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2015年9月の記事

2015年9月27日 (日)

イン・アメリカ 三つの小さな願いごと

★★★☆

製作:2002年 アイルランド,イギリス 上映時間:106分 監督:ジム・シェリダン

 もっと泣く映画だと思っていたのだが、際立った大きなメリハリもなく、淡々とした展開のように感じてしまった。だからと言って決してつまらない映画ではんいのだが、レビュー者泣かせの不思議なタッチの作品であるとも言えるだろう。
 ストーリーは、幼い息子を失った家族4人が、それぞれ傷心のままアイルランドからアメリカに移民してくるシーンから始まる。そしていくつかの苦労を乗り越え、さらには新しい生命の誕生とともに過去のしがらみを立ち切って、家族全員が前向きに生きてゆくという清々しい作品である。

 始めのうちは、画面の暗さも手伝ってか、暗く重苦しい映画なのかと錯覚してしまったが、二人の可愛い女の子達の明かるさが、この作品を重苦しい雰囲気から救いあげて、珠玉の一品に導いていたような気がする。印象的だったのは、少女が輸血のために血液を提供するときに、父親に対して『いつまでも子供扱いしないで』といったシーンである。
 父親は娘に対していつまでも子供でいて欲しいものだが、彼女たちはいつの間にか成長してゆくのものである。また影の薄い父親だが、家族のために重いエアコンを持って長い階段を登るシーンは、いかにもアメリカンそのものだと感じた。ただ移民という環境の乏しい日本人には、なかなか感情移入のし辛い作品かもしれない。

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2015年9月23日 (水)

水の時計

著者:初野 晴

 第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞した初野晴のデビュー作である。さて本作では第一章が語られる前に、序章と言うべきなのか・・・いきなりオスカー・ワイルドの『幸福の王子』という童話の要約が記載されているのだ。それはさらに要約すると次のようになる。

 ある町の中に、金箔に覆われ、両目は蒼いサファイア、剣の柄にルビイをあしらった王子の像が立っていました。王子の像は足元で休んでいたツバメに、町の困っている人々に、自分の体の一部分を次々に運んでゆくように懇願します。
 ツバメは南の国へ旅立つ日を延ばして、王子の頼みを聞いてあげることにします。そして王子の像が灰色に成り果てるまで、町の人々に少しずつ金箔やサファイアなどを運ぶのでした。

 読み始めたときは、一体何の比喩なのだろうかと考えていたのだが、この王子とツバメの童話こそ、本作のメインテーマだったのである。本作では王子の代わりに、葉月という脳死と診断された少女が登場し、ツバメの役は暴走族のアタマである高村昴が演じることになる。
 奇妙なことに葉月は、脳死と宣言されていながらも、月明かりの漂う夜に限り、特殊な装置を使って会話することが出来るのだ。そして彼女は高村に、自分の内臓などを移植を必要としている人々に運んでくれと哀願するのである。

 それにしても、何とも言えない摩訶不思議な雰囲気と、おどろおどろしさが漂うファンタジックな寓話ミステリーだ。ラストは、童話のツバメと違って、なんとなく光明を見いだせるところに救いを感じた。まさに横溝正史ミステリ大賞に相応しい作品と言えるだろう。

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2015年9月19日 (土)

マイレージ、マイライフ

★★★☆

製作:2009年 米国 上映時間:109分 監督:ジェイソン・ライトマン

 妙なタイトルだなと思っていたら、四六時中出張だらけで、航空会社のマイレージがどんどん溜まってゆく男のお話だったのである。そして彼の目標は1000万マイル貯めること、そして人生哲学はバックパックに入らない荷物はいっさい背負わず、独身のまま気楽な人生を謳歌することであった。
 そんな彼の仕事は、経営者に代わって従業員たちに解雇を宣言し、その後解雇された従業員たちが騒ぎを起こさないよう穏便に対処することである。その無責任で事なかれ主義なビジネスこそ、まさに彼の人生哲学とリンクした適職だと言えよう。
 また出張するたびに巡り合う謎めいた美女と意気投合し、深い仲となってしまうのだが、彼は旅先のお気楽なセフレとしか考えていない。
 ところがある日、優秀な新人女性が入社し、これまでの出張は時間と経費の無駄だから、PCを使ったチャットでビジネスを運用したほうが良いと提案する。なんとトップがその提案に心酔してしまい、出張は廃止されてしまうのだが・・・。

 原作はウォルター・キルンの同名小説あり、人間ドラマということだが、はじめはビジネスタッチで、途中から急にラブストーリーにチェンジしてしまうのだ。・・・と思ったらなんとラストにどんでん返しがあって、ちょっと後味の悪さが残る。という三段仕掛けのちょっと捻った映画であった。
 主演のライアンをジョージ・クルーニーが、一見クールで軽くそうに見えて、実は優しさに溢れる男を見事に演じている。また旅先で知り合う謎の美女アレックスを演じたヴェラ・ファーミガも、かなり個性的で魅力的な女性であった。
 ジョージ・クルーニーの軽快なテンポは、なんとなく阿部寛を彷彿させられた。またヴェラ・ファーミガは、古いけれど若かりし頃の岸田今日子を思い出してしまったのは、おじさんの勝手な独りよがり以外の何物でもない。

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2015年9月15日 (火)

2番館がもっと欲しいね

Photo
 最近映画館で観たい映画が少なくて困っている。そしてメガヒット間違いなしの大作や、安全パイのお子様ランチ作品ばかりが目につく。また映画館がシネコン化した影響で、何処へ行っても同じ作品ばかりが目白押しの数館併映状態である。そのうえ人気作はかなり上映期間が長びくため、新陳代謝が悪くて困ってしまう。
 
 こんな状況だから、残念ながら勢いDVDをレンタルしたり、TV放映されている昔の名作映画のほうに触手が伸びてしまうのである。一時期は、映画館で年間100本以上観ていたものであるが、最近は年を取ったことも手伝ってか、残念ながらその1/3以下になってしまった。

 また最近は名画座とか昔風の2番館と呼ばれた劇場が少ないのも淋しい限りである。さらに2番館らしき小さな映画館を見つけても、料金はロードショウとほとんど変わらない。そして名画座が復活しても、2本立てのため、上映時刻がサラリーマンの時間帯とはかけ離れてしまうという非現実さがつきまとう。
 少なくとも1本立てで、1000円以下で、かつ午後7時ころが最終の2番館はどうして出来ないのだろうか。それも都心ではなく郊外にね。とは言っても、そんな映画館は絶対に儲かりそうもないから、誰もやりたくないだろうね。

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2015年9月10日 (木)

総理を殺せ

原作:森高夕次 劇画:阿萬和俊

 とんでもないタイトルに一瞬ひいてしまう人もいるかもしれない。だがこれでも、れっきとしたタイムトラベル系のマンガなのである。
 30年後に日本と中国の間で戦争が勃発、総理大臣が核のボタンを押し、中国に原爆を発射する。そしてその報復攻撃として、中国からも東京に原爆が落とされるのだった。
 体に衝撃を受けると過去へタイムスリップしてしまう体質の主人公は、なんと原爆の爆発によって30年過去にタイムスリップしてしまうのである。

 そこで主人公は、未来に原爆のスイッチを押した総理大臣にを抹殺する決心をする。そうすれば30年後に核戦争が起こらないからである。日本いや世界を破滅に導いてしまうその総理の名は『剣崎裕太郎』。彼は軍事増強を図り、いつの間にか徴兵制と核保有を宣言・実行してしまうのだった。

 まずこの時代の若かりし剣崎裕太郎を探し出さねばならない。そして彼を抹殺することが自分に与えられた使命なのだと確信する。というような、ハラハラドキドキのアクションがらみの異色タイムスリップ作品なのである。
 とにかく過去の社会背景や大事件を利用しているところが面白いし、ラストの捻りもなかなかだ。また全二巻というシンプルさもお手軽で、あっという間に読破してしまう。もしかするといずれは映画化されるかもしれないね。ただ後味の悪さだけは、覚悟しておかねばならないだろう。

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2015年9月 4日 (金)

コープスパーティー

★★★☆
製作:2015年日本 上映時間:93分 監督:山田雅史

Coops
 タイトルの『コープスパーティー』とは、廃校を舞台に繰り広げられるホラーアドベンチャーゲームなのだという。だが何故今頃になって、あのPC98版が元祖だというレトロなゲームが映画化されるのだろうか。そのあたりの経緯は全く読めない。
 さてストーリーのほうは、文化祭の後片付けに追われていた数人の男女高校生たちと女性教師が、ずっと友達でいられるおまじないだと信じて『幸せのサチコさん』を実行してしまう。ところがそれは、幸せどころか、恐怖と不幸を呼び込む呪いのおまじないだったのだ。そのおまじないにより、大地震が発生しあっという間に教室が潰れてしまう。しばらくして気が付くと全員が閉鎖された異空間に放り込まれていたのである。

 そこで高校生たちは、恐怖のハンマー男と、舌をちょん切られた小学生の幽霊たちによって次々殺害されてゆく。一体ここは何処なのか、何の恨みでこのような状況を産み出したのか。全員殺されてしまうのだろうか。いや誰かが元の世界に帰ることが出来るのだろうか。
 気味の悪い映像に不安と恐怖と謎が渦巻く摩訶不思議な世界。ただそれほど怖くもなく、幼稚な演出と演技、低予算の製作費がぷんぷんと臭ってくる作品である。だがただ単に大きな音を立てたり、お馴染みの化け物が登場するだけの最近のホラーに比べれば、ずっとましなホラー映画なのかもしれない。

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2015年9月 1日 (火)

東京PRウーマン

★★★☆
製作:2015年日本 上映時間:83分 監督:鈴木浩介

Tprg

 ひと目惚れした男に、銀行員は嫌いだと言われて、自分はPR会社に勤めていると嘘をついてしまったドジなOL三崎玲奈。そしてその嘘を現実に変えるため、なんといきなり銀行を退職し大手PR会社の面接を受けることになったのだ。
 ところが面接でもドジを連発し、挙句の果てに退室するときに、転倒してヒールを折ってしまうのである。これでは絶対に受かるはずはないと諦めていたのだが、なんと社長の鶴の一声で採用が決定してしまうのだった。

 そして映画のほうは、PR会社入社後の、玲奈の活躍ぶりやドタバタぶりを、彼氏との恋愛ゴッコを交えながら、面白おかしく描いてゆくのである。主役の玲奈を演じたのは『桐島、部活やめるってよ』で脇を固めていた山本美月と言う可愛い女の子であるが、彼女をはじめとしてほとんどが余り馴染みのない俳優さん達ばかりだった。だからと言って、超低予算映画と言うほどでもなく、何となくTVの特別番組ドラマ風の味がするのだ。

 それもそのはず、エンドロールの中で、製作したのがBS-TBSであることが分かった。さらにこの映画は、映画の中で実名で登場した総合PR会社である(株)ベクトルと、ストーリープレイスメント手法を用いたタイアップ作品なのだと言うのである。
 なおストーリープレイスメント手法とは、映画の中での商品の映り込み(プロダクトプレイスメント)だけではなく、完全オリジナルの脚本を作成し、商品やサービスをストーリーを通じて伝達する手法を言うらしい。具体的には、BS-TBSが映画を製作し、(株)ベクトルがその映画をPRによって広める役割を果たし、低予算で最大限のPR効果を獲得しているのである。

 また(株)ベクトルがBS-TBSに支払った製作費は、すべて込みで5000万円だと言う。そしてこの映画が例え大ヒットしたとしても、(株)ベクトルには一銭も入らない。
 従ってこの金額が高いか安いかの判断は難しいかもしれない。だが単に商品だけでなく会社全体の宣伝が出来ると考えれば、かなりお安い設定なのかもしれない。なんとなくこのやり方、出版社と自腹を切っても本が出したいと考える個人がコラボし、半自費出版する手法と似ているよね。

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