バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
★★★☆
製作:2016年 米国 上映時間:152分 監督:ザック・スナイダー
ノーラン版スーパーマンの第二弾である。前回ゾッド将軍との戦いで街を破壊しまくったのは、本作を意識しての前ぶれだったようだ。つまりスーパーマンは今のところ正義の味方であるが、場合によっては危険極まりない存在になってしまうのだということであろう。
本作はアメコミの2大ヒーローであるバットマンとスーパーマンが同時出演し、しかも戦うというのだから、アメコミファンには血沸き肉躍るような構図となっている。このようなヒーロー対決は、古くは『キングコング対ゴジラ』にはじまり、『フレディVSジェイソン 』、『エイリアンVSプレデター』と続いたものである。だがいずれも際物映画ばかりである。
それに異星人で超人中の超人であるスーパーマンと人間のバットマンが戦っても、バットマンに0.1%の勝ち目もないはずだ。ところが本作ではバットマンが勝ってしまうのだ。その無理を通すために、バットマンはフェアな戦い方ではなく、例のクリプトナイトでの不意打ち作戦を選ぶのであるが・・・。ただヒーローとしては卑怯な手段だし、どうせクリプトナイトを使うなら、別段バットマンでなくともよいではないか。
まあそのあたりの矛盾が、この二人の対決に無理があることの証しとなっている。またそれはそれとしても、なぜ正義の味方同士が戦わなければならないのか。詳しくは映画を観て考えてもらいたいのだが、結局はそれぞれの立ち位置によって、正義に対する考え方が食い違ってしまったという理屈なのだろう。だが私には余り説得力がなかった。また私自身はスーパーマンのほうには共感できるのだが、バットマンの執拗で異常な意思には、いま一つついて行けなかった。
また本作を鑑賞するためには、スーパーマンとバットマンについて全て承知の助であることが前提となる。さらにノーランが手掛けた『バットマンシリーズ』と前作の『マン・オブ・スティール』の全ての映画を観ていない人にとっては、かなり不親切で傲慢な脚本構成となっている。
まあそれには目をつぶるとしても、またまたいつもいつも、レックス・ルーサー、クリプトナイト、ゾット将軍というパターンしか見つからないのも退屈極まりない。それに加えて陰気臭いスーパーマンではかなり滅入ってしまう。 ノーランがどこまで拘わっているのか知らないが、子供時代から慣れ親しんでいた夢のヒーローたちを貶めるような映画だけは創って欲しくないね。
それにしても、スーパーマンを裁判所に呼び出したり、挙句の果てはとうとうスーパーマンの葬式まで出してしまうのだから、スーパーマン映画というより、これはもうバットマン映画に成り下がっているようだ。もちろんラストシーンで一瞬棺桶が揺れたので、当然スーパーマンは復活すると思うのだが・・・。
とにかく前作同様、「私の思い入れの濃いスーパーマン映画」としては不満だらけで失格だったが、ワンダーウーマンの登場だけは新鮮で楽しかった。ただ彼女が突然登場した意図が不明だし、なんだかスーパーマンではなく、アベンジャーズという感じがしたのは私だけではないはずである。
いずれにせよ私の拘りとして、スーパーマン映画は、例え俗な展開に終始しても、肩ひじ張らずワクワクしながら楽しく観たいのである。そしてもともとダークな雰囲気のバットマンはともかく、スーパーマンには、ノーラン風の退廃的かつ破壊的なブラックパロディーは似合わない。すなわちドラえもんを、ダークな雰囲気漂う実写映画にしても場違いなのと同じであろう。
それにファンタジーを無理に現実化したような、このノーランパターンもすでに陳腐化しはじめ、ちょっと臭いよね。とにかく、ファンタジーはファンタジーのまま、そっとしておいて欲しいのだ。
さて本作のラストの雰囲気を見た限りでは、第三作目が必ず創られるだろう。まあノーランでは無理だと思うが、次回作こそは安心感と夢が一杯だったあの頃の『スーパーマン映画』に回帰してもらいたいものである。
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