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2015年7月の記事

2015年7月31日 (金)

きみはいい子

★★★★

製作:2014年日本 上映時間:121分 監督:呉美保

Kimigood
 幼児虐待やいじめなどの問題を提示しながら、「本当の愛とは何なのか」を問いただしたヒューマンドラマである。そして女性でなければ見落としてしまいそうなメンタルな描写は、流石に女性監督の視点であることを感じさせてくれる。
 また本来はもっと暗くジメジメした展開になりそうだが、悩める新米教師役に誠実で明るさを失わない高良健吾を起用したため、絶望感よりも希望を感じるところが救われたのではないかと感じた。
 
 ただ「小学校の新米教師」、「DVの育児ママ」、「自閉症の少年と老女」の三つのお話がパラレルに語られるのだが、多少リンクするものの、それぞれの話に余りまとまりがなく、ちぐはぐだったのが非常に残念でたまらない。
 それにしても小学生の生徒たち全員に対して「くんづけ」で呼べず、男の子でも「さんづけ」にしなくてはならないなんて、面倒くさい世の中になったものである。昔は小学校の教師に憧れたこともあったが、あれではとてもじゃないが、とても勤め上げる自信がなくなってしまった。

 またラストの締めくくりでは、「決して優しさだけでは救われない現実」を直視しその厳しさも描いているのだろうが、なんだか悲しくてやりきれない。それこそタイトル通り『良い子』だったのに・・・。
 それが現実なのかもしれないが、救われない子供が存在してしまうのは、親の責任なのか、はたまた社会全体の責任なのだろうか。永遠に答えのない悲しき命題である。

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2015年7月28日 (火)

呪怨 ザ・ファイナル

★★

製作:2015年 日本 上映時間:89分 監督:落合正幸

Juon
 いままで劇場で邦画ホラーを観ることはほとんどなかった。だが世界一怖いホラーとして名をはせ、ハリウッドでもリメイクされた『呪怨』の完結編と言うことでわざわざ劇場まで足を運んでしまった。

 ところが残念ながら、結局は時間と金を無駄に使ってしまったようである。本作にはストーリーがほとんど存在しないのだ。ただ単に大きな音を立て怖そうなシーンを繋ぎ合わせているだけではないか。それも同じようなシーンばかりで、ちっとも怖く感じなかったのがもっと悲しい。それにファイナルと言っても、ちっとも完結していないじゃん。
 
 またエンドロールが始まったときにすぐ帰る積りだったのだが、なんとなくラストに何かありそうな気配がして、最後までの席を立たなかった。やはりラストに特報が流されたのだが、何と『貞子VS伽椰子』の予告だったのだ。なんだこりゃあ。とうとう『フレディVSジェイソン』になっちゃったなあ。

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2015年7月24日 (金)

愛を積むひと

★★★★

製作:2015年 日本 上映時間:125分 監督:朝原雄三

Aiotumu
 舞台は広大な自然と美しい四季を彩る北海道で、何となく夫婦愛の雰囲気がバタ臭いなと感じていた。と思っていたら、原作が翻訳本としては異例のロングセラーとなっている「エドワード・ムーニー・Jr.の小説だと言う。

 東京の下町で小さな工場を営んでいた篤史(佐藤浩市)は、不振の工場をたたんで北海道で老後を過ごそうと決心する。そしてかつて外国人が暮らしていたという家を購入し、北海道に移住してきたのだが、実は以前から心臓病を患っていた妻・良子(樋口可南子)の静養という意味も含んでいた。

 だが仕事一筋だった篤史は、毎日やることがなく退屈でしようがない。そんなこともあり、良子は夫に手造りの石塀を創るよう頼むのである。最初は敬遠していた篤史だったが、毎日黙々と石を積んでいるうちに、だんだんそれが生き甲斐になりつつあった。

 そんな篤史が抱える悩みとは、病弱な妻の体調に加えて、数年前から絶縁状態が続いている娘・聡子(北川景子)との仲直りのきっかけなのだが、いつまでも意地を張って許せない自分に苛立つばかり・・・。だが石塀作りを手伝う青年・徹(野村周平)との小さな交流をきっかけに、少しずつ新しい心の芽生えを感じ始めるのである。

 だがこの平穏な日々は長く続かず、次々に襲ってくる二つの不幸に打ち砕かれてしまう。このまま篤史の人生は終わってしまうのだろうか。しかし彼は亡妻との約束を果たすため、石塀造りを再開することを決意するのであった。

 それにしても雄大な北海道の大自然が美しい。また家族という存在の絆の深さを再認識させられる作品でもあった。地味で穏やかな作品であるが、是非とも大切な人と一緒に鑑賞してもらいたい映画と言えよう。

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2015年7月20日 (月)

ジュブナイル

★★★☆

製作:2000年 日本 上映時間:105分 監督:山崎貴

 少年4人が不思議なロボットと出会い、地球の海を奪おうとしている宇宙人たちと戦うSFファンタジー。その少年たちが住んでいる場所は、近くに海や森のある田舎であり、まさに「スタンド・バイ・ミー」の世界と言えよう。
 タイトルの『ジュブナイル』とは、ティーンエイジャーを対象読者とする小説のことを指す。従って本作も少年たちが主役で、少年向けに創られた映画と言ってよいだろう。

 宇宙人たちが少しチンケで、画像合成も雑な感じがするのだが、15年前の和製VFXとしてはまあまあなのかもしれない。監督が山崎貴ということで、吉岡秀隆をはじめ数人が『ALWAYS三丁目の夕日』にも出演している俳優だったのは微笑ましい。また山下達郎の主題歌がとても心地良かったね。

 地球が壊滅するかもしれないのに、警察も自衛隊も出てこないし、子供たちだけで宇宙人と戦うという大人にはちょっと気恥ずかしくなる展開なのだが、少年たちが観ればきっと熱くなるのだろう。私的にはある程度予測済ではあったが、ラストの未来シーンがお気に入りである。それにしても、なぜこのDVDはレンタルしていないのだろうか。そのお蔭で中古品もかなりの高値で取引されているようである。

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2015年7月16日 (木)

PK

著者:伊坂幸太郎

 PKとは通常はサッカーのペナルティーキックのことだが、、超能力の「念動力」(サイコキネシス)「psychokinesis」を略してPKと呼称される事もある。また本書ではその双方を描いおり、中編を三部に分けて、最後にそれらが全て繋がるような展開に仕上げている。

 その中編とは主に次のような構成になっている。
「PK」サッカーのワールドカップ予選で、やや不調気味のスター選手が、試合終了間際に劇的なPKを決める話。
「超人」未来に起こる犯罪を予知する能力を持つ超人の荒唐無稽でちょっと怖い話。
「密使」ゴキブリの密使が過去にタイムトラベルし、地球を救うと言うもっともっと荒唐無稽な話と、これら三作の中編を過去・現在・未来で総括する話。
 
 タイムパラドックスの関係を回避しつつ、過去を変化させてもパラレルワールドの派生を防止して未来を明るい方向へ変革してゆくと言う論理展開は、さすが伊坂幸太郎!と唸ってしまった。

 だが正直いまだ良く理解できない部分もあり、読了後もやや消化不良の感が否めず、とくに感動することもなかったのが心残りである。まあ実験的な小説でもあり、一種のパズルだと考えれば納得出来るのかもしれない。だが少なくとも、私が期待したところのタイムトラベル小説ではなく、爽快感も得られずかなり読み疲れてしまった。

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2015年7月13日 (月)

ターミネーター:新起動/ジェニシス

★★★

製作:2015年 米国 上映時間:125分 監督:アラン・テイラー

Tarminetar

 12年ぶりにシュワルツェネッガーが本シリーズに復帰した、と言うことでオールドファンを中心に映画館は超満員であった。そして前半は懐かしいシーンの目白押しでオーッと声があがる。またターミネーターの皮膚は、人間の皮膚と同様に老けていくという設定には笑ってしまう。多分年を取ったシュワちゃんを正当化するために、無理矢理創った設定なのであろう。

 また無理矢理と言えば、今回はタイムマシンがフル稼働する訳だが、ジョン・コナーが死んでしまうためか、時間軸のズレがハチャメチャになってしまうのだ。過去が大きく改変されると未来が変わるのだが、本作では未来が変わったため過去も変わってしまうのである。結局辻褄が合わなくなり、苦し紛れにいわゆるパラレルワールドの世界に突入してしまうのだ。

 だから今までのシリーズとは全くスタンスの異なる作品になってしまったようである。つまり本作では、ターミネーターのT-800は、サラ・コナーの少女時代に、どういう訳か彼女を守るために未来から派遣され、まるで父と娘のようなホットな関係になっているのだ。そこに本来はジョン・コナーの父親になるはずだったカイルがやってくるという、ちょっともつれたストーリーに変化しているのだから驚いてしまう。

 いずれにせよ、複雑なタイムパラドックスが絡むだけではなく、本シリーズを知らない人でないと理解出来ないシーンも多いため賛否の分かれるところであろうか。だが67歳を迎えているシュワちゃんの頑張りようには拍手を送りたいし、サラ・コナー役のエミリア・クラークが微妙に可愛いのも○だね。ただ悪役のジョン・コナーを演じたジェイソン・クラークは、正直あんまり好きじゃないな。それにしても、エンドロール後のあのシーンは何だったのだろうか?まだまだ続編がある感じだね。

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2015年7月10日 (金)

マップ・トゥ・ザ・スターズ

★★★

製作:2014年 カナダ 上映時間:109分 監督:デヴィッド・クローネンバーグ

 デヴィッド・クローネンバーグと言えば、私の頭の中には『デッドゾーン』と『ザ・フライ』しか浮かばない。と言うより、最近は彼の監督作品をほとんど見ていなかった。
 そんな訳で、久々に観る彼の最新作にかなり期待したのだが、残念ながらその期待は大きく裏切られてしまったようである。ハリウッドの汚い部分だけを取り出して、これでもかとばかりにしつこくアピールするのだが、なにせ脚本が退屈過ぎるのだ。

 なんとなくアカデミー作品賞に輝いた『バードマン』と似ているのだが、ちょっと監督の感性が古ぼけてしまったような気がしたのは私の錯覚であろうか。それでもジュリアン・ムーアとミア・ワシコウスカの熱演にだけは拍手を送りたい。ただジュリアン・ムーアのウンコシーンやブヨブヨで汚い肌は余り観たくなかったな。

 この映画のテーマはどう観ても、ハリウッドセレブたちの腐敗ぶりと、近親相関から生まれた子供たちの異常さを描いているとしか思えない。そして重くて暗くて、ジメジメした後味の悪さばかりが置き去りにされてしまう。一体監督は何を言いたかったのだろうか。凡人の私には理解出来な過ぎる作品である。

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2015年7月 5日 (日)

エンド・オブ・ホワイトハウス

★★★☆

製作:2013年 米国 上映時間:120分 監督:アントワーン・フークア

北朝鮮系のテロリストグループが、訪米した韓国首相護衛隊に紛れ込んで大統領を拉致し、ホワイトハウスを占拠する。挙句は核兵器に係る機密コードを盗んで、全米いや世界中を震撼させるのである。

 とにかくテンポが良く、かつ重量感漂う迫力あるアクションシーンは、さすがハリウッド映画だと唸ってしまう。それにしても、SWATが24時間態勢で警戒し、地対空ミサイルまで配備されているという鉄壁の要塞を、僅か13分で制圧してしまうほど北のテロリストは強力なのだろうか。またミサイルを跳ね返してしまう防御スクリーンの開発までされているとはね・・・。

 もしこれが、首相官邸にドローンが飛ばされたのも気付かなかったほど平和ボケしている日本だったら、きっと僅か10秒程度で制圧されてしまうだろう。とは言っても、いくら映画でも北のテロリストが凄すぎるし、米国の防御体制もお粗末過ぎるのではないだろうか。なんだか観ていて無性に腹が立ってしまった。

 それをジェラルド・バトラー扮する元シークレット・サービス一人の活躍によって、全てが解決してしまうと言うのも如何なものか。ダイ・ハード同様ほとんどスーパーマンの世界なのだ。そしてどんなに窮地に陥っても決してジョークを忘れない。またラストの締め方も、呆れるほどアメリカ人好みで単純明快ではないか。

 それでも四六時中ハラハラドキドキするし、ラストには思わず万歳したくなってしまうのだから、ハリウッド映画とは大したものである。アメリカって、本当に分かり易い国なんだなあとつくづく再感せざるを得ない。
 ところでなぜ同じ時期に、ホワイトハウス・ダウン』という似たような映画が製作されたのだろうか。なんだかこちらのほうも気になってしょうがないな・・・。

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2015年7月 2日 (木)

聲の形

作者:大今良時
 作者の名前を見る限りてっきり男性かと思い込んでいたら、なんと26歳の女性だと言うのだ。ちょっと驚いたが、良く考えれば、絵柄や登場する女性たちの心理描写がいかにも女性的な感性だと思っていたものである。

 さて本作品をジャンル分けすれば、いわゆる『学園ラブストーリーもの』になるのだが、そんな単純な括りでは済まされない。つまりヒロインが聴覚障害者であることに加え、障害そのものに対してイジメを受けてしまうと言う設定がかなり斬新でショッキングなのである。それもハンパなイジメではなく、かなり大胆にこれでもかとばかりに本気でイジメ抜くのだから驚きだ。

 最近では建て前として、障害者をイジメたり貶したりする物語はタブーだったはずである。それを例え小学生とはいえ、かなり本音で執拗に障害者をイジメ抜く描写は、悲しくなるほど残酷なのだ。
 ところがそのイジメは第1巻だけであり、その後はいきなり高校生になった主人公の石田将也が、小学生時代の過激なイジメを反省し、過去にイジメ抜いた聴覚障害者の西宮硝子に逢いに来るところから全てが始まるのである。つまりイジメがテーマではなく、障害者イジメという負債を背負った主人公のケジメのお話なのかもしれない。

 このマンガは、当初週刊少年マガジンに連載されたのだが、いきなり2014年度「コミックナタリー大賞」第1位、「このマンガがすごい!2015」オトコ編第1位、「マンガ大賞2015 」第3位、第19回手塚治虫文化賞新生賞と立て続けに受賞している。そして近々劇場用アニメが製作されると言う。そのうち実写化されたドラマや映画化される可能性もある。
 そして本作はだらだらと無理矢理延長せず、単行本で全7巻という理想的な長さで、余韻を残しながら最終回を括っているのも心地が良いではないか。老若男女誰にでも楽しめるお話なので、是非ご一読されたい。

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