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2015年6月の記事

2015年6月27日 (土)

チャッピー

★★★★

製作:2015年 米国他 上映時間:120分 監督:ニール・ブロムカンプ

Chappy
 あの『第9地区』で興行的に大成功を収めたニール・ブロムカンプ監督のSFアクション映画である。本作ではなんと、ヒュー・ジャックマンとシガニー・ウィーバーの大物二人が、それとなく悪役で登場するから驚きだ。

 本作の主役はもちろんロボットのチャッピーであるが、『第9地区』で主役を演じたシャールト・コプリーが、今度は声とモーションキャプチャでチャッピーを演じているのである。これで彼とニール・ブロムカンプ監督のコラボは三回目になると言う。

 さてストーリーのほうは、ロボット版の『ピノキオ』と言ったところか。つまり自分自身で感じ、考え、成長することが出来るロボットが発明されてチャッピーと名付けられるのだが、悪者にさらわれ騙されて悪事に利用されてしまうと言う展開なのである。ちょっとコミカルで荒唐無稽、まさにSF版お伽話と言えよう。
 
 ただ本作も『第9地区』同様主役不在で、この監督の癖というか体臭がプンプン臭ってくる独特の映画なので、かなり好き嫌いの別れる作品かもしれない。またラストの締め方に、なんとなく手塚治虫のマンガを想像してしまったのは私だけであろうか。

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2015年6月25日 (木)

紙の月

★★★

製作:2014年 日本 上映時間:126分 監督:吉田大八

 原作は直木賞作家の角田光代の小説で、映画化される直前にTVドラマが製作されている。私自身は小説も読んでいないし、TVドラマの存在さえも知らなかった。だから映画がこれほどつまらないのは、原作のせいなのか下手な脚本のお蔭なのか全く判断が出来ない。

 また主演の宮沢りえが、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞に輝いたのだが、どうもそれほどインパクトもないし、演技のほうも特段極め付けとも感じなかったのは私だけであろうか。むしろベテラン行員を演じた小林聡美のほうが助演女優賞を取れなかったのが不思議なくらいである。

 さてストーリーのほうは、銀行に勤務する平凡な主婦が引き起こす横領事件を描いているのだが、昭和時代にはよくある話であった。その中で有名なのは、滋賀銀行の奥村彰子、足利銀行の大竹章子、三和銀行の伊藤素子などであり、一番巨額の横領事件は奥村彰子の9億円である。

 またいずれも事件を引き起こした動機は『男に貢ぐため』であり、最初は小口に始まり次第に大胆になってゆくというパターンを踏襲している。本作でも一度でやめれば闇に葬られたものを、年下の男性(池松壮亮)の気を引くために、何度も大胆な横領を繰り返して墓穴を掘ってしまうのだ。

 ところで犯罪を犯してしまう女性たちは、なぜいつも陰に男の存在があるのだろうか。その論理が非常につまらない。悪いことをするにしても、自分のためにだけ遂行しないから、結局は白日の下に晒されて逮捕されてしまうのである。悲しきは女の性なりにけりか・・・。

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2015年6月20日 (土)

タイム・ハンターズ

★★★

製作:2013年 ロシア 上映時間:100分 監督:ユーリー・モロズ

 タイムトラベルものには、不出来な作品が多いのだが、タイムトラベルマニアとしては作品の良し悪しよりも、とにかく観ることが優先してしまう。という訳で今回も衝動買い、いや衝動レンタルしてしまった。
 ケータイ電話と謎のアプリの組み合わせで、たちまちインスタントタイムマシンが完成。これを使ったロシアのジャーナリストが200年前にタイムスリップし、ロシア軍と海賊たちとの戦いに巻き込まれてゆく。

 SFアドベンチャーコメディーと言えば良いのだろうか。珍妙なロシア映画である。ただなぜタイムスリップする必要があったのかが、未だに良く判らない。またロシアの歴史に疎いため、かつて米国に実在したロシア領「ロス砦」についても初めて知ることになった。この映画を観る前に、その辺の事情を知っていれば、もう少し楽しく鑑賞することが出来たかもしれない。

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2015年6月16日 (火)

ヘラクレス

★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:98分 監督:ブレット・ラトナー

 神の子ヘラクレスを主人公にした映画は過去にいくつもあるが、本作のように人間ヘラクレスを泥臭く描いた作品は珍しい。ヘラクレスを演じたのは、元プロレスラー「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンである。また神々が全く登場しない現実路線の本作が成功したのは、彼の存在感と鍛え抜かれたその肉体美や豪快な身体能力のお蔭であろう。

 従って本作でのヘラクレスは、神話の中に登場する超人ではなく、あくまでも人間であり血も流すし不死身でもない。ただ圧倒的な体力と、スバ抜けた格闘能力を持っていることだけは確かである。だが基本的には一人では戦わず、少数だが優秀な精鋭部隊を率いて戦うのだ。またこの精鋭部隊が個性的で皆強いので、戦闘シーンもバラエティーに富んでいてなかなか面白い。

 ただ特に大きな感動シーンもなく、荒唐無稽な神話的シーンもない(オープニングでの戦闘は仲間の大げさな語りなので)。そしてラストも勧善懲悪で、ほとんどが許容範囲で筋書き通りの王道映画と言っていいだろう。どちらにせよ余り深く考えずに、エンターテインメントとしての映画を楽しみたい方には超・おすすめ作品かもしれない。

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2015年6月13日 (土)

柘榴坂の仇討

★★★★

製作:2014年 日本 上映時間:119分 監督:若松節朗

 原作は浅田次郎の短編小説集『五郎治殿御始末』所収の一編である。
 安政七年、主君・井伊直弼(中村吉右衛門)の御駕籠回り近習役として仕えていた彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は、桜田門外において井伊直弼の暗殺を防ぐことが出来なかった。金吾は切腹も許されず、仇討ちの密命を受けるが、敵を捜し続けて13年の月日が経過する。

 時は既に明治6年となり、政府は仇討ち禁止令を施行する状況の中で、やっと最後の敵である佐橋十兵衛(阿部寛)を捜し出し、雪の降る柘榴坂で決闘をすることになる。 この決闘の結末はいかに、これは観てのお楽しみにしておこう。

 さて金吾が敵を探し求めている13年間の間に明治維新を迎え、時は大きく変遷して世の中も人の価値観も180度変わってしまう。その間に一番割を食ったのは武士たちかもしれない。
 それでも彼らは生きるためにいろいろな職業を選択したようだ。だが時代に対応出来ず古い価値観を捨てきれない武士もいた。本作ではそのあたりの心情を、それとなく所々に散りばめながら見事に描いていたと思う。いずれにせよ最後まで気を緩められなかったが、私好みのハッピーエンドで締めくくられたのはとても嬉しい限りである。

 表向きは武士道と主君に対する忠義がテーマのように見えるが、実は隠れたテーマとして、雪の中にひっそりと咲く椿の花のように「ひたむきに生きる」ということ、そしてもうひとつは「新しい時代の男女愛」のような気がしたのは私だけであろうか。金吾の妻役は広末涼子、そして敵役の十兵衛の恋人役に真飛聖。どちらも細面で時代劇が似合う品の良い美女だ。そんなこともあり、本作はどちらかと言えば、中年以降の男性が感動できる作品に仕上がっているのではないだろうか。

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2015年6月 9日 (火)

夜行観覧車

著者:湊かなえ

 海が見下ろせる高級住宅地・ひばりが丘に住む『遠藤家』、『高橋家』、『小島家』それぞれの家族が抱える悩みを描いたお話。彼等が抱える葛藤は、家庭内暴力、再婚と子育て、孤独な老人環境、果ては殺人事件に発展してゆく。
 湊かなえの本を読むのは、『告白』、『白ゆき姫殺人事件』に続いて三作目であるが、その文体が全て告白文調である。三作全てが告白文調だったのは偶然だと思うが、告白文調以外の小説も一度読んでみたいものだ。逆に言うと、もう告白文調の文体はごちそうさまと言いたい。

 さて『告白』、『白ゆき姫殺人事件』は映画化されたが、本作は今のところTVドラマ止まりである。まあ舞台が限定されているし、家庭内の葛藤をテーマという繊細かつ身近なお話なので、一発ものの映画よりジワジワ続く連続ドラマのほうが似合っていることも確かであろう。
 また本作は家庭内で起きた殺人事件を扱っているものの、ミステリーという訳ではないようだ。特に画期的な謎解きやどんでん返しがあるわけでもなく、ラストも当たり前の平坦な結末で閉じられ、感動的なエンディングも訪れなかった。
 さらには親のことを「あんた」呼ばわりする不愉快な娘や、自分勝手な母親たちばかりでうんざり感が募るばかり。そしてなぜか男たちは全員が弱々しく存在感が希薄である。

 作者は本作を、現代が抱える「家庭の病巣」を提示したヒューマン小説だと言いたいのだろうか。だがテーマが古過ぎるし全体的なストーリー構成が単調で、尻切れトンボのような雑な創り込みであることも否めない。

 そしてタイトルの『夜行観覧車』とはいったい何を意味するのであろうか。ラストで小島さと子が息子に次のように話しかける。これがヒントなのだろう。
「長年暮らしてきたところでも、一周まわって降りたときには、同じ景色が少し変わって見えるんじゃないかしら」
 だがこのメタファーでは、余りにも説得力に乏しい気がする。どうも苦し紛れに無理矢理こじつけたような気がしないでもない。もしかすると、このような曖昧なタイトルの付け方は、作者自らが本作に自信を持てなかった証なのかもしれない。

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2015年6月 5日 (金)

寄生獣 完結編

★★★☆

製作:2014年日本 上映時間:118分 監督:山崎貴

Kisei2
 原作マンガの完成度の高さにつられて前作を観てしまったのだが、邦画としてはCGやVFXの出来に感心したものの、ストーリーの省略度が激しく、いま一つだというイメージが残っていた。だからそれほど観たくもなかったのだが、やはり続きを観ないわけにもゆかず、渋々地元のシネコンで観ることになってしまった。

 さて地元の映画館が集客力がなかったのか、本作が面白くないのか、終映日が近づいていたからか。いずれにせよ、いくら平日の昼間とはいえ、観客三人とは余りにも悲し過ぎるよね。エアコンの冷たさが、シミジミと肩に染み込んでくるような気がした。

 なんといっても本作最大の見どころは、深津絵里扮するところの田宮良子が、公園で射殺されるシーンだろう。彼女の透き通るような美しさと、その演技力も素晴らしいけれど、赤ちゃんの表情がとても良かったね。原作を読んでいるので、全ての結果は分かっていたのだが、このシーンでは不覚にも涙を流してしまった。
 それからクライマックスの後藤とのバトルにも期待していたのだが、浅野忠信の存在感は十分堪能したものの、やはり前作同様いろいろと省略が著しい。原作以上に派手な映像には納得するものの、何せ戦闘シーンが単調で短過ぎたのはかなり残念である。

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2015年6月 1日 (月)

百日紅

★★★
製作:2015年 日本 上映時間:90分 監督:原恵一

Sarusuberi
 江戸時代後期の代表する浮世絵師といえば葛飾北斎である。その北斎には葛飾応為(かつしかおうい)という娘がいたと言う。その絵柄は北斎のような迫力こそないが、現代的な色使いと繊細さは、なかなかモダンで粋であった。

 この映画は、その葛飾応為の若かりし日々を描いた時代劇アニメなのである。そして頑固で偏屈な北斎の浮世絵制作と、家族の絆を陰で支えたお栄(後の葛飾応為)の心情と不思議な才能を巧みに描いた名品アニメと言っても良いだろう。
 きっと観客たちは、江戸情緒漂う描写と主人公のキャラ絵には必ず魅かれるはずである。ことにお栄が龍の絵を描くシーンや、盲目の末娘が雪遊びをするシーンなどは実に感動的であった。
 
 ただ声優ではなく、有名俳優を使用したこと。ストーリー全体にまとまりがなく、小さな出来事をバラバラに並べただけで、エンディングも余り盛り上がらなかったのが非常に残念である。さらにエンドロールで流れていた音楽。と言うより鼓膜が破けそうな爆音は何とかならなかったのだろうか。それでせっかくの江戸情緒も霧散してしまい、後に残ったのは不愉快さのみだった。この不釣り合いな爆音がなければ、少なくとも★4以上は確実だったのにね。

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