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2016年10月21日 (金)

★★★☆

製作:1990年 日本・米国 上映時間:121分 監督:黒澤明

 世界の黒澤明監督が80歳の老骨に鞭打って製作した晩年の映画である。この映画は黒澤作品にしては珍しく短編8話を収めたオムニバス形式となっている。
 その中味の全てが黒澤監督が見た夢をもとにしているため、主人公は全て自分自身ということになる。具体的には次の8話で構成されている。

1.日照り雨
 私が幼年時代の頃、突然日照り雨が降ってくる。そんなとき母親から、「こんな日には狐の嫁入りがあるから、決して外には行かないこと」と釘を刺されたにもかかわらず、私は林の中をさまよってしまう。そしてなんと狐の嫁入り行列を見てしまうのだった。

2.桃畑
 私が少年時代のひな祭りのことである。5人来たはずの姉の友人が4人しかいない。だが姉は、はじめから4人だと言う。すると裏口に消えた少女が立っていた。その少女に誘われるまま、辿り着いたのは裏山の桃畑跡だった。そこには平安時代の服装をした大勢の男女がひな壇のように居並んでいた。

3.雪あらし
 私が大学生時代、3人の山仲間と吹雪の雪山で遭難しかけていた。そこへ美しい雪女が現れて深い眠りに誘うのだが、私は朦朧としながらも必死で目覚めようとする。

4.トンネル
  太平洋戦争で惨敗した日本と、戦死した多くの日本兵たち。捕虜になりながらもなんとか生き延びて復員した元将校の私が、暗いトンネルの出口で遭遇したのは、戦死させてしまった元部下たちの亡霊であった。

5.鴉
 中年になった私が美術館らしき場所で、ゴッホの絵画に見とれていると、いつの間にか絵の中に引き込まれてしまう。そしてそこで苦悩するゴッホと出会うのだが…。

6.赤富士
 富士山が真っ赤に染まり大爆発し、大勢の人々が逃げまどっている。実は富士の向こうにある原発にある6基の原子炉が爆発とたというのだ。そして人々は全て海に飛び込んで消滅した。残るは私と子供を負ぶった疲れ切った女性とスーツの男だけになってしまった。

7.鬼哭
 世界中が放射能で汚染され、生き残った植物は巨大化し、人間は角をはやして鬼のような恐ろしい姿に変わり果てている。そんな世界に迷い込んだ私が、一本角の鬼に案内されて見た光景は、まさに地獄図そのものであった。

8.水車のある村
 私は静かで美しい水をたたえる水車の村にたどり着く。そこでは電気をはじめとして文明の利器は一切使われていないのだ。そして人々は100歳位まで長生きし、葬式には村中の人が参加して、まるで祭りのように華やかに楽しんでいるではないか。

 といった構成であるが、ワーナーの資本が入っていることもあり、欧米人が喜びそうな美しい日本の伝統民族や風景などがかなり挿入されている。ただ黒澤監督が見た夢が脚本化されたこともあり、幻想的で鮮やかな映像なのだが、ストーリー性が全くないところが少々退屈である。
 たぶん難解さを売りにした芸術的な作品を狙ったのかもしれないが、それならば余りにも正直過ぎる『夢』などというタイトルにしなかったほうが良かったのではないだろうか。

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