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2015年11月の記事

2015年11月28日 (土)

夜明けの街で

★★★

製作:2011年 日本 上映時間:129分 監督:若松節朗

 原作は累計120万部を突破した東野圭吾のベストセラー小説である。また東野にしては珍しく不倫を軸に置いた作品で、彼の新境地といえる作品と言ってよいだろう。
 ただ残念ながらこの原作は未読であり、全く予備知識のないままこの映画を観て、なぜこんな作品がベストセラーになったのだろうかと疑問に感じた。多分それは原作のせいではなく、映画の脚本構成がいまひとつだったのと、主人公のミスキャスト振りが目立ったことが原因ではないだろうか。

 前半の不倫部分は目新しさはないものの、かなりドキドキして現実感もあった。ところが後半のサスペンス部分が、取って付けたような安易な展開で全く説得力がないのである。
 また主人公の渡部を演じた岸谷五朗が松井秀喜そっくりで、なんだか不倫ドラマには全くそぐわない。ここはもう少し弱々しい優男風の男優を起用したほうが良かったのではないだろうか。

 一方の悪女を演じた深キョンのほうは、まさにはまり役で、こんなに可愛い小悪魔に誘われて断ることが出来る男はいないはずだ。ただヌード無しと言うのは、本格女優を目指すにはまだまだ甘いね。まあいずれにせよ、一度原作を読まねばなるまい。

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2015年11月25日 (水)

恋人たち

★★★☆

製作:2015年 日本 上映時間:140分 監督:橋口亮輔

Lovelove
 『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督が七年振りにリリースした長編人間ドラマである。ストーリーは、無気力な夫と気の合わない義母と暮らしている主婦、同性愛者で完璧主義の弁護士、妻を通り魔に殺害されて立ち直れない男の三人のドラマがパラレルに描かれてゆく。
 それなりに良く出来た作品なのだが、かなり長過ぎる感があり、三つの話のまとめ方もいま一つだった。いずれにせよ、三人も主人公を設定する必要があったのだろうか。少なくともあまり面白くない「弁護士の話」は不要だったような気がする。

 また三つの話の中では、妻を通り魔に殺害されて立ち直れない男の話が中核になっているのだが、余りにも暗過ぎるし物語に幅がなく、最後まで救われないので後味が良くない。どちらかと言えば主婦の話のほうが面白かったのだが、こちらは終盤の突飛な収束が余りも話の腰を折り過ぎている。

 そんな訳で残念ながら『ぐるりのこと』を観たときのような感動は得られなかった。ただお洒落で緻密な構成力は相変わらず健在であり、これからの邦画が進むべく方向を示す作風であることは間違いないだろう。
 また主役の篠原篤、成嶋瞳子、池田良などは、無名で容姿も今一つの俳優達なのだが、個性的な演技と存在感は超一流で素晴らしかった。この監督はこうした俳優たちを見つけるのが上手だよね。従って橋口監督に期待している人が多いようで、平日の昼間だというのにテアトル新宿は超満員、そして観客の熱気で溢れ返っていた。

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2015年11月22日 (日)

屍者の帝国

★★★☆

製作:2015年 日本 上映時間:120分 監督:牧原亮太郎

Sisya
 もともとは伊藤計劃が長編SF小説として書き始めたものだが、冒頭の草稿30枚を遺したままガンで早逝してしまった。その後、伊藤と親交の深かった円城塔が、遺族の承諾を得て書き継いで完成させたという曰くつきの作品である。
 伊藤は2009年12月6日、遺作となった『ハーモニー』で第30回日本SF大賞を受賞するなど、SF界期待の新人でその天才ぶりを発揮したものだが、残念ながら前述した通り34歳の若さで早逝している。だが没して6年経過した現在でもその人気は衰えず、逆にカリスマ的な存在として祀り上げられているようだ。従ってこの伊藤原作のアニメも、多くの伊藤ファンが鑑賞しているようである。

 残念ながら私自身には、伊藤の作品は難解で読み辛く、それほど興味も湧かない。従って本作もエンドロールが流れるまでは、伊藤の原作ものだと言うことを知らなかったくらいである。
 たから予備知識も全くなかったのだが、本作のような世界観は嫌いではない。ただ屍者の研究や屍者を戦闘員として活用するまでは納得できたのだが、生きた人間以上に多量に登場してくると、なんだか『バイオハザード』の世界になってしまい、うんざり感を拭いきれなくなってしまった。あと生前の伊藤自身がゲームデザインに興味を持っていたことからも想像できるが、この作品にはゲーム感覚の臭いが漂っているようだ。
 
 また「人間の魂の重さは21グラムである」と言うのは、米国の医師ダンカン・マクドゥーガルが発表した学説だ。彼は人間が死ぬ際の体重の変化を記録し、魂の重量を計測し、1907年にその実験結果を、ニューヨーク・タイムズや医学雑誌に掲載したのである。そしてさらに記憶に新しいものとしては、2003年に製作されたショーン・ペン主演の映画『21グラム』がある。ついでにその映画の中で語られた名言を次に紹介しておこう。
人が死ぬと21グラムだけ体重が減るという どんな人も
21グラムとは何の重さだろう
何を失うのか いつ21グラム減るのか どれほど失うのか
何が得られるのか どれだけ得られるのか
21グラム  5セント硬貨5枚 ハチドリの体重 チョコバー1個
21グラムの重さとは?
 このときは実に摩訶不思議な気分になったものである。だから本作の『21グラム』については、特に新鮮さもなければ感動も湧かなかった。ただ本作では背景画の精細な描き込みが素晴らしく、異常なほど美麗な映像に仕上がっていたことは手放しで賛美したい。

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2015年11月18日 (水)

心が叫びたがってるんだ。

★★★★☆

製作:2015年 日本 上映時間:119分 監督:長井龍雪

Kokosake
 テレビアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のメンバーが集結して製作した青春アニメである。だがアニメとバカにしてはいけない。とにかく泣けるのだ。いい年こいて、映画館の中でボロボロに泣き崩れてしまった。
 まずオープニングが面白悲しいのである。丘の上に立つ王城のようなラブホテルの前で、自分もいつかは王子様と一緒にこのお城の中に入りたいと願う幼気な少女。とお城の中から車が少女の前を横切ってゆくのだが、なんとその車を運転していたのは少女のパパだったのである。
 パパは王子様だったんだと錯覚し、いま観てきたことをママに話してしまう。結局そのことが原因でパパとママは離婚する羽目に。そしてパパは、「こうなったのはお前のおしゃべりのせいだ」と捨て台詞を吐いて少女の前から消えてしまうのである。その日から少女は、玉子の妖精に喋れなくなる呪いをかけられたと信じ込んでしまう。
 
 それから10年以上経ち、この少女・成瀬順は高校生になっているのだが、相変わらず貝のように口を閉ざし、無理に喋ると腹痛を催すようになってしまったのである。そんなある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員会のメンバーに指名されてしまう。他に指名されたメンバーは、音楽部の坂上拓実、野球部の田崎大樹、チアリーダーの仁藤菜月であった。
 この4人は全く性格や趣向が異なっていたが、それぞれが「言いたいことをきちっと言えない」という面では共通していたのである。また喋れない成瀬順でも、歌なら伝えたいことを声に出せるということが分かり、順が脚本を書き主役を演じるミュージカルをやることに決まってしまうのだった。
 はじめはやる気のなかったクラスのメンバーも次第に盛り上がり、本番当日はきっと大成功と思いきや、前日になって突如事件が起きてしまうのである。さてミュージカルは無事に終わるのだろうか。

 ところで、幼い時に両親が離婚したのは順だけではなかった。坂上拓実も同様であり、こちらは忙し過ぎる父親に代わって、祖父母が一緒に暮らしていたのである。また拓実は仁藤菜月とは中学時代からの学友なのだが、中学時代から彼女に打ち明けられないことがあった。
 そしてそれは菜月も同様だったのである。その菜月に告ったのは田崎大樹だが、彼はあっさり振られてしまう。また怪我をして野球が出来ない大樹は、後輩たちと上手くゆかずいつもイライラしていた。

 こんな具合にそれぞれが青春しまくり、悩みながらも勇気を持って前向きに生きてゆく姿が描かれてゆく。ストーリーも良いが音楽も良い。そして場違いのおじさんも、青春時代の思い出が、脳裏の中を走馬灯のように駆け巡り、熱い涙でぐしゃぐしゃになってしまったのである。

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2015年11月14日 (土)

エール!

★★★★
 
製作:2014年 フランス 上映時間:105分 監督:エリック・ラルティゴ

Eele
 聴覚障害のある家族4人の中で、一人だけ障害のない長女のポーラは、家族の仕事や医者などに行くときの通訳として役に立っていた。もちろん彼女は家族を愛しているのだが、障害者の中で生活することに少々疲れを感じていることも否めない。
 そんなある日、都会からやってきた新任音楽教師によって、ポーラの歌の才能が発掘されることになる。そしてパリの音楽学校のオーディションを勧められるのだが、母親の猛反対あってしまうのであった。

 ここまで書くと、なんとなく暗く固いヒューマンドラマのように感じるだろう。ところがなんとこの作品は、フランス映画らしくないコメディーものであった。ことに父母のオーバーアクション気味の手話や、婦人科での大ぴろげ通訳などは、いまだかつて観たことのない演技やネタであった。
 そんなコミカルな展開の中で、家族を支える役目と自らの夢の間で揺れ動くポーラの心境をシニカルに描いているところは、やはりフランス映画なのかもしれない。

 もう少し歌のシーンが多くても良いのではないかと思った。だがこの作品のメインテーマは、ヒロインが歌手になるまでの出世物語ではなく、障害者たちのほのぼのとした家族愛だったのであろうか。青春あり、家族愛あり、歌ありとなかなか内容の濃いコメディー映画で楽しく見ることが出来た。

 ただ私の個人的な趣向なのだが、ヒロインを演じたルアンヌ・エメラの容貌がちょっと苦手かもしれない。しかし彼女は8歳で歌を歌い始め、16歳の時に参加したフランスの新人歌手発掘番組ザ・ヴォイス(The Voice)で準優勝した新人歌手である。そうした意味では適役だったと言えるし、歌も演技もそれなりに光っていたので、私がとやかく言う筋合いではないかもしれない。

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2015年11月11日 (水)

あなたが寝てる間に

★★★☆

製作:1995年 米国 上映時間:103分 監督:ジョン・タートルトーブ



  天涯孤独なルーシーは、シカゴの地下鉄改札係だ。彼女は毎日顔を合わせるだけの名も知らぬ乗客ピーターに一目惚れしてしまうが、話をするきっかけもなかった。
 ところがクリスマス・イヴに、ピーターは不良にからまれて線路に転落し気絶してしまう。それを見ていたルーシーは、線路に飛び降り、命がけでピーターを救い出す。だが病院で看護師の勘違いから彼の婚約者ということになってしまう。
  ピーターさえ目覚めれば、全てがばれてしまうのだが、ピーターの家族に気に入られてしまい、なかなか本当のことを言えない。そのうえ何故か何日経ってもピーターは目覚めないのだった。

 そこそこ面白いラブコメなのだが、ピーター役と弟のジャック役の俳優及びその家族たちの風貌がいまひとつだったことがひっかかってしまう。それになぜピーターがずっと意識不明のまま寝続けていたのも説得力が薄い。ただヒロインのサンドラ・ブロックが、まだ30歳そこそこの若さで可愛かったことが救いだろうか。

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2015年11月 6日 (金)

プリデスティネーション

★★★★
 
製作:2014年 オーストラリア 上映時間:97分 監督:マイケル・スピエリッグ

 ロバート・A・ハインラインの短編小説『輪廻の蛇』が原作のSFサスペンス映画である。携帯用タイムマシンを使って時空を往来し、犯罪者を取り締まる中年エージェントと、その仲間に誘われる男女両性を持つ青年との宿命的な物語と言えるだろう。主役を演じたイーサン・ホークとセーラ・スヌークの二人もぴったりのはまり役で、存在感たっぷりの味のある渋い演技だった。

 小説のタイトル『輪廻の蛇』とは、自分で自分の尻尾を飲みこむ蛇のことであり、矛盾というか複雑なパラドックスと言う意味なのかもしれない。とにかくハインラインのタイムパラドクスは、しつこいくらい理屈ぽくて秀逸である。
 本作はそのハインラインの絶妙な味とタッチを損なわず、不気味さを漂わせながら実に見事に描いているではないか。ただ内容について詳細を綴ると、その面白さが台無しになってしまうため、評論者泣かせの映画とも言える。従ってあとは観てのお楽しみと言うことで締めることにする。

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2015年11月 1日 (日)

パラドックス13

著者:東野圭吾

 いかにも私好みのタイトルだったので衝動買いしてしまったのだが、相変わらずの読書不精で1年以上も積読状態のまま本棚の隅っこに放置したままにしていた。だが読み始めると、この562頁の分厚い文庫本を、一気に読み耽ってしまったのである。
 さてタイトルの13とは何を意味するのだろうか。3月13日13時13分13秒、突然街から人と植物以外の生物が消えてしまう。だが
無人のはずだった東京には、なんと境遇も年齢も異なる13人の男女だけが生き残っていたのである。そして首相官邸で見つけた『P-13現象』を記す機密文書には、13秒間の空白の謎が・・・。つまりタイトルの『パラドックス13』とは、全てが13に係ってくる大いなる謎と矛盾を意味しているのであろう。

 この小説を読むほどに、東京中心を襲う直下型大地震の恐ろしさを思い知らされる。飲料水や電気が供給されなくなるのは当然だが、首都圏を縦断する一級河川が氾濫して洪水となる。網の目のように広がる地下鉄によって道路が陥没し、地獄行きの暗黒トンネルと化してしまう。もちろん食べ物も、腐敗したり流されたり消費して徐々に消失してゆくだろう。
 またこの小説の世界では、13人しか存在しないので、誰も救援に駆けつけてくれない。だから13人全員が一体となって力を合わせて、なんとか凌いでゆかねばならないが、それも限界があるし、そもそも13人全員の心が一つになれるはずもないであろう。

 こうして物語の大半は、物語中の天候と同じように暗くくすんでほとんど救いようがない展開に終始する。僅かに冬樹と明日香の淡い恋心だけが唯一の救いなのだが、それもこうしたパニック状況下では成就するはずもない。そして一人死に二人死に、生存者が10人以下になった時、全員が失望しながらも、僅かな希望の灯りを求め仲間達は分裂してゆくのである。さて彼等は一体どうなるのか、謎の13秒間とは一体何なのか。極限状態の中で彷徨う人間の真理を追究した意欲作と言えよう。

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