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2017年2月の記事

2017年2月27日 (月)

バケモノの子

★★★☆

製作:2015年日本 上映時間:118分 監督:細田守

 人間界とバケモノ界の境界線が渋谷の街中にある。そこで偶然バケモノの異端児である「熊徹」と9歳の少年「蓮」が遭遇する。その後警官に追いかけられバケモノ界に迷い込んだ蓮は、熊徹と再会し彼の弟子としてバケモノ界で修行することになる。
 なんとなくストーリー展開が「千と千尋の神隠し」と似通っている気がする。どちらも人間の子供が神に近い怪しい存在が往む異世界に迷い込み、そこで生活しながら異世界の存在と交流を深めて成長していくという奇妙な話だからである。

 ただ「千と千尋の神隠し」は異世界での話が中心だったが、本作では8年後に17歳に成長した蓮が人間界に戻り、楓という女子高生と知り合うところから、バケモノ界と人間界を行ったり来たりするようになる。また楓が登場することにより、急に明るい雰囲気になり物語も急展開してゆく。
 蓮と熊徹は師弟の関係ながら、どちらも師匠であり弟子でもあり、顔を合わせれば罵り合う関係が続いていたが、お互いに父子のような熱い感情を胸に秘めているのだ。そして人間界の実父との8年ぶりの涙の再会、楓との青く淡い恋心の芽生え、などなど感動させられる要素もたくさん準備されている。
 
 なかなか見どころの多い秀作アニメであるが、「千と千尋の神隠し」の二番煎じ的な世界観と、絵にやや雑な雰囲気を感じてしまったところがちょっぴり残念であった。
 しかしながら、この作品の最大の魅力はバケモノ・熊徹のキャラに負うところが実に大きい。口が悪く喧嘩っ早く、本当は心優しいのだが素直になれず、身勝手で乱暴で小学生並みの行動パターンを持つキャラなのだから・・・。それにしても、この豪快な熊徹の声を見事に演じきった「役所広司」には、さすがベテラン俳優と盛大な拍手を送りたくなってしまった。

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2017年2月22日 (水)

西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人

★★★☆

製作:2016年 中国,香港 上映時間:118分 監督:ソイ・チェン

 映画だけではなく、TVや舞台も含めると今までに数え切れないほど繰り返し製作されてきた『西遊記』だが、本作は中国発の最新の西遊記映画である。
 岩山に閉じ込められた孫悟空が、三蔵法師によって封印を解かれ天竺までお供をするところからはじまる。途中で猪八戒と沙悟浄も引き連れてゆくのだが、本作は白骨夫人という妖怪を退治する話に特化している。

 この白骨夫人を演じたのは、演技派女優のコン・リーで、本作でもなかなかの存在感を振りまいていた。西遊記映画の中でも本作の評判がやや高いのは、アクションと特撮の評価だけではなく、悪女だがどこかもの悲しさの漂う妖女を演じた彼女の魅力によるところも大きいだろう。

 ストーリー展開については、乱暴者だが妖怪を見抜く力を持っている孫悟空と世間知らずでお人好しの三蔵法師のすれ違い、頼りにならない猪八戒のおバカぶりと言ったお馴染みのパターン。そしてラストは孫悟空が、三蔵法師を危機一髪のところで救い出し、妖怪をこてんぱんに叩き潰してめでたしめでたし。とにかく水戸黄門を観ているような安心感があるのだが、逆に言うともう少し目新しく捻りの利いた脚色が欲しかったね。

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2017年2月17日 (金)

ブルックリン

★★★☆

製作:2015年 アイルランド,イギリス,カナダ 上映時間:112分 監督:ジョン・クローリー

 ブルックリン区は、ニューヨーク市に置かれた行政上の5つの区の一つであるが、1898年に行われた区画整理までは、独立した市として存在していた。また人口250万人のブルックリン区を市とみなせば、ロサンゼルス市、シカゴ市に続き全米で3番目に人口の多い市となるくらい多くの人々が住んでいる。
 さらにブルックリンは、様々な文化・民族・人種が集う場所でもあり、今日形成されている文化の混合は海外からの移民がその風習をそのまま持ち込んだ結果と言えよう。まさにアメリカの象徴のような地区なのだが、今後はトランプ大統領の排他的政策でどのように変貌して行くのだろうか。

 さて本作はアイルランドの田舎町に住む少女エイリッシュが、母と姉と別れて単身ブルックリンへ移住し、デパートの仕事を覚え、ホームシックに罹ったり、恋をしたりしながら成長してゆくシンプルなお話である。
 前半は主演のエイリッシュが、淋しさや不慣れな仕事を克服しながらも、夜学に通って良い成績で卒業すると言った前向きで純真な姿に共感するはずである。そして明るく優しいイタリア系の青年と恋に落ちて結婚する。
 そこまではどこにでもある恋愛ドラマだったのだが、心の支えだった姉の急死のため、アイルランドに帰郷するあたりから、エイリッシュの心が急変していくのである。

 ここからは恋愛ドラマ転じて『女の打算ドラマ』に変貌してしまうのだ。有能で人格者だった姉の死に対する同情と、都会で磨かれたエイリッシュに対する羨望の眼。そして彼女の帰郷を望む母や友人たち。そんな熱い雰囲気に呑まれて、結婚していることを隠し続けるエイリッシュ。
 ところが田舎町では良いこともすぐ広まるが、悪いことはもっと猛烈に広まって行くものである。我を忘れいい気になっていたエイリッシュに、そんな田舎町の恐ろしさを思い出させてくれたのが、皮肉にも彼女がブルックリンに旅立つ原因になった意地悪女店主であった。

 そして彼女は再び母を置き去りにしたままブルックリンに戻るのである。はじめは素直で可愛い娘だと思っていたのだが、結局は身勝手で打算的なつまらない女だったと感じる人も多いだろう。というよりは、女とは所詮そんな生物なのだということなのか、あるいは都会は人を変えてしまうという教訓だったのだろうか。

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2017年2月11日 (土)

オデッセイ

★★★☆

製作:2015年 米国 上映時間:142分 監督:リドリー・スコット

 火星探索隊が突如巻き起こった大砂嵐に襲われ、全員が必死に宇宙船に引き返すのだが、途中折れたアンテナがマーク・ワトニー(マット・デイモン)を直撃し、彼はそのまま吹き飛ばされて行方不明になってしまう。船長はマークを探し出そうとしたが、余りにも激しい嵐のため、宇宙船が倒れそうになる。もし倒れてしまったら、もう二度と宇宙船は飛べなくなってしまう。
 そんな難しい状況の中で、クルーたち全員がマークは死んだと判断し、残ったクルー5人の生命を尊重した船長はやむなく宇宙船を発進させる。

 ところがマークは奇跡的に生きていたのである。ここからたった一人火星に取り残されてしまったマークのサバイバルストーリーが始まるのであった。
 次の火星探索ミッションが開始されるのは4年後である。マークはこの4年間を必死で生き抜こうと決心するのだが、火星の厳しい環境下で生き抜くのは至難の業としか言いようがない。

 なんとか残されたプレハブ居住施設と火星探索車の存在だけが頼みの綱である。植物学者であるマークは、まず水、空気、電気を確保し、プレハブ居住施設内に火星の土を運び込み、クルーの排泄物をもとに耕作用の土を生成し、ジャガイモの栽培に成功するのだった。さらには探索車を駆使して、土に埋もれたマーズ・パスファインダーを探し出し、その通信機能を回復させて地球との通話に成功するのである。

 SF映画であるが怪獣や宇宙人が登場する訳ではない。登場するのは過酷な火星の環境だけである。地味であるが実に現実的で科学的な作品である。そういった意味では『ゼロ・グラビティ』と似ている。だが本作はマット・デイモンが主演だったことと、地球との交信が出来たことなどからほとんど悲壮感がなく、主人公の前向きな努力と逞しさとに脱帽という展開であった。

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2017年2月 7日 (火)

サヨナラの代わりに

★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:102分 監督:ジョージ・C・ウルフ

 本作はALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命僅かとなった女性ケイトと、彼女に介護人として雇われた女子大生ベックとの交流を描く感動作である。難病ものと言えば、大体がラブストーリー系が多いのだが、本作は難病の介護に疲れて夫が浮気してしまうという逆展開。
 そしてその薄情な夫に代わって、心底ケイトの役に立ちたいと「住み込み」で介護するベックの存在もユニークである。またケイトは真面目で気難しい性格だが、ベックは教授と不倫関係にあったり、歌手を目指していたり、言いたいことを遠慮なく口に出してしまうという自由奔放な性格なのだ。

 そんな反比例したような二人の女性の生き方を同時進行しているところが、この映画の面白さであり、単純な難病ロマンス映画では終わっていない理由なのだろうか。そして最後は涙が溢れて止まらないのだが、私は常々から「人の死に対する涙イコール感動作」とは考えない人なので、そのあたりはこの映画でも評価の対象にはしていない。
 ALS患者を演じたヒラリー・スワンクの演技は抜群であり、そこそこ良くできた映画だと思えるのだが、やはり暗くて救いがないものは苦手である。またベックの急変も納得できないし、彼女の過去にもう少し焦点をあてても良かったよね。

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2017年2月 2日 (木)

島々清しゃ 

★★★

製作:2017年 日本 上映時間:100分 監督:新藤風

Simajima
 読み辛いタイトルだが、しまじまかいしゃと呼び、沖縄では有名な曲の名である。本作はその曲を演奏することにより、耳が良すぎて雑音に耐えられない少女が、必死に立ち直るまでのエピソードを描いている。
 その少女「うみ」を演じた伊東蒼は抜群の演技力を発揮していたが、祖父や学友たちのセリフ棒読み状態は学芸会以下のレベルだったのは悲し過ぎる。確かに彼等はど素人なので下手でも仕方ないのだが、もともと無口な祖父にあれほど喋らせる必然性はなかったし、吹き替えなどで対処する方法もあったはず。素人たちの余りの下手さ加減のためか、逆に俳優たちの演技が猛烈に上手に感じてしまった。やはり伊達にプロではないのだね。

 さらにうみと母親の関係や、母親が那覇に別居している背景などの説明も皆無で、葬式にいきなり踊りだす彼女の心情もいまひとつ理解できない。それに何といっても、超演技派の安藤サクラの使い方がもったいない。あの程度の役柄なら彼女でなくても良かったはずである。
 メガホンをとったのは、新藤兼人の孫である新藤風だが、まだまだ力不足なのであろう。テーマは悪くないのだが、脚本・演出などに稚拙さを感じてしまったのは、決して私だけではないはずである。

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