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2016年7月28日 (木)

柳生一族の陰謀

★★★★

製作:1978年日本 上映時間:130分 監督:深作欣二

 かつては時代劇の王道を歩んでいた東映。だがTVの登場による映画の衰退を受け、TVでは放映出来ないどぎついヤクザ映画路線に転換せざるを得なかった。
 本作はそんな映画の暗黒時代に、『仁義なき戦い』の深作欣二を起用し、東映時代劇の復権をかけて製作されたという。そんなこともあってか、出演者は萬屋錦之助、千葉真一、丹波哲郎、芦田伸介、原田芳雄、山田五十鈴、三船敏郎などの超大物俳優がずらりと並んでいる。

 冒頭からいきなり、徳川二代将軍・秀忠が病気のため急死したところから始まる。だが実は病死ではなく、密かに食事に砒素を混入され毒殺されたらしい・・・。
 それはそれとして、次期将軍は秀忠の嫡男である家光が継ぐべきだった。だが父の秀忠や母の江は、顔に痣があり吃音があった家光よりも、容姿端麗・才気煥発な忠長を寵愛していた。
 そして重臣たちも、家光派の松平伊豆守と忠長派の土井利勝に分断、物々しい雰囲気が漂い始めていたのである。そんな背景が原因で勃発したのが、秀忠暗殺事件であり、兄弟同士が血で血を洗う権力闘争のはじまりでもあった。

 深作欣二は本作ではじめて時代劇の監督をしたと言われているが、本作は時代劇という設定を利用した『仁義なき戦い』そのものである。つまり言ってみれば「将軍家」の跡目争いではないか。また豊臣残党や根来衆たちの大虐殺シーンなどは、まさしく凶暴なヤクザ映画そのものなのだ。
 だがそんなヤクザ色を一気に払しょくしたのが、主役の柳生但馬守を演じた萬屋錦之介の存在である。序盤の大袈裟な歌舞伎調のセリフには、誰もが驚かされてしまうだろう。このセリフ回しは公儀の雰囲気を盛り立てるために、あえて江戸城内限定でだけで使用している。なんとも緻密に計算され尽した演出力であろうか。

 また成田三樹夫が演じた一見なよなよした公家・烏丸少将が、実は凄腕の剣士だったという衝撃。また丹波哲郎扮する、小笠原玄信斎の登場と十兵衛が片目を奪われるシーン。さらには、その玄信斎と但馬守との真新陰流と柳生新陰流の真剣勝負も見逃せない。
 そしてラストの大衝撃シーンには、誰もが度肝を抜かされるだろう。一見史実のように見せて、全く史実とは異なるストーリー展開。またとんでもない時代考証に呆れる人もいるかもしれない。だが大ラスで狂気に襲われた但馬守が叫び続けた名セリフ「これは夢だ夢だ、夢でござ~る」そのものなのではないだろうか。

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