All You Need Is Kill(小説)
著者:桜坂洋
この舌を噛みそうな英語のタイトルは、1967年7月にビートルズが発表した15枚目のオリジナルである「All You Need Is Love」をもじっているのだろうか・・・。またストーリー構成や固有名詞のネーミングから、著者が元システムエンジニアで、コンピュータゲームオタクであることが、それとなく臭って来るようである。
先日トム・クルーズ主演の映画を観て、なかなか面白かったので、原作本であるこの小説を読んでみることにした。原作ものの場合、通常は映画を観たあとに、よく分からなかったシーンや主人公の心象風景などを確認するために、原作の小説を読むというパターンが多いはずである。
もちろん本作もその原則を踏襲するつもりで、先に買った小説はあえて伏せておき、映画を観た後で読んでみた訳である。ところが、「近未来に起こる宇宙人との戦争を舞台に、時間のループにはまるうち、だんだん戦闘能力をアップさせてゆく主人公の成長と運命を描いた物語」という基本的なポリシー以外は、映画とはかなり異なるストーリーだった。
原作の主人公はまだ20代であるが、映画のほうはトム・クルーズが主演のため、かなりの年齢差がある。そこでその年齢に会った役柄に変更して、脚本も大幅に書き直したらしい。しかしながら今回はその脚本変更が大正解で、映画のほうが原作を凌いで、大勝利を収めてしまったような気がする。
というのも、小説を読んでもかなり読み辛い文章であること。最近の日本SFにありがちなカタカナ表記が多く、また注意して読まないと、誰が喋っているのかよく分からない会話が多用され過ぎているため、珍しく映画のほうが分かり易くなっているからである。
さらには、なんと映画ではハッピーエンドだったのに、原作のほうはかなり悲壮感の漂う文学的な終わり方をしている。そして何といってもループの論理とそのシチュエーションが全く異質であり、小説のほうはよく読み込まないと理解出来ない難解さを伴っている。いずれにせよ、近年の日本SF小説は、年配のおじさんにはだんだん理解し難くなってしまったな・・・。
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