永い言い訳
★★★☆
製作:2016年 日本 上映時間:124分 監督:西川美和
10年前に多くの映画賞を受賞したあの『ゆれる』を世に出した西川美和監督が、直木賞候補となった自らの小説を映画化した作品である。主演は『おくりびと』のもっくんこと本木雅弘で、髪結いの夫で嫌味な中年小説家幸夫を熱演している。
その幸夫が妻の旅行中に、妻のベットで愛人と情事に耽っているとき、妻はバス事故で死亡してしまう。幸夫は自分の行動を恥じるのだが、素直に贖罪することも嘆き悲しむこともできず、なかなかイライラが収まらない。
また妻と同じバスには、妻の親友も親友も乗っており、彼女も一緒にこの世を去ってしまう。その親友の夫・大宮陽一は、直情型で分かり易いトラックの運転手だが、幼い二人の子供を抱えて途方に暮れていた。
それを知った幸夫は、柄にもなくベビーシッター役を買って出て、だんだん子供たちとも親しくなってゆく。それは妻の死と不倫の罪悪感を忘れさせ、誰かに必要とされるというある種の喜びと達成感を吸収することが出来た。そして毎日深夜に帰宅する大宮よりも、子どもたちの信頼感を得ることが出来るかのようであった。
『ゆれる』もそうだったが、西川監督は男の心情を悲哀の中に皮肉を滲ませて暴いて行くのが実に巧みである。本作も本木雅弘の好演に支えられて、持ち味を十分に発揮したと思う。ただ涙を誘うシーンを割愛したのは、どうなのだろうか。
この映画はお涙頂戴などと言う軽い作品ではない!、という主張が込められているのかもしれないが、逆に自然な流れを無視してしまった感があったのも否めないだろう。ただそのあたりのさじ加減が実に難しいのだが、一般観客に対しては少し不親切かもしれない。
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