はなちゃんのみそ汁
★★★★
製作:2015年日本 上映時間:118分 監督:阿久根知昭
一時は消滅したがん細胞が、いつの間にか全身に転移してしまった若き母親。自分が死んだ後もパパと二人でしっかりと生きて欲しいという願いを込めて、5歳になる一人娘に味噌汁の作り方を伝授するというドラマである。
もちろん実話であり、原作となったのは「絵本はなちゃんのみそ汁」、「娘・はなへ――ママが遺したいのちのレシピ」、「はなちゃん12歳の台所」という三冊の書籍である。だから原作者は、安武信吾・千恵・はなの家族三人になっているのだろうか。
結婚する前から乳がんを宣告されていた千恵。そして抗がん剤治療の影響で卵巣機能が低下し出産を諦めていた千恵と信吾。ところがある日、奇跡的に妊娠していることが判明する。だが出産することにより女性ホルモンが刺激され、がんの再発リスクが高まることに悩む千恵と信吾。
しかし周囲の希望や支えなどによって、命がけで出産を決意する千恵であった。そして無事に一人娘のはなを出産、しばらくは平和で幸せな日々が続く。だが結局はやはり出産が仇となり、がんを再発させてしまうのだった。
ここまで書き綴ると、なんとなく暗い話のように感じた方も多いと思うが、この物語はそれほどジメジメしていないのだ。むしろはなちゃんたちの未来に向けて、味噌汁の作り方を伝授するという前向きなお話なのである。この映画には一人も悪い人は登場せず、皆優しく励ましてくれる人たちばかりなのである。
そして千恵が死んでゆく姿も描写しない。死に関してあっさりと、描いているところに好感が持てるのである。とは言っても、普通の感情を持っている観客なら、直接的な描写がなくとも、心の中でいろいろと想像してしまうので、自然と涙が溢れて止まらなくなるはずである。
また出演者がなかなか適役だった。千恵の父親役の平泉成、信吾の父親役の北見敏之は、ともに無口だが心優しく渋みのある父親を見事に演じていた。無論主役の広末涼子と滝藤賢一もハマリ役だったが、何と言ってもはなちゃんを演じた子役の赤松えみなちゃんが実に愛らしいのだ。
将来どんな女優になるのか楽しみである。また実際のはなちゃんは現在12歳になるのだが、いまもお母さんの書いたレシピ通りに味噌汁を作り続けているという。実に良い話ではないか。
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