた。その中でも鴨居をぶった斬る「奥義一の太刀」を垣間見て、鳥肌が立ってしまった。さらにはその眼光、声色、動作の一つ一つに重厚なる存在感が漂っているではないか。この殺陣シーンだけでもこの映画を観る価値があると言っても過言ではないだろう。
もちろん主役の大野君の、おとぼけを交えながらのスピード感あふれるアクションもなかなか見事なものである。『るろうに剣心』を初めて観たときにも感じたのだが、最近の殺陣シーンは役者の殺陣の技術だけに頼るのではなく、巧みで美麗なVFX技術を駆使して、超人的な躍動感を創出しているところが素晴らしいのだ。この技術をなぜ『カムイ外伝』で使えなかったのかと今更ながらだが、悔しくてしようがない。
ただ残念ながら、せっかく良い役者と殺陣とアクションシーンが充実していても、ちょっとおちゃらけ過ぎではないだろうか。趣味の問題かもしれないが、私的にはもっとシリアスな演出のほうが好ましいな・・・。
また『シン・ゴジラ』同様、お国を演じた石原さとみの存在にも疑問符がついてしまった。これは多分劇中で、お国についての説明が余りなかったからかもしれない。そしてそれはやはり、2時間程度にまとめなくてはならない「映画の難しさ」なのだろうか。
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