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2016年11月の記事

2016年11月27日 (日)

この世界の片隅に

★★★★

製作:2016年 日本 上映時間:126分 監督:片渕須直

Konosekai
 原作は『夕凪の街 桜の国 』の、漫画家「こうの史代」である。また2011年に北川景子主演のテレビドラマが放送されているが、本作はあくまでも劇場版アニメーションなので間違いなきよう。
 このアニメは上映館がそれほど多くないのだが、それにしても平日の昼から超満員なのが信じられないくらいだ。今全国規模で大ヒットしているアニメ『君の名は』のように映像は美麗ではないし、戦争中のお話という地味なジャンルにも拘わらず、そこそこ若い人たちも鑑賞しているのはなぜであろうか。また日本のアニメでありながら、耳の不自由な観客のために、日本語字幕を採用しているのも好感されているのかもしれない。

 本作は顔も見たこともない男性と結婚し、広島から軍港のあった呉に嫁いできた18歳の「すず」が体験した銃後の生活を地道に描いている。日本は着々と敗戦に向かい、呉はことごとく米軍の空襲に遭遇し、すずもある悲劇に遭遇し右腕を失ってしまう。さらには実家のある広島と長崎に原爆が投下され終戦を迎える。
 一体何のために日本は戦い、最後まで勝利を信じて耐え忍んできた日本国民は、これから何にすがって生きてゆけば良いのだろうか。すずも同じくやり場のない気持ちで終戦を迎えるのだが・・・。

 本当に戦争は嫌だ!!そして観客のほうも暗い気分に襲われてしまう。だがハッピーエンドとは言い切れないものの、ラストには何とか一筋の光明を見出すことが出来たのが最後の救いであった。
 原作者のこうの史代さんが広島出身であることは承知しているが、それにしてもまだ48歳の女性が、こうした戦時中のお話をまとめるのは、並々ならぬ思い入れがあるのだろう。本作はこれからまだまだヒットしてゆきそうな予感がある。
 まだ年配の観客が目立つのだが、是非とも『君の名は』のように、若い人たちにも観てもらいたい。とにかく素晴らしいの一言に尽きる作品である。

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2016年11月23日 (水)

エイリアン4 完全版

★★★★

製作:1997年 米国 上映時間:107分 監督:ジャン=ピエール・ジュネ

 エイリアンシリーズは前作の『エイリアン3』で、エイリアンクイーンに寄生されたリプリーが自殺して終了したはずだった。ところがまたまた続編が創られてしまった。それも死んだはずのリプリーが、クローンとして復活してしまうという、ハチャメチャでプロレスもどきな反則仕様なのである。

 また監督にあの『アメリ』のフランス人監督を起用したのも、行き詰まってしまった本シリーズに、一味違う風味を送り込んだつもりなのだろうか。まあこのあたりの癖の悪い変化球的な作風は、観る者によってかなり評価が分かれる気がするのだが、私的にはまずまず成功したのではないかと感じた。

 それにしても、今までのエイリアンが「気持ち悪いとか怖過ぎる」といったイメージだったのだが、今回は「悍ましいというかグロテスク」というのか、まさに反吐が出るような映像のオンパレードである。ことにクライマックスシーンの、人型エイリアンベビーの気味の悪さと、その死に方はここまでやるのかと目をつぶりたくなってしまうだろう。

 完全版のオープニングで、ジャン=ピエール・ジュネ監督が、劇場版こそが最良のディレクターズカットだが、完全版もお楽しみくださいとアナウンスしていたが、完全版はただ単純に未公開シーンを追加しただけではない。冒頭でリプリー復活のシーンを克明に描き、ラストシーンで地球に降り立つところまでを描いているのである。

 だから私自身は、劇場版よりも完全版のほうが気に入っている。それにこの完全版のDVDは、劇場版と完全版の双方を選択出来るようになっているので、とにかく完全版と劇場版の比較をしてみようではないか。

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2016年11月20日 (日)

エイリアン3 完全版

★★★☆

製作:1992年 米国 上映時間:145分 監督:デヴィッド・フィンチャー

 本作は後に『セブン』で一躍脚光を浴びたデヴィッド・フィンチャーの映画初監督作品である。ただ本作は企画段階からトラブルが絶えず、内容も分かり難くエイリアンシリーズ中では一番評価が低かった。そんなこともあり、フィンチャー監督自身もかなり落ち込んでしまったようである。
 だが劇場公開版よりも31分長い完全版を観ると、かなり分かり易くなっているし、登場人物のキャラ立ちもかなり良くなっている。また完全版は単に未公開シーンを追加しただけではなく、エイリアンが寄生する宿主を犬から牛に変えたり、リプリーが自殺するラストシーンを改ざんしたりしているのだ。

 いずれにせよ本作の世界観は、かなり宗教的かつ哲学的であり、全般的に暗くて救いがない。またリプリーと恋仲になった医師があっけなく殺されてしまったのは、宗教家を早く前面に出したかったからなのだろうか。だが医師にはもう少し役割があったような気がするのだが・・・。

 またいつどのようにしてエイリアンはリプリーの体内に宿ったのか、なぜいつまでも体内から出てこなかったのか。それと溶けた鉛の中に落ちたエイリアンは、なぜ死なないのかといった疑問が次々に湧出して止まらないのだ。残念ながらそれらは、この完全版でも全く説明されていなかったのである。また今回は特に新しい展開も趣向もなかったため、「リプリーが死ぬ」ということだけに焦点を絞ったようである。まあそのあたりでやや不満は残るが、映画の雰囲気は決して嫌いではない。

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2016年11月17日 (木)

スライディング・ドア

★★★★
製作:1997年 米国 上映時間:100分 監督:ピーター・ハウイット

 米国製のラヴ・ストーリーとしては、ちょっと異色な作品かもしれない。重大会議のある朝に遅刻してしまったヘレンは、ほかにもいろいろあってクビになってしまう。それでしょげかえって、そのまま帰宅しようと地下鉄の駅に向かう。
 改札を潜ると、ちょうどホームに電車が到着したところだった。急いで階段を走るのだが、途中で子供とぶつかり電車のドアは閉まってしまう。だがその瞬間にもう一人の自分がいて、子供との衝突を避けて間一髪で、ドアをこじ開けて電車に乗ることが出来るのである。

 もしあの時こうしていたら、運命はこう変わっていたという題材でスタートするこの作品。ここからは二人のヘレンのパラレルワールドが始まるのであった。二人を区別するため、電車に乗れたヘレンは髪を切りブロンドに染める。

 では二つの運命はどのように変わったのだろうか。実はその後事故が発生し、この次の電車が大幅に遅れてしまうのだ。さらには電車に乗れたヘレンは、車内で隣席のジェイムズという男と運命的な出会いをすることになる。
 だが早く帰宅したため、同棲しているジェリーと浮気相手の情事の真最中に遭遇してしまう。一方電車に乗れなかったほうのヘレンは、電車の遅れとひったくりによる怪我などのお蔭で帰宅は大幅に遅れ、その間にジェリーの浮気相手は帰り、浮気現場に遭遇することは無かった。

 こうして二人のヘレンとその後の展開がパラレルに進行してゆくのだが、ストーリーは二転三転してゆく。果たしてどちらのヘレンが幸せになれるのだろうか。とワクワクしながら、あっという間に意外なラストへと進んでゆくのである。
 まるでヨーロッパ映画のような展開で、よく練り込まれたちょっぴりお洒落な脚本といえるだろう。またヘレンを演じた長身の女優も、なかなかキュートで魅力的だなあと思いながら観ていた。
 実はそのヘレンを演じた女優こそ、この作品から11年後に製作された『アイアンマン』でヒロインを演じるグウィネス・パルトローその人だったのである。

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2016年11月13日 (日)

エイリアン2 完全版

★★★★☆

製作:1986年 米国 上映時間:154分 監督:ジェームズ・キャメロン



 通常は続編に良作無しと言われているが、本作は実に出来の良い続編である。初回作が宇宙ホラーだったのに対し、続編はかなりアクション色が強くなっている。さすが『ターミネーター』『アバター』を創った監督だと感心せざるを得ない。

 ただ前作同様、精密なアンドロイドがいるのだから、わざわざ人間が危険な作業をする必要性がないではないか。それと海兵隊が弱すぎることが納得できないのだが、前作とはうって変わってウジャウジャ登場するエイリアンとの戦いは見応えがある。
 それに何と言っても、女王エイリアンとパワー・ローダーを装着したリプリーとの壮絶な女の闘いは、本シリーズの中でもピカ一のハイライトシーンだ。またそれが、女性の社会的地位が向上し始めた当時の実社会とリンクしているようで印象的だった。

 また今回紹介するのは「完全版」であり、劇場版よりも約17分長くなっている。まあ長ければ良いと言うものでもなく、適当にカットしてまとめた劇場版のほうが好きだと言う人もいる。だが私自身は、前作との関連性として57年間の冷凍睡眠と、リプリーの娘の話がリンクしていて面白かった。さらに娘の死がニュートを命がけで救うための動機付けになっており、完全版のほうがより分かり易い構成だと考えている。

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2016年11月 9日 (水)

君の名は。

★★★★☆

製作:2016年 日本 上映時間:107分 監督:新海誠

Kimi
 ほとんど予備知識なしでこのアニメを観た。単なる学園ラブコメかと思っていた。それではじめは敬遠していたのだが、10日間で動員290万人、興収38億円を突破」という凄まじい人気で、連日マスコミが騒ぎ立てると言う異常事態が勃発。
 その超人気に煽られて、とうとう私も重い腰を上げることになってしまった。通常はジブリ作品以外のアニメなら、観客はオタク風の若者が多いのだが、なんと本作に限ってはかなり年配の観客が多いではないか。これも私同様マスコミの報道に煽られて、ゾロゾロとやってきた人達なのであろう。
 それにしても8月に公開されてから、既に3か月目になるというのに、まだまだ空席が少ない状況なのだ。一体どこまで興行収入が伸びてゆくのだろうか。

 高校生の男女の心と体が入れ替わるという、大林宣彦監督による『転校生』のような展開なのだが、彼等はお互いに見知らぬ者同士、というところが『君の名は』の君の名はたる所以なのである。そして男子は東京で女子のほうは田舎町に住んでいるという設定だ。
 さらにはこの田舎町に、東日本大震災を彷彿させる大災害が突然勃発し、町は壊滅状態となってしまうのである。だがこの大災害が起きたのは3年前であった。と言うことは、二人の入れ替わりに3年間の時間がねじれていたのである。だから二人が逢おうとしても。絶対に逢えないのだった。過ぎた過去はもう取り戻せないのか。だが唯一取り戻せるパワースポットのような場所が存在していたのだ。

 人物は普通のアニメなのだが、CGを駆使した背景が実に美しい。そしてこの意外な展開にも驚かされ、ちっぽけな学園ドラマが、一挙にスケールの大きな宇宙的なファンタジーと化してしまうのである。人によっては少し戸惑うかもしれない。だからリピーターが多いのだろう。まあそれはそれとして、この映画をより詳しく理解したい人には、新海誠監督の著した同名の小説があるので、そちらのほうも読んでみようではないか。

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2016年11月 5日 (土)

エイリアン

★★★★☆

製作:1979年 米国 上映時間:117分 監督:リドリー・スコット

 『エイリアン』という映画を初めて観たのは今から約37年前、新宿歌舞伎町のど真ん中にあった巨大映画館『新宿プラザ劇場』であった。当時は陸の孤島と呼ばれていた三郷団地に住んでおり、新松戸発の武蔵野線・最終電車は午後10時20分という異例の早さだった。だからいつも酒を飲みながらも、常に腕時計が気になって落ち着かなかった。
 その日は珍しく麻雀に誘われて、当然だが武蔵野線の最終電車に乗る時刻をとっくに過ぎてしまった。こうなってはもう家に帰る気がしない。それで新宿へ出て立ち飲みをしたあと、終夜営業している歌舞伎町の映画街に向かったのである。数件ある映画館の看板の中で、特に興味を引かれたのが『エイリアン』だった。

 まだ上映中なので、廊下で待っていたのだが、寒さと眠気に襲われたため館内に入ることにした。するとスクリーンの中では、ラストシーンの宇宙船爆破シーンの真最中。けたたましいサイレンの音が響き渡り、女性(リプリー)が慌ただしく宇宙船の中を走り回っている。
 おっととと、ラストシーンを観てしまったら面白さが半減してしまうではないか。そう考えた私は、目をつぶってじっと映画が終わるのを待つことにした。ところがなかなか映画は終わらない、それどころか相変わらず喧しいサイレンの音が鳴り続いているではないか。
 時々薄目がちにスクリーンを観ようとしては我慢して目を閉じる、という仕草の繰り返しが続く。幸い英語のため何が起こっているのか良く分からない。実はこのラスト前の約15分間がこの映画の最大ハイライトだったのである。
 このような形で初めて『エイリアン』という映画に遭遇したのだが、もちろん休憩のあとの回で始めからゆっくりと観ることが出来た。そして次の回が終わるころには、ついに一番電車が走り始める時間になっていたのである。

 まさに『エイリアン』こそ、当時私が求めていた映画のエッセンスが溢れていた。まず大好きなSFとホラーと怪獣の融合であること、そしてあのH・R・ギーガーのおどろおどろしくも美しいデザインにも心を奪われてしまった。さらにはラストシーンでの、若きシガニーウィーバーのエロス漂う下着姿も実に印象的であった。
 ただ現在見直してみると、宇宙船の外観は素晴らしいのだが、コンピューターのディスプレイがブラウン管仕様で、機械のスイッチ類もレバーであること、また宇宙船内での喫煙描写などが、西暦2122年の設定としては古過ぎて違和感を禁じ得ない。さらにはあれだけ精巧なロボットを創れるなら、なぜ危険な仕事をロボットに任せないのかという疑問もつきまとう。

 まあそれはそれとして、この映画を観たときの新鮮な驚きとある種の凄まじい感動は、10年に1度くらいしか味わえないことも間違いない事実であろう。と言うことで、今更かもしれないが、これまでに上映された正規の「エイリアンシリーズ全四作のレヴュー」を一作ずつ書き連ねてゆきたいと考えている。

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