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2014年10月の記事

2014年10月29日 (水)

女帝

 週刊漫画TIMES誌に1997年から連載され、その後単行本として全24巻が発売された大人向けのマンガ。原作が倉科遼、絵のほうは過去に青柳裕介のアシスタントを経験したことのある和気一作である。

 まずはストーリーの流れをざっと追ってみよう。
 主人公の立花彩香は、熊本でスナックを営む母親が病気で倒れたため、高校を中退して単身大阪に出る。ミナミのクラブ「エレガンス」のホステスになり、あっという間にNO1となる。
 さらには、自分と母を捨てた見知らぬ父親や、権力を振りかざして自分たちを踏みにじった人々への復讐のため、女の武器を生かして日本一の女帝をめざすことを決意して銀座へ進出することになる。

 そして彩香は、政治家、ヤクザ、作家、経営者など数々の有力者のコネクションを築き、名実ともに女帝への階段を登ってゆく。それまでの事件や女同士の戦いと恋愛を、業界の裏話などを交えながら綿密にかつ執拗に描いている。

 大人コミックとしては珍しいほど、のちにTVドラマや映画になるほど大ブレークしたものである。さらに彩香の娘である明日香が、母親に対抗し家出し、舞妓・芸妓の世界で「女帝」を目指という続編『女帝 花舞』全28巻が発表される。
 こちらは京都の舞妓や芸妓の世界を描きながら、政治家とヤクザの抗争を中心に話が展開してゆく。『女帝』ではかなりハードなヌード描写やセックスシーンが多かったため、続編ではそれを自粛してか、各所にボカシを多用するようになってしまった。

 それはそうと原作者の倉科遼という人、昔は司敬という名前で自らマンガを描いていた、と言えば古いマンガファンなら、「あの司敬か」ということになるだろう。いずれにせよネオン街とヤクザの世界に、かなり詳しい知識を持っている作家である。

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2014年10月26日 (日)

誰よりも狙われた男

★★★☆

製作:2014年 米国、英国、ドイツ 上映時間:122分 監督:アントン・コービン

Dareyorimo
 原題は『A MOST WANTED MAN』であるが、これを『誰よりも狙われた男』と訳して良いのかは微妙なところであるが、英語力のない私には判断できない。ただこの邦題にかなり興味を惹かれたことだけは確かである。だがその内容と一致しているのかと問われれば、これもまた私にはピンとこなかった。

 もともとこの作品は、ジョン・ル・カレのスパイ小説を原作としたもので、007のような派手なアクションは一切ない地味な作品である。本作のスパイは、地道に情報を収集したうえで、要注意人物に接触し、彼等を脅したり懐柔したりしながら、さらに重要な情報を手に入れてゆくと言った現実的な手段を選んでいる。それはまさに、小魚を餌に大魚を釣り、さらにその大魚を餌に巨大魚を釣るという手法であった。

 主演のバッハマンを演じたのが、2014年2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンということもあり、武蔵野館の小さなスクリーンは昼間からほぼ満員御礼状態であった。ちょっと太り過ぎのホフマンではあるが、個性的で渋み走ったバッハマン役には、まさにぴったりのはまり役であった。

 スパイ映画だからと言って、派手なドンパチを期待すると、退屈感と睡魔が襲ってくるかもしれない。だからこの映画を観る場合は、ある程度この作品に対する予備知識を得てから鑑賞することをお勧めしたい。

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2014年10月23日 (木)

蜩の記

★★★★

製作:2013年 日本 上映時間:129分 監督:小泉堯史

Higurasi
  最近の時代劇は、マンガチックなものや、コミカルなものが多かったが、本作は久し振りに登場した本格時代劇と言えよう。さすが故・黒沢明監督の一番弟子である小泉監督が、『雨あがる 』以来、久々に放った時代劇作品である。

 なにせ映像が超美麗なのは言うまでもなく、セットの柱や壁の傷や汚れ具合、真っ白な障子の色にまで繊細な神経が行き届いている。
 また殺陣のシーンはあるものの、それは決してクライマックスシーンではない。あくまでもメインテーマは、文武両道に秀でながらも、ひたすら自己を押し殺し、藩のためにあえて汚名を浴び、命を捨て武士道を貫き通した藩士の心情なのだ。

 すでに現代には、もうこの主人公のような武士の心を持つ男はいないだろう。いや江戸時代にもこのような武士は数少なかったに違いない。私たちは自分に出来ないことをやり遂げる者には、心酔し感動の涙を流さずにはいられない。
 しっかりとひとつひとつ丁寧に描いた本格時代劇だからこそ、ほとんど違和感を感じず、感動の嵐が心の中に吹き込んでくるのであろう。これこそハリウッドが大金を使っても、絶対に創れない映画なのだ。だからこそ、日本はもっと本格時代劇映画を創ろうではないか。

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2014年10月20日 (月)

伝書鳩クロノスの飛翔

著者:中村弦

 クロノスという愛称の報道用伝書鳩が、50年の時を飛び越えて昭和36年と平成23年を繋ぐ。そしてその奇跡の飛翔が、日本の危機を救うことになるという、ファンタジックなサスペンス小説である。

 本作は時をテーマにしているが、時の流れを超えることが出来るのはクロノスだけであり、主役である昭和の坪井永史と平成の溝口俊太は、時を超えることは出来ない。彼等はただ自分たちが存在している世界で、必死になってその役割を遂行するだけである。
 そして彼等だけではなく、多くの協力者たちがクロノスの奇跡を信じ、最後まで諦めずにひたすら前向きに行動することによって日本は救われることになる。

 前半はやや読み辛いと感じたのだが、永史が拉致されるあたりからサスペンス風味が強くなり、俄然その成り行きが気になってくる。そしてラストの収束が実に見事であった。
 謎の人物の正体、明和新聞社の旧館が取り壊されなかった理由、クロノスの剥製などが、巧みに循環して繋がってゆくのである。だから読み終わった後に清々しさが残るのであろうか。

 さらに昔は新聞社で情報伝達手段として伝書鳩を使用しており、どの新聞社の屋上にも鳩小屋があったということを初めて知った。そして鳩たちは記事や写真を足や背中に付けて、新聞社の鳩小屋までの何百キロもの距離を飛んだらしい。
 もちろん近年は通信機器の発達により、伝書鳩の役割は終わってしまった。だがかつて彼等が命がけで特ダネを運んでいたのかと考えると、実に感動的な話ではないか。

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2014年10月15日 (水)

アンナプルナ南壁 7,400mの男たち

★★

製作:2012年 スペイン 上映時間:81分 監督:パブロ・イラブル

Anna
 登山者の40%が死亡しているというヒマラヤ山脈のアンナプルナ。その中でも危険度が突出している南壁に挑んだスペインの登山家イナキ・オチョア・デ・オルツァは、登山途中で高山病に襲われる。そして同行者のSOSを受けて、世界10か国から12人の登山家たちがイナキの救出に向かうのであった。

 今まで観てきた山岳映画は、どの作品も素晴らしく感動的であり、また圧倒的な大自然の映像にも心を奪われたものである。だが本作に限って言えば、残念ながら全くの期待外れであった。
 だからと言って、決してどうにもならない駄作という訳ではない。登山家という絆だけで、世界中から屈強な登山家たちが集結し、命がけでイナキの救出に向かったという事実には、ひたすら心を打たれるばかりである。だが何と言っても退屈極まりなく、ひたすら襲いかかってる睡魔との闘いに終始するばかり。途中、何度席を立とうと思ったことか・・・。

 
 ドキュメンタリーということであるが、ただ単純に遭難者を助けに来た登山家たちのインタビューが延々と続くだけで、ほとんど関係のない場所の映像ばかりが挿入されていて、遭難者を救出している映像などが写されるわけではない。ドキュメンタリーとしても、完成度が高いとは言えないところに、この作品の悲しさがある。

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2014年10月12日 (日)

海を感じる時

★★★

製作:2014年 日本 上映時間:118分 監督:安藤尋

Umikan
 時代背景が一昔前の昭和時代のようで、テーマも当時流行った『同棲時代』風である。そして暗くてジメジメとした展開に終始する。切ないと言うより、痛々しいと言った雰囲気が漂う。

 私自身はこの時代に、やはり暗い青春を謳歌したはずなのだが、なぜ今さらこのような古い感性をテーマにした作品が創られたのか疑問を感じてしまった。もういつまでも辛い過去を引きずるのは勘弁して欲しいね。また過去と現在の往復がしつこ過ぎることと、主役二人の心情の変化が不自然で不可解なのも、いまひとつ感情移入できない原因かもしれない。

 それに予算が少ないと、どうしても間を持たせるため、苦し紛れに無意味な性描写を重ねてしまう悲しさから逃れられない。本作もその常套手段を選択をせざるを得ず、全ての負担を市川由衣に押し付けてしまったような気がしたのは私だけであろうか。

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2014年10月 9日 (木)

グランド・イリュージョン

★★★

製作:2013年 フランス、米国 上映時間:116分 監督:ルイ・ルテリエ

 4人組のマジシャンたちが、マジックを駆使して群衆を騙しながら、瞬く間に大金を強奪するという荒唐無稽な娯楽作。また序盤のトランプ当てシーンで、「ダイヤの7」が当たったのは、私だけではないらしい不思議な現象にも遭遇した。だが面白かったのは、劇場に居ながらにして、観客の一人をパリの銀行の大金庫の中に瞬間移動し大金を盗むところまでかな。

 そのあとに元マジシャンのモーガン・フリーマンが、その種明かしをするところからだんだんつまらなくなってしまう。だからと言って、その種明かし自体がつまらなかった訳ではない。その後のマジックが何でもありの魔法に変化し、ストーリー展開がドタバタ劇に終始してしまったところに、この作品の限界を感じてしまったのである。

 さらにはラストのどんでん返しもいただけない。一番怪しくない人物が、実は黒幕だったというのは、常道のオチではあるが、その動機が余りにもこじつけ気味で説得力がないのだ。これは夢オチ同様、真面目に観ていた観客に対して猛烈に失礼な話ではないか!。

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2014年10月 6日 (月)

不機嫌なママにメルシィ!

★★★☆

製作:2013年 フランス・ベルギー 上映時間:87分 監督:ギョーム・ガリエンヌ

Mama
 ギョーム・ガリエンヌの自作自演の自伝映画である。内容を簡単に言えば、ゲイだと思われていたギョームが、実はゲイではなかったというお話。
 ストーリーとしては余り面白くもなく、意味不明のシーンがいくつか挿入されており、眠気を抑えるのに苦労した。だが比較的短い上映時間だったお蔭で最後まで辛抱することが出来た。

 ただ注目すべき点は、ギョーム・ガリエンヌの自作自演に加えて、ママと息子の二役をギョーム自身が見事に演じ切っていることである。一人二役は数々あれど、いまだかつてママと息子の二役を演じた役者があったろうか。
 それも全く違和感なかった。予備知識がなかったため、はじめは別人だと思って観ていたくらいだ。それに本人役よりママ役のほうがはまり役だったと断言してもよい。だから、このママ役がなければ★★くらいの評価かもしれない。

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2014年10月 3日 (金)

キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

★★★

製作:2013年米国 上映時間:103分 監督:ジェフ・ワドロウ

Kickus
 基本的にシリーズものの続編は観ないことにしているのだが、前作が余りにも面白かったため、DVDならいいだろうと考えレンタルしてしまった。まあそれなりに面白かったものの、やはり前作と比べるとかなりトーンダウンと言うか、インパクトに欠けてしまったのは否めない。これは監督が替わったためなのか、あるいは続編の定めなのだろうか。

 当然続編のため、脚本中の観衆だけではなく、映画を観ている観客にとっても、主役のキック・アスに対しては全く新鮮味が沸かない。それに何と言っても、ヒットガールを演じているクロエ・グレース・モレッツが、小学生から高校生に成長してしまったこともマイナス要因である。
 成長した彼女はとても魅力的で、まさに蛹から蝶に脱皮仕掛けているようなフェロモンをまき散らしているように感じた。だが前作が好評だったのは、小学生の小さな女の子が、大人を相手に超過激アクションをこなしていたからに他ならない。自然の摂理とは言え、それが消失してしまったのだからインパクトが消失したのは仕方ないだろう。

 また続編によくあるスケールの大きさを求め、ヒーローたちを多発し過ぎたため、逆にその存在感が希薄になってスケールが小さく感じてしまったという皮肉を感じたのは私だけであろうか。ただどうしようもないヒーローたちの中で、マザーロシアの存在感だけは群を抜いていたね。だがなぜ彼女があそこまで強くて残虐なのかの説明がないのが残念である。

 いずれにせよ、余り意味のない配役が多過ぎるし、下品で残酷なシーンの多発もいただけない。ましてや簡単に人が殺されてしまうとういう命の安さを描きながら、諸悪の根源のような極悪人がしつこく生き残るというのも共感出来ない。たぶんさらなる続編を意識してのことだろうと感じたが、もう決してこのシリーズを観ることはないだろう。

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