ブルックリン
★★★☆
製作:2015年 アイルランド,イギリス,カナダ 上映時間:112分 監督:ジョン・クローリー
ブルックリン区は、ニューヨーク市に置かれた行政上の5つの区の一つであるが、1898年に行われた区画整理までは、独立した市として存在していた。また人口250万人のブルックリン区を市とみなせば、ロサンゼルス市、シカゴ市に続き全米で3番目に人口の多い市となるくらい多くの人々が住んでいる。
さらにブルックリンは、様々な文化・民族・人種が集う場所でもあり、今日形成されている文化の混合は海外からの移民がその風習をそのまま持ち込んだ結果と言えよう。まさにアメリカの象徴のような地区なのだが、今後はトランプ大統領の排他的政策でどのように変貌して行くのだろうか。
さて本作はアイルランドの田舎町に住む少女エイリッシュが、母と姉と別れて単身ブルックリンへ移住し、デパートの仕事を覚え、ホームシックに罹ったり、恋をしたりしながら成長してゆくシンプルなお話である。
前半は主演のエイリッシュが、淋しさや不慣れな仕事を克服しながらも、夜学に通って良い成績で卒業すると言った前向きで純真な姿に共感するはずである。そして明るく優しいイタリア系の青年と恋に落ちて結婚する。
そこまではどこにでもある恋愛ドラマだったのだが、心の支えだった姉の急死のため、アイルランドに帰郷するあたりから、エイリッシュの心が急変していくのである。
ここからは恋愛ドラマ転じて『女の打算ドラマ』に変貌してしまうのだ。有能で人格者だった姉の死に対する同情と、都会で磨かれたエイリッシュに対する羨望の眼。そして彼女の帰郷を望む母や友人たち。そんな熱い雰囲気に呑まれて、結婚していることを隠し続けるエイリッシュ。
ところが田舎町では良いこともすぐ広まるが、悪いことはもっと猛烈に広まって行くものである。我を忘れいい気になっていたエイリッシュに、そんな田舎町の恐ろしさを思い出させてくれたのが、皮肉にも彼女がブルックリンに旅立つ原因になった意地悪女店主であった。
そして彼女は再び母を置き去りにしたままブルックリンに戻るのである。はじめは素直で可愛い娘だと思っていたのだが、結局は身勝手で打算的なつまらない女だったと感じる人も多いだろう。というよりは、女とは所詮そんな生物なのだということなのか、あるいは都会は人を変えてしまうという教訓だったのだろうか。
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