屍者の帝国
★★★☆
製作:2015年 日本 上映時間:120分 監督:牧原亮太郎
もともとは伊藤計劃が長編SF小説として書き始めたものだが、冒頭の草稿30枚を遺したままガンで早逝してしまった。その後、伊藤と親交の深かった円城塔が、遺族の承諾を得て書き継いで完成させたという曰くつきの作品である。
伊藤は2009年12月6日、遺作となった『ハーモニー』で第30回日本SF大賞を受賞するなど、SF界期待の新人でその天才ぶりを発揮したものだが、残念ながら前述した通り34歳の若さで早逝している。だが没して6年経過した現在でもその人気は衰えず、逆にカリスマ的な存在として祀り上げられているようだ。従ってこの伊藤原作のアニメも、多くの伊藤ファンが鑑賞しているようである。
残念ながら私自身には、伊藤の作品は難解で読み辛く、それほど興味も湧かない。従って本作もエンドロールが流れるまでは、伊藤の原作ものだと言うことを知らなかったくらいである。
たから予備知識も全くなかったのだが、本作のような世界観は嫌いではない。ただ屍者の研究や屍者を戦闘員として活用するまでは納得できたのだが、生きた人間以上に多量に登場してくると、なんだか『バイオハザード』の世界になってしまい、うんざり感を拭いきれなくなってしまった。あと生前の伊藤自身がゲームデザインに興味を持っていたことからも想像できるが、この作品にはゲーム感覚の臭いが漂っているようだ。
また「人間の魂の重さは21グラムである」と言うのは、米国の医師ダンカン・マクドゥーガルが発表した学説だ。彼は人間が死ぬ際の体重の変化を記録し、魂の重量を計測し、1907年にその実験結果を、ニューヨーク・タイムズや医学雑誌に掲載したのである。そしてさらに記憶に新しいものとしては、2003年に製作されたショーン・ペン主演の映画『21グラム』がある。ついでにその映画の中で語られた名言を次に紹介しておこう。
●人が死ぬと21グラムだけ体重が減るという どんな人も
●21グラムとは何の重さだろう
●何を失うのか いつ21グラム減るのか どれほど失うのか
●何が得られるのか どれだけ得られるのか
●21グラム 5セント硬貨5枚 ハチドリの体重 チョコバー1個
●21グラムの重さとは?
このときは実に摩訶不思議な気分になったものである。だから本作の『21グラム』については、特に新鮮さもなければ感動も湧かなかった。ただ本作では背景画の精細な描き込みが素晴らしく、異常なほど美麗な映像に仕上がっていたことは手放しで賛美したい。
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