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2015年3月の記事

2015年3月25日 (水)

はじまりのうた

★★★★

製作:2013年 米国 上映時間:104分 監督:ジョン・カーニー
Hazimari
 恋人に裏切られたシンガーソングライターの女性と、会社を首になった音楽プロデューサーがバーで知り合う。ともに金もなく、パートナーともはぐれ、どん底の気分を抱えていた。年は離れているが、そんなところにも意気投合し、二人は野外の喧騒の中で演奏しながら、デモアルバムを制作することになる。

 特に派手なストーリー展開はない。また主役の二人が恋愛関係に進展することもない。ただただニューヨークの街角で、ビルの屋上でじっくりと演奏を続け、歌い続けるのである。だからと言って決してミュージカルではない。

 とにかくカーッと燃え上がることもなく、よくあるサクセスストーリーでもなく、ラストも地味であるが、何か心温まるものを感じてしまい、とても幸せな気分になってしまうのだ。
 さすがアカデミー賞歌曲賞を受賞した映画である。まさにその一言が一番似合っている映画と言えよう。ことにヒロインのキーラ・ナイトレイが、実に良い味を醸し出していたよね。それから、留守電に歌で想いを伝えるシーンも、なかなか良いアイデアだと思った。

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2015年3月21日 (土)

21g

★★★

製作:2003年 米国 上映時間:124分 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『21g』を観ました。
 かなりへビーで暗い作品で、かつ2つの時間がバラバラに切り刻まれて、逆廻りしたりするので中盤まで、さっぱり訳が分からないまま展開してゆくのです。このあたりは『メメント』というより『アレックス』と似ていますね。

 またハンディカメラでの撮影のようで、ザラザラと映像がどぎついために、出演者全員の顔が全て汚くみえました。
 最後に『人は死ぬと21g軽くなる』というナレーションが入るのですが、魂の重さが、チョコバー1本の重さということなのでしょうか。
 いずれにしても何を言いたいのか、良く判らない作品でした。唯一ナオミ・ワッツのヌードとセックスシーンだけは、かなりドキドキものであります。

 同監督の『アモーレス・ペロス』は秀作でしたが、本作(21g)ではカメラワークとフィルム編集に凝りまくっただけで、ストーリーとテーマが全くスウィングしていません。タランティーノの『ジャッキーブラウン』も観ましたが、今ひとつでした。タランティーノが未だに『パルプ・フィクション』を超えられないように、アレハンドロ・ゴンザレスも当面は『アモーレス・ペロス』を超えられないのでしょうか。

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2015年3月18日 (水)

OUT

★★★

製作:2002年 日本 上映時間:119分 監督:平山秀幸

 弁当工場で働くフツーの主婦4人が、殺害した死体を出刃包丁で切り刻んで始末するという、世にも恐ろしいお話であります。
 また自宅の風呂場で切断された死体が、いやにリアルで気味が悪かったですね。普通なら吐き気のする樣な映画なのですが、コミカルタッチに描くことにより、そのおぞましさを中和することに成功していたと思います。
 役立たずの室井滋をキャスティングしたのも、そのあたりの効果を狙ったのだと思えば納得出来ますね。しかしこの映画の中で一番光っていたのは、なんと言っても「原田美枝子」でしょう。しっかり者で、どことなく影のある『可愛い女』を見事に演じ切っていました。

 かつて僕の中では、余り評価の高くなかった原田美枝子でしたが、この作品によって、かなりポイントアップしました。そして「女いぶし銀」の賠償美津子も、落ち着いた渋い演技で良い味を出していましたね。
 ただ中途半端なラストシーンには、いろいろと疑問が残りました。何故原田1人で旅立たなかったのか分からない。もし4人が主役だからと言うのなら、なぜ賠償美津子を取り残すストーリーにしてしまったのだろうか。

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2015年3月10日 (火)

her/世界でひとつの彼女

★★★☆

製作:2013年 米国 上映時間:126分 監督:スパイク・ジョーンズ

 舞台は近未来のロサンゼルス。代筆ライターという特殊な仕事をしているセオドアは、妻と別居中だがなかなか離婚の決断が出来ない。あんなにも愛し合っていたはずなのに、と美しい記憶ばかりが甦ってくる。だがその美しい思い出の中に埋もれている自分が辛く、さらにその喪失感は耐え難い孤独と苦痛を催してしまう。そしていつの間にか、恋愛恐怖症に陥ってしまうのだった。

 そんなとき、新しい人工知能型OSが開発される。セオドアはそのOSに「サマンサ」という名を与え、次第に親しい間柄となるのであった。OSは決して裏切らない。だから彼はいつの間にかOSに恋をしてしまい、なんと疑似セックスまでしてしまうのである。だがOSには、肉体がないという唯一の欠陥があった。ところがOSは、なんとそれを補う手段を簡単に考え出すのだった。しかし、それはかなりヤバイ方法だった・・・。

 それにしても、ある意味とても恐ろしいお話である。将来こんなことが起こるかもしれない、いやもしかすると人間不信が充満して、人間同士の愛が消失する可能性もあるかもしれない。そして益々少子化が加速してゆくのだろうか。
 いずれにせよ、さすが第86回アカデミー賞脚本賞を受賞しただけあって、とてもユニークな脚本だったし、セオドアを演じたホアキン・フェニックスの一人芝居もなかなか見応えがあった。ただ予告編を観たときに、もっとSFチックな作品をイメージしていたため、やや期待外れの感があったことも否めない。

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2015年3月 7日 (土)

ダブルトーン

著者:梶尾真治

 リリカルなSF恋愛ファンタジー小説には定評のある梶尾真治の新作だが、本作はSF恋愛サスペンスといった趣の作品に仕上がっている。さらに2013年には、NHKで連続ドラマ化され好評を得たようだ。
 ユミという名の二人の女性。一人は娘を保育園に通わせて、税理士事務所で働く30代前半の主婦である田村裕美(たむら ゆみ)。もう一人は大手広告代理店の下請けのような仕事をしている24歳の独身女性である中野由巳(なかの ゆみ)。

 この二人は年も違うし、全くの別人なのだが、なぜか意識を共有している。つまりある朝目覚めると田村裕美なのだが、翌朝になると中野由巳に戻っていたりと、まるで二人は同一人物であるかのような不可思議な現象の中に生きているのだ。
 だが実は二人の間には2年間の時空が横たわっており、二人は同一時間に生きているのではなかった。そのことが分かったとき、2年前に田村裕美が謎の死を遂げていたことも判明する。

 ショックを受けた中野由巳は、田村裕美の死因を調べて、なんとか彼女を救えないものかと奔走する。そして田村裕美の夫だった田村洋平と偶然知り合い、彼の力を借りながら裕美の死因を解明してゆく。だがそれによって由巳は、危険に巻き込まれてゆくのであった。

 アイデアはなかなか優れているのだが、回りくどい展開と主人公の不自然な行動には少々イラついた。また犯人の動機も無理やり気味という感があったことが多少残念である。だがいつもながら、梶尾作品は読み易くて面白いことだけは変わらないよね。

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2015年3月 4日 (水)

フォックスキャッチャー

★★★★

製作:2014年 米国 上映時間:135分 監督:ベネット・ミラー
Fox
 この作品は実話であり、登場人物もすべて実名である。それも超有名人ばかりなのだ。その一人がジョン・デュポンで、アメリカではロックフェラー、メロンに並ぶ三大財であるデュポン財閥の御曹司である。彼が所有する「フォックスキャッチャー農場」にレスリング施設が建設され、二人の金メダリストが招聘された。二人は兄弟であり、兄はデイヴ・シュルツ、弟はマーク・シュルツである。
 彼等はソウルオリンピックに向け、ジョンが率いるレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に勧誘されたのだ。そしてリーダー格のデイヴには、家族も一緒に住める住宅が敷地内に提供された。

 当初ジョンは、弟のマークをスカウトして自分の傘下に置いたが、マークには精神的な弱さがあった。そこで彼よりも人格者で、指導力のある兄のデイヴが欲しくなり、かなりの高条件で彼を招聘するのだった。それに不満を抱いたマークは、かなり荒れて反発を続けるが、やがてジョンのもとを離れてゆく。

 それから暫くして、あの忌まわしい惨劇が起こったのである。休日の雪道の中、車を走らせてデイヴの家を訪れたジョンは、玄関先で車のメンテナンスをしていたデイヴに、いきなり拳銃を発砲したのだ。発射された弾丸3発は、いずれもデイヴに命中して、デイヴはあっという間に殺害されてしまうのである。
 なぜジョンは、友人であり有能な指導者であるデイヴを殺してしまったのであろうか。結局のところ、はっきりとした殺害動機は不明のままらしいが、これには次のようないくつかの原因が複合していたと考えられる。

 絶対的に服従していた可愛いマークが自分の元を去った上に、未だに自分の成長を認めないまま母親が死去してしまい、精神的にだいぶ落ち込んでいたジョン。その空虚な心をデイヴに埋めてもらおうとしたが、彼には「休日は家族と過ごしたい」とあっさり断られてしまう。
 それが引き金になったと思うのだが、もともとジョンには心を許せる友人がいない。また母親にも一人前として認めてもらえないという苛立ちが渦巻いていたようだ。それでかなりの奇行が目立ったようである。まさにジョン・デュポンは、金や資産は有り余るほど所有していても、心の充足感が全く得られないという悲しい男だったのである。

 またマーク・シュルツは、幼いころに両親を亡くしたため、ずっと兄のデイヴに助けられながら生きてきた。従って兄には感謝しているものの、いつまでも兄の擁護から自立できないというコンプレックスを抱えていたようだ。そのあたりは母親に認めてもらえず、苛立ちを隠せないジョンと共通するものがあったような気がする。
 また兄のデイヴ・シュルツは、家族思いで弟のマークにも優しい。そのうえ苦労人ため大人で人格者であり、レスリングの実力も弟以上で、その指導力も抜群であった。三人の中では一番まっとうな精神を持ち、静かに暮らしているこの人物が殺されてしまうのだから、なんとも皮肉な展開と言うよりないだろう。

 この映画では、大財閥の御曹司であるジョン・デュポンの狂気と、貧困を乗り越えて金メダリストにまで到達した兄弟の心情を巧みに絡ませて、三者三様の個性と生きざまを巧みに描いている。また「男の嫉妬心」を繊細に描いている作品とも言えよう。
 ことに狂気のジョンを演じたスティーヴ・カレルが醸し出す独特の雰囲気は怖くなるほどだった。さすがアカデミー主演男優賞にノミネートされただけの力量なのだと言えよう。

 それにしても、前半のレスリング練習でのタックルなどのスピードは凄かった。ことにマーク・シュルツを演じたチャニング・テイタムの抜群の運動神経は驚異的である。さすが元スポーツ選手である。
 最後にこの実話の顛末を簡単にししておこう。逮捕されたジョン・デュポンは、2010年72歳で獄死。殺されたデイヴはレスリングの殿堂入り。マークは引退後プロレスに転向、今はレスリング教室を開いていると言う。

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2015年3月 1日 (日)

きっと、星のせいじゃない。

★★★

製作:2014年 米国 上映時間:126分 監督:ジョシュ・ブーン

 どこかで見たようなポスターだと思ったら、2007年製作の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』のポスターとそっくりじゃないの。また主役の男優さんもどこかで見たことがあると思ったら、これも『貴乃花親方』にそっくりなのだ。(笑)

Kito_3
 お話はよくある「難病ものラブストーリー」である。古くは『ある愛の詩』に始まり、邦画では『世界の 中心で、愛をさけぶ』などが記憶に新しい。
 だがもう私には「難病ものラブストーリー」はわざとらしくて余り美味しくない。ただ従来の「難病ものラブストーリー」では、恋人のどちらか(主に女性)が、難病に冒されるというパターンだったのだが、この映画では男女共に難病状態という設定なのが変わり種かも・・・。

 ということで、館内は若い女性たちで溢れかえっていた。おそらくおじさん一人というのは私だけだったかもしれない。
 もちろん悪い映画ではないのだが、それにしても前半は睡魔に襲われ、もう少しで爆睡してしまうところだった。

 ところでラストが近づいてくると、あちらこちらですすり泣きの声が聞こえる。何がどうして悲しいのだろうか・・・。もちろん、真っ直ぐ純粋に死と向き合いながらも、常に前向きに生きていこうとする若い二人には拍手を送りたい。
 ただこの映画を観て、素直に感動するにはだいぶ年をとり過ぎてしまったようである。ヤフーなどではかなり高評価を得ているのだが、ネット評価のほとんどは、若者に委ねられているからであろうか。

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