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2015年4月の記事

2015年4月28日 (火)

浪人街

★★★☆

製作:1990年 日本 上映時間:117分 監督:黒木和雄

 何となく黒沢明監督の時代劇を思わせる創り方だが、なんとオリジナルは1928年にマキノ正博監督による日本のサイレント映画で、大ヒットした剣戟映画(けんげきえいが)シリーズなのだという。その後リメイク作品が何本も創られているが、本作はそれらの中では一番新しい作品である。

 この映画の最大の見どころは、何と言っても終盤の旗本120人対浪人4人の壮絶な戦なのだが、それ以上に個性的なキャストたちにも痺れてしまうだろう。曲者の浪人たちを演じるのは、原田芳雄、石橋蓮司、田中邦衛、勝新太郎で、悪役たちも中尾彬、佐藤慶の定番悪役が揃っている。さらにチョイ役でうどん屋を演じた長門裕之の渋い演技と、勝新太郎の掛け合いもなかなか見応えがあった。

 それにしても、この映画に出てくる武士たちには武士道も忠義もない。まっとうな男は居酒屋の主人位で、主役である4人の浪人たちにしても、金と女と酒に溺れて生きているようなヤサグレばかりなのである。まあ時代背景が幕末に近い頃と言うことで、堕落した武士達が蔓延していたのだろうか。
 
 ただ浪人たちの中では、断トツに殺陣の上手いはずの勝新太郎に全く殺陣をさせなかったことが解せない。そして逆に原田芳雄の出鱈目な殺陣がちょっと気になったが、命がけの必死な戦いならあれが現実的なのだろうか。また現在の石橋蓮司からは絶対に想像出来ないが、彼の迫力ある居合斬り殺法は見応えがあったね。
 アウトロー時代劇として皮肉たっぷりで、なかなか面白い作品だと思った。だが過剰に期待していたせいか、脚本と演出に何かもう一味足りない気がしたのは私だけであろうか。

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2015年4月24日 (金)

アダプテーション

★★★

製作:2002年 米国 上映時間:115分 監督:スパイク・ジョーンズ

 『マルコビッチの穴』を作った同監督の自伝ともいうべき、またまた変ちくりんな映画である。
 それにしても主演のニコラス・ケイジが、性格の正反対の双子役を、1人2役で上手に演じていたのが印象的であった。ただ前半のストーリーは、ありきたりの日常を淡々と描いているだけで、地味で『退屈きわまりない状態』が延々と続くのでご注意。

 ところが後半になって話が急展開し、何故か急にアクション映画へとチェンジしてしまうのである。この変わり様には、ちょっとついてゆけないし、前後の繋がりにも違和感を感じてしまうだろう。
 またせっかくはまり役のインテリ女史を演じていたメリル・ストリーブを、後半であそこまで貶めたのも許せない気がする。

 同じ変な作品でも『マルコビッチの穴』は、一風変わった味のある面白い映画であった。しかしながら本作のほうは「大いなる駄作」のような気がしてたまらないのは私だけであろうか。

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2015年4月22日 (水)

タイムマシンの殺人

著者:アントニー・バウチャー(白須清美訳)

表題作を含んだ、以下12作を集めた短編集である。
1.先駆者
2.嚙む
3.タイムマシンの殺人
4.悪魔の陥穽
5.わが家の秘密
6.もうひとつの就任式
7.火星の預言者
8.書評家を殺せ
9.人間消失
10.スナルバグ
11.星の花嫁
12.たぐいなき人狼

 著者のアントニー・バウチャーは、米国ではミステリ評論家としての地位を確立しているが、ミステリ、SF、ファンタジーなどの作品を創作する作家でもある。さらには翻訳家でもあり、なんと編集者としても多大な実績を残しているのだ。

 表題作の「タイムマシンの殺人」は、45頁の中・短編で、42分前の過去にしか行けないタイムマシンを使って、巧みに殺人のアリバイ作りをするというSFミステリである。ただタイムマシンとかタイムパラドックスといった部分には余り拘りがなく、あくまでもミステリ小説として紡いでいるので、タイムトラベルものを期待しないほうが良いだろう。

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2015年4月20日 (月)

告発の行方

★★★★

製作:1988年 米国 上映時間:110分 監督:ジョナサン・カプラン

 主演のジョディ・フォスターは、本作品と『羊たちの沈黙』で第61回アカデミー主演女優賞を獲得し、人気・実力共にアメリカを代表する女優の礎を築いたのである。まさにその受賞が納得できるほど、彼女は難しい役どころを見事に演じているし、レイプされるシーンも痛々しく凄まじかった。
 本作の主題は、集団レイプとその判決である。ラストの字幕にもあったが、米国では集団レイプの件数がハンパではなく、深刻な社会問題となっているという。本作ではその集団レイプにスポットを当てているが、一方で検察側と弁護士側の不正な癒着に関してもチクリと針を刺している。

 アカデミー主演女優賞に輝いたジョディ・フォスターはともかくとして、一方で女性検事補を演じたケリー・マクギリスの存在も無視できないだろう。180センチ近い長身の彼女は、まさに逞しい女性検事補そのものだし、その風貌もなかなか魅力的であった。そしてなんと彼女自身が、1982年にレイプ被害に遭っていると言うのだ。実に皮肉な巡り合わせではないか。

 ただ残念なことに、裁判ものとしてはかなり迫力に欠け、ただただ弁護士の嫌らしさだけが強調されているだけであった。法廷シーンにもっとメリハリをつけたり、どんでん返しを用意したりして、もっとハラハラドキドキさせるような脚本を書けなかったのだろうか。お蔭で判決後も、十分なカタルシスを得ることが出来ないまま、なんとなくエンディングになってしまった気がするのだ。

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2015年4月17日 (金)

ニンジャ・アベンジャーズ

★★★☆

製作:2013年 米国 上映時間:94分 監督:アイザック・フロレンティーン

Ninja
 甲賀流忍者の修行をした米国人ケイシーは、道場主の娘である武田波子と結婚して幸せな日々を送っていた。ところがある日、ケイシーがちょっと留守にした隙に、何者かの襲撃により妊娠中の妻が惨殺されてしまうのだった。リベンジに燃えたケイシーは、犯人と思われる麻薬密売組織のボスに戦いを挑み、ミャンマーのジャングルへ向かうのだが・・・。

 よくある米国製の日本武術映画であるが、それほど日本を曲解した感が無かったし、妙な日本語を使う韓国人や中国人を日本人役として使っていないところには好感を持った。それに何と言ってもケイシー役のスコット・アドキンスと先輩役を演じたケイン・コスギの肉体美とスピーディーアクションが凄い迫力なのだ。
  またボス役を演じた菅田俊の渋くて凄味の漂う佇まいには、思わず身震いしてしまったほどである。今でもこんな俳優が居たんだと、改めて自分の無知さを痛感してしまった。

 ただストーリーのほうは直線的でハチャメチャな感があるし、「忍者」と言っても終盤の衣装だけで、その実態は「空手家若しくは武術家」ではないか。忍者を期待してこの映画を選択したのだが、タイトルに騙された気がしたのは私だけではないはずである。まあそれでも身体を張った生アクションが好きな人には必見の映画かもしれない。

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2015年4月11日 (土)

ゴジラVSキングギドラ

★★★☆

製作:1991年 日本 上映時間:102分 監督:大森一樹

 1992年のことである。東京上空に突然UFOが出現!と思ったら実は23世紀からやってきた未来人を乗せたタイムマシーンであった。彼等の飛来目的は、ゴジラによって壊滅的被害を受けた23世紀を救うため、まだ23世紀ほど強力になっていないゴジラを抹殺するため、20世紀にやってきたというのだ。

 そして彼らは、ゴジラが誕生する以前の過去に跳び、ゴジラの誕生そのものを阻止しようとする。そしてゴジラの代わりにキングギドラを誕生させるのであった。なぜそんな面倒なことを仕掛けたのか。実は未来人たちの真の目的はゴジラの抹殺ではなく、日本の経済発展を阻止することにあったのである。

 最終的にはタイトル通り、ゴジラとキングギドラの対決になるのであるが、前半から中盤までのストーリー構成がこれまでのゴジラ映画とは一線を画しているところが特徴的で面白かった。ただ残念ながらタイムパラドックスに矛盾が多く、しかもハリウッド製SF映画からの流用が目立ち、ちょっと臭い映画になり下がっている。

 ゴジラの誕生秘話の部分が一番興味深かったが、キングギドラの誕生秘話のほうは、取って付けたようで余り感心しない。そもそもキングギドラは宇宙からやってきた怪獣だったはずである。また未来人たちの不可解な行動や、ドタバタ調のアクションもこの作品の価値を貶めてしまった気がする。

 もっとシリアスでスケールを大きくして、さらにもうひと捻りした展開と丁寧な創り方をしていれば、本作はゴジラ映画の中でもトップクラスの評価を得ていたのではないだろうか。子供向けなのか大人向けなのか、中途半端なゴジラ映画だったのが非常に残念である。またせっかくの斬新なアイデアを、このような中途半端な作品として潰してしまった事が悔やまれるし、実にもったいない話ではないだろうか。

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2015年4月 8日 (水)

過去からの手紙

著者:岸田るり子

 タイトルに惹かれて読んでみたのだが、タイムトラベルものではなく、ジュニア向けのファミリーミステリーだった。確かに母親が残した手紙が、事件のカギを握るポイントではあるのだが、「過去からの」という表現が紛らわしい。「過去から届いた手紙」のように錯覚してしまうタイトルだが、単純に「過去に書いた手紙」ということなのである。なーんだつまらない。

 主人公である高校生の香山純二が、一週間振りに沖縄合宿から帰宅すると、家には母親の姿が見えない。そして郵便受けには2日前の新聞や手紙が詰まったままだ。さらにリビングのテーブルの上には母親の書いた不可解なメッセージが残されている。そして母が指定のゴミ袋を使用しなかったため、捨てたはずのゴミ袋が玄関前に戻されており、しかも不思議なことにそのゴミ袋の中に買ったばかりの肉がまるごと捨てられていたのである。

 母親は一体どこに消えてしまったのだろうか、なぜ母は指定のゴミ袋を使わなかったのか、またなぜ買ったばかりの肉をそのまま捨ててしまったのか、そして置手紙の正体は・・・とバカバカしいような謎が一度に提示される。この謎を純二とクラスメートの音輪静海、上田貴之、花咲京子の4人で結成した「少年少女探偵団」が解明してゆくのである。

 謎そのものは陳腐であるが、次々に新しい謎が発生し、それをパズルのように解いてゆくという技法だけは、さすが海外のミステリーを読み込んでいる著者の力量だと認めたい。ただストーリーテラーとしては、素人の域を出ていない感がある。それに登場人物が限定的で底が浅いし、純二の父親と静海の母親の存在感が全くないのは奇妙なくらいだ。

 ジュニア向けの作品だから、と言ってしまえばそれまでだが、読み易いことを除けば中途半端で頼りない作品だと言いたい。また兄の幽霊が登場してみたり、たいして面白くもない料理談義も、ページ数を増やすために無理やり取ってつけたような感がある。そしてラストの収束も、ありきたりで鋭い捻りもない。まあ毒にも薬にもならないが、ジュニアならそこそこ楽しめるのかもしれない。

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2015年4月 6日 (月)

僕達急行 A列車で行こう

★★★☆

製作:2011年 日本 上映時間:117分 監督:森田芳光
Bokutachi
 ほのぼの感がたっぷりの本作品だが、残念なことに森田監督の遺作となってしまった。
 大手不動産会社「のぞみ地所」の社員である小町圭と、零細企業「コダマ鉄工所」の二代目である小玉健太は、全く住む世界が違うのだが、共に「鉄道オタクである。ひょんなことから二人は旅先で知り合い意気投合し、無二の親友となるのだった。

 趣味が幸いして人間関係を広げ、それがビジネスチャンスとなる。そんな展開はあの『釣りバカ日誌』とちょっと似ているかもしれない。
 それにしても登場人物の名前が「こまち」、「こだま」、「あずさ」、「ちくご」、「ひゅうが」、「はやと」、「おおぞら」、「いなほ」などの列車名でずらりと並んでくるのも笑えるね。

 また風景が実に美しい。一体どこの風景なのかと調べたら、主なロケ地は九州では、久大本線の豊後森駅(大分県)、筑肥線の駒鳴駅(佐賀県)、福岡市地下鉄空港線、直方市の汽車倶楽部、JR博多駅など。また関東での主なロケ地は、わたらせ渓谷鉄道の列車車内、北千住駅、尾久駅、西日暮里駅、京急の京急蒲田駅、神奈川新町駅、六郷土手駅、鶴見線の海芝浦駅、富士急行大月線の列車車内、富士山駅の周辺だという。
 なにしろ本作に登場する列車の車両数は20路線、80モデルにも及んでいる。電車好きには堪らない映画だろうな。
 
 主演は小町圭を演じた松山ケンイチと、小玉健太に扮した瑛太だが、二人とも息がピッタリ。これからもコンビを組めそうな雰囲気が漂っていた。
 それから、瑛太とその父親を演じた笹野高史の父子関係が、実に楽しくほのぼのとしていて羨ましくなってしまった。こんな親父と息子なら一生涯仲良くやって行けそうだね。

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2015年4月 2日 (木)

イエロー・ハンカチーフ

★★★

製作:2008年 米国 上映時間:96分 監督:ウダヤン・プラサッド
Yelor
 ご存じ山田洋次監督の名作で、高倉健が主演を張った『幸福の黄色いハンカチ』をリメイクした米国版ロードムービーである。
 国情の違いなどから、細かい設定は微妙に異なるものの、ほとんどオリジナルに忠実なストーリーだった。また主演のウィリアム・ハートも剥げていることを除けば、健さんに負けず寡黙で渋い男を完璧に演じていた。

 それに主人公の妻を演じたマリア・ベロもなかなか味のある女優である。オリジナルの倍賞千恵子のような清楚で控えめなイメージは全くないが、米国女性なら気が強いほうが自然な描写なので問題ないだろう。

 またオリジナル版で準主役を張った桃井かおりが、安ホテルの経営者として登場した時は笑ってしまった。その桃井かおりと武田鉄矢が演じた若者二人のカップルは、陽気でお茶目なキャラで、寡黙な健さんをフォローする役割も担っていた。ところが本作に登場する若いカップルは、二人とも真面目過ぎてオリジナルでの「中和剤的役割」を果たせなかったところが残念であった。

 さらに自宅の場所が変わったりして、一番肝心のラストシーンに至るまでの道程にモタモタ感が発生してしまった。つまり最後の詰めを誤ってしまったお蔭で、感動のラストシーンが台無しになってしまったような気がするのだ。
 オリジナルを知らない人、または外国人がこの映画を観た場合は、私とはだいぶ感じ方も評価も異なってくるだろう。まあいずれにせよ、悪い映画ではないし、リメイク版としてはそこそこ完成度の高い作品と言っても過言ではないのかもしれない。
 

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