この世界の片隅に
★★★★
製作:2016年 日本 上映時間:126分 監督:片渕須直
原作は『夕凪の街 桜の国 』の、漫画家「こうの史代」である。また2011年に北川景子主演のテレビドラマが放送されているが、本作はあくまでも劇場版アニメーションなので間違いなきよう。
このアニメは上映館がそれほど多くないのだが、それにしても平日の昼から超満員なのが信じられないくらいだ。今全国規模で大ヒットしているアニメ『君の名は』のように映像は美麗ではないし、戦争中のお話という地味なジャンルにも拘わらず、そこそこ若い人たちも鑑賞しているのはなぜであろうか。また日本のアニメでありながら、耳の不自由な観客のために、日本語字幕を採用しているのも好感されているのかもしれない。
本作は顔も見たこともない男性と結婚し、広島から軍港のあった呉に嫁いできた18歳の「すず」が体験した銃後の生活を地道に描いている。日本は着々と敗戦に向かい、呉はことごとく米軍の空襲に遭遇し、すずもある悲劇に遭遇し右腕を失ってしまう。さらには実家のある広島と長崎に原爆が投下され終戦を迎える。
一体何のために日本は戦い、最後まで勝利を信じて耐え忍んできた日本国民は、これから何にすがって生きてゆけば良いのだろうか。すずも同じくやり場のない気持ちで終戦を迎えるのだが・・・。
本当に戦争は嫌だ!!そして観客のほうも暗い気分に襲われてしまう。だがハッピーエンドとは言い切れないものの、ラストには何とか一筋の光明を見出すことが出来たのが最後の救いであった。
原作者のこうの史代さんが広島出身であることは承知しているが、それにしてもまだ48歳の女性が、こうした戦時中のお話をまとめるのは、並々ならぬ思い入れがあるのだろう。本作はこれからまだまだヒットしてゆきそうな予感がある。
まだ年配の観客が目立つのだが、是非とも『君の名は』のように、若い人たちにも観てもらいたい。とにかく素晴らしいの一言に尽きる作品である。
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