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2015年2月の記事

2015年2月23日 (月)

時のむこうに

著者:山口理

 偕成社の少年少女向けの、心温まるファンタジー小説である。
 小学5年生の田所翔太と2歳年下の妹・理子は、ある日買い物帰りに強烈な緑色の光に襲われる。気が付くとそこは終戦間近、昭和19年の東京だったのである。なんと二人は65年前にタイムスリップしてしまったらしい。

 歴史オタクと言われ、祖母の話してくれる昭和時代に憧れていた翔太だった。ところがこの時代は、戦争中で食料もなく、住む家もなく、特高警察に敵のスパイと勘ぐられたり、人攫いに襲われたり、米軍の空襲にも怯えて暮らす、辛く厳しい時代だったのである。
 普通なら平成生まれのひ弱な兄妹だけでは、とてもこんな世界で生きてゆけないのだが、栄二郎という同年代の不思議な少年に助けられ、ギリギリのところで生きてゆくことになる。そしていろいろな苦しさを乗り越え、なんとか終戦を迎えることが出来るのであった。
 気が付くとタイムスリップしてなんと2年間も経過していた。さてその後二人は、現代世界に戻れるのだろうか。そして謎の少年・栄二郎の正体は、彼は一体何者なのだろうか。いずれにせよ、ラストには感動的な結末が用意されているので安心して読んでもらいたい。

 とかくひとは現在に不満を持ち、過ぎ去った良き日のノスタルジーばかりを追い求める傾向がある。だがどの時代にも、光と影の部分が存在することを忘れてはならない。それならば、いま自分が生きている時代が一番良い時代なんだと信じて、胸を張って力一杯生きてみよう。それが著者からの熱いメッセージなのかもしれない。

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2015年2月19日 (木)

悼む人

★★★☆

製作:2015年日本 上映時間:138分 監督:堤幸彦

Itamu
 原作は天童荒太の長編小説で、2008年に第140回直木賞を受賞している。この小説はいまだ未読であるが、映画を観て是非とも読んでみたくなってしまった。映画が先か原作が先か、もちろん私にとっては、映画が先だと断言したい。

 人の死に視点をおき、全国を放浪しながら死者を悼む青年。その主人公坂築静人を、イケメン俳優の高良健吾が、誠実に淡々とした雰囲気を漂わせながら演じていたのが印象的であった。
 だが静人は、なぜ世を捨て家族を捨てて、全国行脚の旅に出たのだろうか。それは小さい時から慕っていた祖父の死が原因の一つだと語られていた。だがそのあたりの説明が不十分だ。原作はともかくとして、せっかく映像化したのだから、もう少し丁寧に描いても良かったような気がする。

 ところで坂築静人は、単なる主人公という位置付けではなく、幾人かの登場人物とその人生を紹介する狂言回し的な役割も演じている。つまり静人そのものは、ほとんど無機質のような存在であるが、彼に係った人々の心象風景には心惹かれるものがある。
 その静人をめぐる人間模様を巧みに演じたのが、彼と行動を共にする夫殺しの奈義倖世(石田ゆり子)、人間不信でヤクザな雑誌記者の蒔野抗太郎(椎名桔平)、末期ガンに侵されながらも息子静人を案ずる坂築巡子(大竹しのぶ)の三人である。なにせ芸達者揃い、三者三様でなかなか渋くて良い味を出していたと思う。

 ちょっと気になったのが、現実離れしている主人公の行動だが、さらに悼むとき手を上げるポーズが、どこかの国の宗教儀式みたいでひいてしまった。このポーズは映画化で考えたのだろうか、それとも原作でもそのように記されているのだろうか。いずれにせよ、もう少しなんとかならなかったのだろうか。

 また母親が危篤だと言うのに、女とアオカンしたり寄り道をしたり、というくだりが不謹慎だし同調できない。
 それにオープニングがちょっとくどいが、ラストシーンは、あえてわかり辛い展開に終始し過ぎている感がある。どうも演出を気どり過ぎ、いや力み過ぎたのだろうか。
 個人的にはもっと素直に、すっきりと分かり易く描写してくれるほうが好きである。だから、俳優さんたちのせっかくの好演が100%生かされない。やはり堤監督の独りよがり演出だったのだろうか。非常に残念である。

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2015年2月16日 (月)

ラストサマー

★★★

製作:1997年 米国 上映時間:100分 監督:ジム・ギレスピー

 独立記念祭の美女コンテストで女王に輝いたヘレン。そのヘレンと友人のジュリーを含めた4人の男女は、夜の海辺で恋愛をゴッコを交わす。だが飲みすぎたヘレンの恋人バリーが、車の中で大騒ぎしたため、帰り道にひとりの男を跳ね飛ばしてしまうのだった。跳ね飛ばされた男は顔がつぶれて、一体誰なのか全くわからない。
 すぐ警察に届ければ何の問題も起きなかったのだが、異常に怯えたバリーが遺体を始末しようと言い張る。仕方なく彼らは男を海に投げ捨ててしまう。そしてこのことは、4人の秘密にし「他言無用」との約束を交わすのだった。

 こんな事件の後、ジュリーは傷心のままボストンの大学へ進学するのだが、1年間ずっと陰鬱な状態が続いたままであった。傷心の彼女はサマー休暇で帰郷する。だがその帰郷を待っていたかのように、突然事件を知る謎の人物からメッセージが届くのである。
  このあたりまでは心理的なホラーという趣だったのだが、中盤以降になって「かぎ爪男」が登場し、次々に若者たちが襲われ、惨殺されてゆくという展開に染まってしまう。なんだ結局は、ジェイソンやフレディの焼き直しじゃないか。

 こうなってくると、ストーリーのほうもかなり雑になってしまう。それにしても急にトランクの死体や蟹が消えてしまった時は、バカバカしいというより悲しくなってしまったくらいだ。また時間稼ぎのためか、ほとんど意味のない登場人物が、犯人らしくウロチョロしていたのもかなりウザったかった。
 本作がそれなりにヒットしたためか、このあとシリーズ化して二作ほど創られた模様。私自身本作以外は未見であるが、続編は本作よりもさらにレベルダウンしているという噂である。
 
 

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2015年2月11日 (水)

さよなら歌舞伎町

★★★☆

製作:2014年 日本 上映時間:135分 監督:廣木隆一

Bybykabuki
 新宿・歌舞伎町にあるラブホテルを舞台にして、様々な事情を抱えた人々の長い長い一日を描いた群集劇である。
 主演は一流ホテルマンを目指しながらも、うらぶれたラブホテルの店長として働いている徹を演じた染谷将太。なんと彼は、従来のイメージを覆したような演技派に変貌していた。

 また表向きのヒロインは、徹と同棲している恋人・沙耶(前田敦子)となってはいるのだが、余り存在感が感じられない。と言うのも、他の女優たちが全裸になって大熱演しているのに、前田は濡れ場ゼロで下着姿にもなっていないし、登場時間も少ないからである。一体彼女は何のためにこの映画に出演したのだろうか。単なる客寄せパンダなのだろうか。

 この作品では主人公カップル、時効間近の指名手配カップル、韓国人カップル、刑事の不倫カップル、ジゴロと家出少女、AV女優など様々な人々が登場する。だがなんといってもデリヘル嬢の韓国女性ヘナを演じたイ・ウンウの大熱演が、一番光っていたのではないだろうか。また不倫中にさえも、仕事中毒者を発揮する女刑事役を演じた河井青葉の熱演にも拍手をおくりたい。

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2015年2月 7日 (土)

3D映画は生き残れるのか

 昔は立体映画と呼ばれていて、昭和25年に「恐怖の街」や「ブワナの悪魔」が始めて上映された。それ以降も立体映画は続々と発表されたものの、やがて下火になり製作されなくなってしまったようだ。だがその8年後に、従来よりも立体感の増した新形式の立体映画が発表され,再び立体映画が復活するかに見えた。

 それが約50年前に私が始めてみた3D映画『骸骨面』(原題 THE MASK)という洋画である。この3D映画は、スクリーンで俳優が骸骨面を被ったときだけ、観客も同時に3Dメガネをかけるという新趣向であった。そして3Dメガネをかけると、石や炎が少し飛び出すように観えるというだけの幼稚な3Dで、ほとんどストーリー性もない酷い作品だったのである。
 これでは、子供のころに少年雑誌の付録についていた『鉄腕アトム』の立体マンガのほうが遥かに迫力があったと、この映画を観たことを後悔した記憶だけが残ってしまった。

 それから更に20年後、東京ディズニーランドのアトラクションとして華々しく登場したのが、マイケルジャクソンの『キャプテンEO』というSFミュージカル3D映画だった。そしてこの映画を観て、その画期的な3D技術の進歩に、驚愕し、鳥肌立ち、身震いするほど感動し、ついに『3D時代の幕開け』を感じたものである。

 だがその後30年近く、2009年に公開された『アバター』が大ヒットするまでは、本格的3D時代はやってこなかった。また『アバター』の3D映像は実に美しく、飛び出す映像というよりも「奥行のある品の良い3D」で、『アバター』以後の3D映画は、従来の見世物的でド派手な3D映像から落ち着いた奥行きのある映像にチェンジしてしまうのである。

 ただ私個人の3Dに対する思い入れは、見世物的と言われようが、あの『キャプテンEO』に執着し続けている。だから落ち着いた奥行きのある3D映像に定着してしまった現在の3D映画に対しては、全く興味を失ってしまった。それだけではなく、重い3Dメガネを着用し、わざわざ高い料金を支払う価値観が湧かなくなってしまったのである。
 

 また数年前に、TVやPCなどで3D機能を織り込んだ新製品が次々に発表されたが、今現在これらの機能を使える放送やソフトをあまり見かけないし、ほとんど話題にも登場していない気がする。また映画のほうも3Dは、あくまでも2Dの添え物という位置付けであり、字幕版・日本語版それぞれに3Dを付加すると、なんと同じ映画を4本も同時に上映することになってしまう。
 たぶんこのまま行けば、いずれまた3Dは萎んでしまうかもしれない。将来というより未来に、本格的に3Dが流行るのは、やはり3Dメガネを使わず、ホログラム的な完全立体映像を映し出せる技術が確立するまで待たねばならないだろう。

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