時のむこうに
著者:山口理
偕成社の少年少女向けの、心温まるファンタジー小説である。
小学5年生の田所翔太と2歳年下の妹・理子は、ある日買い物帰りに強烈な緑色の光に襲われる。気が付くとそこは終戦間近、昭和19年の東京だったのである。なんと二人は65年前にタイムスリップしてしまったらしい。
歴史オタクと言われ、祖母の話してくれる昭和時代に憧れていた翔太だった。ところがこの時代は、戦争中で食料もなく、住む家もなく、特高警察に敵のスパイと勘ぐられたり、人攫いに襲われたり、米軍の空襲にも怯えて暮らす、辛く厳しい時代だったのである。
普通なら平成生まれのひ弱な兄妹だけでは、とてもこんな世界で生きてゆけないのだが、栄二郎という同年代の不思議な少年に助けられ、ギリギリのところで生きてゆくことになる。そしていろいろな苦しさを乗り越え、なんとか終戦を迎えることが出来るのであった。
気が付くとタイムスリップしてなんと2年間も経過していた。さてその後二人は、現代世界に戻れるのだろうか。そして謎の少年・栄二郎の正体は、彼は一体何者なのだろうか。いずれにせよ、ラストには感動的な結末が用意されているので安心して読んでもらいたい。
とかくひとは現在に不満を持ち、過ぎ去った良き日のノスタルジーばかりを追い求める傾向がある。だがどの時代にも、光と影の部分が存在することを忘れてはならない。それならば、いま自分が生きている時代が一番良い時代なんだと信じて、胸を張って力一杯生きてみよう。それが著者からの熱いメッセージなのかもしれない。
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