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2017年1月の記事

2017年1月25日 (水)

奇跡のリンゴ

★★★★

製作:2013年日本 上映時間:129分 監督:中村義洋

 絶対に不可能と言われた『リンゴの無農薬栽培』を成し遂げた男がいる。青森リンゴ農家の木村秋則さんである。この映画はその木村さんが、なんと11年間も失敗を続けながらも、やっとリンゴの無農薬栽培に成功するまでの実話を参考にして創られたという。

 木村さんは少年時代からあらゆることに夢中になる性癖を持っていたが、何ひとつとして成功したためしがない。それでも少年時代は笑い話で済んだのだが、所帯を持って老人と子供3人を抱えて生計を維持して行かねばならないときに、リンゴの無農薬栽培に取りつかれて、一家は10年以上に亘って究極の貧乏生活を送る羽目になってしまうのである。

 村中から変人扱いされ、途中で挫折しそうになり、離婚や自殺も考えるのだが、舅や妻子に支えられて何度か立ち上がることが叶う。つまりリンゴの無農薬栽培の成功は、彼一人の力ではなく家族全員の忍耐と励ましのお蔭だったのである。
 とても良い話で、後半は途中で何度も涙が止まらなくなってしまった。私は常々人の死で泣かせる作品よりも、人の温かさに触れて泣かされる作品こそ、真実の感動作品ではないかと考えている。まさにこの映画こそ、そういった意味での感動作品と言って間違いないだろう。
 
 また脚本の出来も素晴らしかったのだが、何と言っても配役のどれもがピタリとはまっていた。ことに主人公に阿部サダヲを起用したことにより、前半の暗く苦々しい生活感がかなり緩和されているし、妻役の菅野美穂がとても優しさに溢れていた。
 そして舅役の山崎努のいぶし銀のような渋味のある演技にも大拍手を送りたい。ただ実話とはかけ離れたとしても、この舅も一緒に無農薬栽培の成功を喜んだ映像も加えて欲しかったね。

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2017年1月18日 (水)

デッドプール

★★★★

製作:2016年 米国 上映時間:108分 監督:ティム・ミラー

 マーベルコミックスの破天荒ヒーローの実写映画である。全身癌に冒された主人公ウェイドが生き延びるために選んだのは、無茶苦茶な人体改造による細胞の強化実験だった。
 苦しい実験に絶え、超人的な治癒能力と不死の体を手にしたウェイドだが、なんと体中の皮膚が皺々になりまるでフレディーのような醜い姿になってしまう。それで実験をした男を捜して復讐することを決意するのだった。

 ヒーローものとしてはかなり異色である。このヒーローは正義や人助けには全く興味がなく、ただ復讐だけに燃えている。またお喋りでギャグを連発したかと思うと、かなりどぎついアクションとスプラッターを繰り出すのだ。それでR15指定となっているので、子供と一緒に観てはいけない。

 またなんとX-MENも登場し、クライマックスシーンでは、デッドプールと一緒に敵と戦うことになるのだが、そのアクションもなかなか過激で面白かった。
 また恋愛ありホラーありギャグありの、今まで余り観たこともない奇妙なヒーロー映画であった。ただかなり好き嫌いが別れる作品かもしれないので取扱いに注意すること。

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2017年1月14日 (土)

トスカーナの休日

★★★☆

 

製作:2003年 米国 上映時間:113分 監督:オードリー・ウェルズ

 

 

 突然の離婚ショックから立ち直れないフランシス(ダイアン・レイン)は、親友からプレゼントされたイタリア旅行へ旅立つ。だが別れた夫に住んでいた家を譲ってしまった反動からか、旅先のトスカーナで古くて広い家を衝動買いしてしまう。

 

 たった一人でこんな広い家は不要なのだが、この家で結婚式を挙げファミリーと一緒に暮らすのが、フランシスのたった一つの希望だった。そして紆余屈折の挙句、彼女の想いとはちょっぴり異なる形だったが、ラストシーンでは彼女の希望が叶うのである。

 

 現在はスーパーマンの母親役などをしているダイアン・レインだが、この映画を撮ったときはまだ30代後半位でとてもチャーミングだ。全般的に淡々としたストーリー展開なので、トスカーナーの美しい風景と彼女の魅力に支えられた部分が大きいはずである。

 

 ラブコメということになっているが、どちらかと言うと苦い恋が多く、毎日花を添えに来る老人や人柄の良い不動産屋など味のある登場人物が実に渋いのだ。まさにブラックコーヒーのような、深みのある大人のラブコメ映画だった。

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2017年1月11日 (水)

幸せなひとりぼっち

★★★★☆

製作:2015年 スウェーデン 上映時間:116分 監督:ハンネス・ホルム

Hitori
 愛妻のソーニャに先立たれて失望の縁を漂っている矢先、40年以上真面目に勤めてきた会社からリストラをほのめかされ、その場の勢いで会社を辞めてしまったオーヴェ老人の話である。曲がったことが大嫌いな彼は、毎朝家の周辺を巡回してルールを守らない人がいると、容赦なく大声で罵るのであった。
 具体的には、自動車の通行禁止のルールをはじめ、ゴミの分別、自転車の駐車、犬の小便から扉の開閉まで、些細なことにまでいちいち神経を尖らせているのだ。そのため近所の人々は、陰で彼のことを偏屈な頑固爺とか変人と囁いている始末。

 近所の人々の思惑などはどうでも良かったが、そんな彼を理解して愛してくれた妻は、既にこの世にはいないという絶望感だけが、彼の全身を侵し続けていた。それで自殺を決行するのだが、なかなかうまくゆかない。
 そんな絶望的な彼の隣家に、陽気なアラブ人の家族が引っ越してくる。この家族の奥さんと子供たちが、なかなか人懐こくて愛嬌があり、人間嫌いのオーヴェとの絡みがなかなか楽しく感動的なのである。

 こんな感じでストーリーはとんとん拍子で進んでゆくのだが、彼が自殺を実行するたびに、父親との想い出やら愛妻との出逢いなどが回想されるというユニークな構成となっているのも面白かった。
 それにしても主人公オーヴェのような頑固オヤジは身近でも時々見かけるし、もしかすると私自身も他人からはそう見られているかもしれないのだ。
 ・・・そう他人ごとではないのだから、思い切り感情移入してしまい、劇場の中は嗚咽しているオジサンたちで溢れ返っていた。笑いあり、涙あり、愛ありの文句のない作品で、久々に良い映画を観たと言う充実感に浸れることだろう。
 
 スウェーデン映画は余り見慣れないのだが、このような素晴らしい作品がまだ沢山創られているとしたら、それは宝の持ち腐れと言うものである。もっと他の作品も観たくなってしまった。
 それなのにこの作品は、関東でも『ヒューマントラストシネマ渋谷』と『新宿シネマカリテ』の2館だけ、全国併せてもたった8館でしか上映していないのは、実に勿体ない話ではないか。配給がテアトル系ということもあるが、今後はシネコンなどでも上映出来ないものだろうか・・・。

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2017年1月 8日 (日)

スポットライト 世紀のスクープ

★★★☆

製作:2015年 米国 上映時間:128分 監督:トム・マッカーシー

 第88回アカデミー賞で作品賞・脚本賞を受賞した実話映画である。とにかく変化球なしのガチガチに真面目な作品だ。また取材方法や編集会議などを詳細に描いた、ジャーナリスト映画の見本」のような格調高い作品であることも間違いないだろう。

 この作品のテーマは、ボストンの地方新聞「The Boston Globe」の記者たちが、カトリック教会の神父による性的虐待と、それを隠し続けたカトリック教会組織の事実を暴くまでの綿密な過程と言えよう。
  それにしても被害を受けた児童が1000名以上で、性的虐待を行った神父が200名超とは・・・これが事実だと言うのだから、驚きを超えて余りの衝撃に慄然としてしまった。

 ただストーリー的には、地味で淡々と進み会話が多いため、前半は睡魔に襲われる人も多いだろう。だからある意味で『ドキュメンタリー』を観ているかのようであった。
 しかしながら終盤に近づくに従い、登場人物たちの人間臭さが描かれてきて、スクリーンに釘付けとなるだろう。それにしても非常に重い作品で、疲れがどっと出てしまった。

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2017年1月 2日 (月)

ヒメアノ~ル

★★★★

製作:2015年 日本 上映時間:99分 監督:吉田恵輔

 原作は古谷実の同名マンガであり、タイトルの意味は強者の餌になる弱者ということらしい。前半は濱田岳が演じる清掃のバイトをしている岡田と先輩の安藤が、ヒロインのユカを巡ってコミカルな掛け合いをしているシーンが続く。
 これはこれで面白くて、そのままの調子でラストまで続いても良いくらいだったのだか、後半になって急に予期せぬ展開が待っていた。コメディーからラブロマンスを経由して、いきなりサスペンスいやスプラッターホラーに転換してしまうのである。

 ただ単純な殺人映画でもないのだ。その根底にあるテーマは『いじめ』であり『ストーカー』であり『精神異常者』なのかもしれない。本来は重くて暗いテーマなのだが、それほど嫌悪感を抱かずに最後まで観ることが出来たのは奇跡的である。
 それはたぶん原作や脚本の出来が良かったのと、濱田岳のお人好しキャラのお蔭ではないだろうか。それにしても、警察がだらしなさ過ぎるのと、殺人犯の森田がまるでターミネーターのように不死身で強いのには、正直かなりムカついてしまったな。

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