オーバー・フェンス
★★★☆
製作:2016年日本 上映時間:112分 監督:山下敦弘
佐藤泰志の芥川賞候補作が、オダギリジョー、蒼井優、松田翔太らの競演で映画化された。作業服を着たいろいろな年代の男たちが、大工のような作業をしたり、ソフトボールをしているのを観ていたら、刑務所風景なのかと錯覚してしまった。
実は函館の職業訓練校が舞台だったのである。原作者の佐藤泰志は函館に生まれ、職業訓練校にも通った経験があるという。また本作は『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』に続く「函館3部作」の最終章と位置付けられている。
職業訓練校には、何かにすがりたくて通っている若者や、就職先が見込めない年配者などが集まってくる。だがやはり何と言っても、失業保険金の延長を目指して入校する者が多いようである。本作でも大工になりたくて入校している者はほとんどいないし、教師のほうも実際に大工経験があるわけでもなく、教員養成所で勉強しただけという者が指導しているのだ。
本当に訓練所で技術を学びたい人には申し訳ないが、公務員のための訓練所に成り下がっているような気がする。少なくとも失業保険金を延長する仕組みはやめて、本当に学びたい者だけが入校する仕組みに変えられないものだろうか。
などと余計なことを考えながら本作を観ていたため、いま一つ作品の中にのめり込めなかった感があることは否めない。いずれにしても、41歳で自殺した原作者の心情からか、退廃的で無気力感に溢れた作品である。その主人公をオダギリジョーが演じたのが、なかなか微妙な気もするのだが、相手役の蒼井優は後ろだけだがヌードになったり、あひるの物まねを演じたりと、大熱演していたのが印象的であった。松田翔太についてはいつも通りだが、満島ひかりの弟である満島真之介の演技は、地のままなのか演技力なのかが気になるところである。
さてタイトルのオーバー・フェンスとは、ラストシーンのホームランに重ねて、自分自身の心が越えなければならない「幻のフェンス」超えのことを意味しているのだろう。なかなか味のあるタイトルだと思った。
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