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2017年7月の記事

2017年7月17日 (月)

忍びの国

★★★☆

製作:2017年日本 上映時間:125分 監督:中村義洋

Shinobi
 原作は、『村上海賊の娘』、『のぼうの城』の和田竜である。主演は嵐の大野智くんで、主題歌を嵐が歌っている、となれば嵐ファンは必見であろう。私自身は別に嵐ファンでも何でもないが、久々の忍者ものであり、ネットの評価もまあまあだったので、近くのシネコンに出かけて観たのである。

 オープニングの忍者同士の小競り合いと、大野くんと敵首領の次男との「川」という戦い方も面白かったが、どちらかといえばその後に展開する北畠具教と元家臣との殺陣シーンのほうに度肝を抜かれた。ただ北畠具教のことを知らないまま見ると、「お殿さま風情があんなに強過ぎるのは腑に落ちない」てなことになってしまうだろう。
 北畠具教といえば戦国大名で公家でもあり、伊勢国司北畠家の第8代当主である。だがそれだけではなく、彼はかなり剣術に長けており、なんと塚原卜伝に剣や兵法を学び奥義の「一の太刀」を伝授されているのだ。さらには剣聖「上泉信綱」からも剣を学び、柳生宗厳や宝蔵院胤栄とも親交があったと言われている。

 本作ではその北畠具教に扮した國村隼が、抜群の殺陣を披露してくれた。その中でも鴨居をぶった斬る「奥義一の太刀」を垣間見て、鳥肌が立ってしまった。さらにはその眼光、声色、動作の一つ一つに重厚なる存在感が漂っているではないか。この殺陣シーンだけでもこの映画を観る価値があると言っても過言ではないだろう。

 もちろん主役の大野君の、おとぼけを交えながらのスピード感あふれるアクションもなかなか見事なものである。『るろうに剣心』を初めて観たときにも感じたのだが、最近の殺陣シーンは役者の殺陣の技術だけに頼るのではなく、巧みで美麗なVFX技術を駆使して、超人的な躍動感を創出しているところが素晴らしいのだ。この技術をなぜ『カムイ外伝』で使えなかったのかと今更ながらだが、悔しくてしようがない。

 ただ残念ながら、せっかく良い役者と殺陣とアクションシーンが充実していても、ちょっとおちゃらけ過ぎではないだろうか。趣味の問題かもしれないが、私的にはもっとシリアスな演出のほうが好ましいな・・・。
 また『シン・ゴジラ』同様、お国を演じた石原さとみの存在にも疑問符がついてしまった。これは多分劇中で、お国についての説明が余りなかったからかもしれない。そしてそれはやはり、2時間程度にまとめなくてはならない「映画の難しさ」なのだろうか。

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2017年7月13日 (木)

トゥー・ウィークス・ノーティス

★★★☆

製作:2002年 米国 上映時間:101分 監督:マーク・ローレンス

 もう15年も前のことですが、久しぶりに会社帰りに有楽町で映画を観ました。それも笑われそうだけど「トゥー・ウィークス・ノーティス」というバリバリのラブコメをおじさん1人で観たのです。
 実はこうしたお金持ち系のラブコメ映画は、余り趣味ではないのですが、松竹の株主優待券が使えるぎりぎりの日で、観ていない映画は、この映画と「ハンテッド」だけなのでした。当時ネットでの評価は「ハンテッド」は再悪だし、「トゥー・ウィークス・ノーティス」はかなり評価が高かったので、という単純な動機でこちらを選択したわけでございます。(汗)

 結局のところはラブコメ映画のお決まりのストーリー展開と、ハッピーなエンディングに「やっぱりね!」といったところでした。でもテンポの良い起承転結と効果的に挿入された乗りの良いミュージックのおかげで、全く退屈することなく楽しく鑑賞することが出来た記憶があります。
 また主演のサンドラ・ブロックとヒュー・グランドの、ぴったりと息の合った演技もさることながら、脇を固めた出演者全員が、ぴったしのはまり役なので、かなり楽しい映画に仕上がっていたと思います。これで隣のシートに可愛い恋人でもいたならば、全く文句がないのですがね。ははは・・・。
 あと、当時は気にしていなかったのですが、なんと現在の米国大統領であるドナルド・トランプ氏が本人役で出演しているではありませんか。
 

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2017年7月 4日 (火)

しあわせな人生の選択

★★★☆

製作:2015年 スペイン,アルゼンチン 上映時間:108分 監督:セスク・ガイ

Siawase_2
 なんだかおおらかな邦題に惹かれてこの映画を観てしまったが、原題は『TRUMAN』と言い、本作で主人公が飼っている老犬の名前なのである。そしてなぜかR15指定なのだが、終盤になってそのサプライズな理由が分かるだろう。
 離婚して老犬とひっそりとスペインで暮らすフリアンのもとへ、長い付き合いのあるトマスがカナダから訪ねてくる。実はトマスはフリアンの従妹パウラから、フリアンが肺がんで余命いくばくもないと知らされて遠路はるばるやってきたのだった。
 
 だがフリアンは、僅かな延命だけのために抗がん剤治療を受けることを拒否し、静かに死を迎える決意を固めていた。従ってもしトマスが延命のための説得に来たのなら、すぐに帰るように声を荒げるのだった。
 しかしトマスはフリアンの硬い決意を理解し、4日間だけ彼と行動を共にすることにする。この作品はそのたった4日間の出来事だけを紡いだミニストーリーなのだが、中味はかなり濃いし奥行きもある。ただ死に対してダイレクトに悲しみを表現せず、愛犬の引き取り先や息子の将来を案じつつも、淡々といつも通りの生活を楽しんでいるように見えるフリアンを理解するのは難問かもしれない。

 それにしても、将来の葬式代や旅費・食事代をはじめとして、4日間の費用全てを何の苦もなく負担したトマスの心情は、そして彼とフリアンの過去の関係は、一体どのようなものだったのだろうか。単なる親友というだけではなく、過去に同居していた事実からしてもゲイだった可能性は高いね。

 とにかく淡々と4日間が過ぎて行くのだが、最終日前日の夜と、空港での唐突な出来事、この二つのサプライズでこの物語はエンディングを迎える。ところで実は、そのどちらも最初から意図されていたような気がするのは、決して私だけではないはずである。

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