タイム・クライム
★★★
製作:2013年 韓国 上映時間:98分 監督:キム・ヒョンソク
2007年に『TIME CRIMES タイム クライムス』というスペイン映画が製作されているが、本作はそのタイトルをパクったような韓国のタイムマシン映画である。
タイムマシンを開発したものの、24時間未来に行けるという確証を得ただけで、莫大な研究費用がかかるため、スポンサーから撤退の指示が出ることになってしまう。だがそれに納得出来ない研究室長のウソクは、仲間の反対を押し切って自ら実験台となり、タイムマシンに乗り込んで24時間後の世界に旅立つのだった。
ウソクが24時間後の世界で見たものは、廃墟となった研究所と、防犯カメラに写されていた不気味な映像であった。一体24時間の間に何が起こったのだろうか。なんとか元の世界に戻ったウソクは、危険なので早く撤退しようと反対する仲間を制して、必死で謎の解明に取り組むのだが、結局それが現実に起こるのを防ぐことは出来なかった。とにかくウソクの行動には一々納得しかねるし、フラストレーションがたまり過ぎたよね。
まさに序盤のストリーリー展開からタイムトラベルまでの流れは、心が躍りワクワクさせられたのだが、そのあとが全くいただけなかった。タイムマシンの稼働はたったの一回だけだし、仲間同士で殺し合いを始めたり施設の破壊が続き、退廃的で暗くて陰鬱な展開に終始してしまうのだ。これではタイムトラベルの持つ面白さ・摩訶不思議さ・どんでん返しの妙などの味が全くなく、全くカタルシスも得られない。
なぜそんな不愉快な流れになってしまったのか。またその引き金となった「研究所大爆発の直接原因」が余りにもバカバカしく説得力がない。せっかく立派なタイムマシンが登場するものの、これはSFというよりミステリー・ホラーという雰囲気がする。だがそれならばちっとも怖くないのも情けないではないか。要するにただただ、「24時間後の世界がパズルを解くように合成されてゆく」という作品に留まっているだけなのである。
またウソクと一緒にタイムマシンに搭乗したヨンウンの革スーツが、気絶している間に「とっくりセーター」に着替えられていたのが、何とも不自然で気に入らない。多分二人のヨンウンが同時に登場するため、それを区別するための手法だと思うが、着替えをする理由とそのシーンを挿入するべきではなかったか。
細かいことかもしれないが、こうした神経質な配慮があってこそ、荒唐無稽なSF話も成立するのである。逆に言えばそうした繊細さに欠けているからこそ、中途半端な作品にしか仕上がらなかったのかもしれない。
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