唐山大地震
★★★★
製作:2010年 中国 上映時間:135分 監督:フォン・シャオガン
久し振りに心の底から大感動できる映画に出会った。だからこの映画を観終わったとき、私の眼鏡は涙でぐしゃぐしゃに汚れてしまった。そして普通ならスキップしてしまうはずのエンドロールも、火傷しそうに熱くなった私の心を冷ましてくれる心地良いひとときだった。このような名作には、1年に1~2回程度しか巡り合えないが、運良く巡り合ったときは「いゃー!映画ってホントに素晴らしいね!」と快哉したくなるものである。
さてタイトルの『唐山大地震』は、1976年7月28日に中国河北省唐山市付近を震源として、実際に発生したマグニチュードMw7.5の直下型地震のことである。そして当時有数の工業都市であった唐山市は、この地震によって壊滅状態となった。また死者数は中国の公式発表では約25万人だが、政府の方針により被害実態の多くが伏せられたとも言われ、非公式には60万から80万人、もしくはそれ以上とも言われているのだ。いずれにせよ、20世紀最大の地震被害である。
タイトルだけを見ると、まるで地震をテーマにしたパニック映画のようだが、実は唐山地震で引き裂かれた家族の別れと再会を描くヒューマンドラマなのだ。もちろん序盤に目を覆いたくなるような凄まじい地震シーンがあるが、それはこの物語のはじまりに過ぎない。
大地震で父を失い、幼い姉と弟が一緒に生き埋めとなってしまう。二人とも助けてと泣き叫ぶ母親だが、救助隊にどちらか一方しか助けられないと迫られ、母親は弟のほうを助けてしまうのである。
ところがなんと、てっきり死んだものと死体置き場に捨てられていた姉が、奇跡的に生き返り親切な軍人に助けられ、里子として引き取られてゆく。この映画はそこから、心に傷を負った少女と罪悪感を背負いながら生きる母親が再開するまでの32年間を描いてゆくのである。
ここまでざっとあらすじを書けば、なんとなくこれはきっと感動する作品だな、と感じられるはずである。また美麗な映像、大迫力の大地震のVFXに加え、母と娘を演じた女優さんたちの迫真の演技も見どころであろう。ただ弟がいきなり出世したり、幼子を抱えた姉の苦労話が少ないなど、かなり編集時にカットされた感があるところが気になった。そのためストーリーが跳んで、やや現実感が希薄になってしまったことだけが唯一残念無念である。
さて本作は2010年に製作され、中国では映画歴代1位の興行成績を収めるほど大ヒットし、翌年には日本でも上映する予定だった。だがあの東日本大震災が勃発してしまったため、日本での上映は延期となってしまった、といういわくつきの作品でもある。
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