あん
★★★★
製作:2015年 日本 上映時間:113分 監督:河瀬直美
タイトルの『あん』とは何だろうか、と思ったら素直に『あんこ』の『あん』であった。そして樹木希林演ずるところの主人公・徳江が『つぶあん』創りの名人という設定なのである。
刑務所から出所し、どら焼き屋の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)の店に、謎の老女・徳江がやって来て「雇用してくれ」と言う。はじめは拒んでいた千太郎だったが、彼女が持ってきた自作の『あん』が余りにも美味しかったため、『あん創り』専門と言うことで雇用することにする。
その美味しいあんのため、店は開店前から行列が出来るほど大繁盛。ところが店のオーナーは渋い顔、直ちに徳江をクビにしろと、千太郎に命令する。その理由は、かつて徳江がハンセン病を患っていたことが判明したからである。
見どころは、小豆を煮てあんこを創ったり、どら焼きの皮を焼くシーンである。普通の人には何でもないシーンかもしれないが、子供の頃に実家が和菓子屋だったせいか、和菓子創りの道具や工程が、懐かしくてたまらなかった。
それと出演者が少ない中での、樹木希林と永瀬正敏の淡々とした渋い演技も、まさに老舗のどら焼きのような味がした。ただひとつだけ文句を言えば、彼等の声が低いせいか聞き取り難かったことであろう。
河瀬直美監督は、数々の賞をカンヌで獲得し海外で評価の高い監督なのだが、私が彼女の作品を観たのは、本作が初めてである。だからあまり生意気な評価は出来ないのだが、本作に限って言えばハンセン病に対する偏見にしても、老女の孤独な悲哀にしても、無理矢理観客に訴えるのではなく、それとなく自然に描いているところが実によかった。もう少し、彼女の別の作品も鑑賞してみようかな・・・。
下記のバナーをクリックするとこの記事の人気度を確認できます↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0
コメント