★★★★
製作:2016年日本 上映時間:120分 監督:庵野秀明
シン・ゴジラのシンとは、新であり、真であり、神でもあるという。まさにそのタイトル通りの映画であった。またゴジラがまるで『エヴァンゲリオン』の使途のように見えたのも、庵野秀明作品の証であろうか。
ただストーリー的にはあまり面白くない。と言うより全くつまらない。ただ政治家や官僚たちが、早口でまくしたて会議を重ねるシーンばかりだからだ。そして人間の主役も政治家たちであり、会話のある一般庶民は全く登場しないのである。もうこれは怪獣映画と言うより、大災害映画といったほうがよいだろう。
だからもしストーリーだけなら★★程度が妥当なのだが、邦画としてはハリウッド並みと、大喝采しても良いほど破格の特撮技術に驚嘆してしまったのは決して私だけではないはずである。またゴジラの進化に伴う恐怖感溢れる造型と、口からだけではなく体中から発する放射線のような新しい攻撃手法にも感心してしまった。
つまり従来通り、どんな兵器を使っても死なないゴジラでは、生物学上の説明がつかない。だから本作では、米軍の最新兵器の攻撃を受けて大出血する訳である。
ただそのまま死んでしまったら、ゴジラとして神格化されてきた強さが無に帰してしまう。その矛盾を調整するためには、米軍の最新兵器を受ける前に、それを簡単に破壊するしかないのだが、従来通りの口からの火炎だけでは防ぎきれない。従って尻尾や背びれからも飛び道具が使えるようにしたのであろう。
これではまるでキングギドラではないか!とケチを付けたくなる人もいるかもしれない。だがゴジラ映画が生まれてから既に60年以上経過し、人間側の兵器も圧倒的に進化しているのだ。またある程度論理的に辻褄が合わないと、大人たちを観客対象にすることは出来ないだろう。本作はあくまでも、『お子様ランチ仕様』ではないのだ。
だから従来のゴジラファンたちも、いつまでも前作仕様に拘らず、もう少し柔軟に解釈してあげようではないか。もっともその言い訳として、タイトルを『ゴジラ』ではなく『シン・ゴジラ』としたのだから・・・。
また従来のゴジラ映画では、自衛隊の兵器はまるで蚊トンボやプラモデルのように、根こそぎいとも簡単に破壊されて、全く存在価値を認められていなかった。ところが本作では、一度は歯が立たなかったものの、二度目には別の方法で大活躍することになる。
さらには経済大国・日本らしく、新幹線・山手線・建設用の車両・高層ビルなどを兵器替わりに使用するという発想も面白かった。いずれにせよ従来から私が提案していた通り、『ゴジラ』を現実的な大災害映画として創り上げてくれた庵野監督には共感を覚えざるを得ない。
それがこの作品に★★★★を与えた最大理由かもしれない。だが、やはり何と言っても『ゴジラ』映画は、本作も含めどれもこれも、あの時代に劇場で観た初回作を超えることは出来ないのだ。例え特撮技術は陳腐であっても、初体験という超越した驚愕と、戦後と言う時代背景には絶対に勝てないからである。
◎参考までに過去に掲載したゴジラ関連の記事は下記の通り
・ゴジラVSキングギドラ
・GODZILLA ゴジラ
・ゴジラへの熱き思い
・ゴジラ映画は復活するか
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