母と暮せば
★★★☆
製作:2015年 日本 上映時間:130分 監督:山田洋次
井上ひさしの『父と暮せば』を山田洋次がアレンジした「長崎・母親編」と言っていいだろう。
原爆で亡くなった息子の亡霊と母親の会話が中心のファンタジーなのだが、最愛の息子を亡くした母親の妄想と言っても良いかもしれない。あるいは3年間悲壮感を抱えて疲れ切った母親が、やっと息子の死を受け入れて息子の元へ向かうまでのお話と言えば分かり易いだろう。
いずれにせよ戦争はいけないし、無差別に善良な一般市民を巻き込む原爆は絶対に使用してはならない。広島や長崎で助かった人々でも、原子爆弾が投下された後に瓦礫の中を彷徨い、かなりの放射能を体中に浴びたはずである。
世界初の原爆投下後、70年の時が経過しているが、未だ世界中のあちらこちらで戦争が続いている。話し合いを無視され無理矢理攻撃されたときに、それを振り払うための戦いならばやむを得ないが、ほとんどの場合は独裁者たちの権力争い・意地とプライドという、つまらない個人的な理由から戦争は勃発する。悲しいが人間が人間である限り、殺人も戦争も絶対に無くならないのだろうか。
本作では原爆で亡くなった方だけではなく、戦地で腕や足を無くされて帰国して働いている人々もさりげなく登場させている。正面切ってドロドロとした描き方はしていないが、沈黙しながら「戦争反対」を腹の底からじりじりと絞り出したような感のある作品である。
ただひとつ残念なのは、母親役は吉永小百合ではなく、もっと地味で渋い女優のほうが良かった気がする。まあ興行的な面から、吉永&二宮コンビは絶対だったのだろう。それはそれとして、恋人・町子を演じた黒木華と、上海のおじさん役の加藤健一の演技と存在感に救われたような気がすると感じたのは私だけであろうか。
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コメント
パピママさんへ
ずっとマイページのコメント欄を見るのを忘れていて、今頃パピママさんからコメントが入っていたことに気づきました。今さらですが、こちらこそ今年もよろしくお願いします。
パピママさんのブログのコメント欄が閉鎖されたままなので、こちらのコメント欄でご返事いたしました。
ケント
投稿: ケント | 2016年1月21日 (木) 10時48分
新年明けましておめでとうございます。
昨年はTBでお世話になりました。
今年もケントさんにとって、よい年でありますように。
投稿: パピのママ | 2016年1月 5日 (火) 17時04分