ぼくたちの家族
★★★★
製作:2013年 日本 上映時間:117分 監督:石井裕也
最近少し記憶力が低下してきたが元気だった主婦が、実は脳に大きな腫瘍が出来ていて、余命一週間だと医師に宣告され、家族が大騒ぎするお話である。監督があの『舟を編む』の石井裕也監督で、主演の主婦・若菜玲子に原田美枝子、その夫克明には長塚京三、長男浩介に妻夫木聡、次男俊平に池松壮亮という布陣である。
あくまでも「喪失した家族愛の復活」に焦点を絞っているためか、登場人物も少ないし、舞台も自宅と病院の中を行ったり来たりするくらいで、いかにも低予算映画といった雰囲気を禁じ得ない。ただそのテーマ選定はなかなか興味深いし、原田美枝子の演じる「まさに男の子の母親」と、病気のために本音で喋る「ピュアで少女のような女性」の存在感に、亡き母の面影を見て思わず涙してしまった。
ただ長塚京三68歳、原田美枝子55歳、妻夫木聡33歳、池松壮亮23歳という年齢のバラつきはいかがなものであろうか。たまたま長塚京三と妻夫木聡が若く見え、さらに原田美枝子が老けて見えるため辻褄が合っているように見えるが、やはりメンタルな部分でちょっと不具合が出てしまったようである。
それは長塚京三に元気がなく、影が薄過ぎると言うことである。仮にも社長をしているのだから、何も決められないような老人を感じてしまう演技では納得がいかない。本来は何も決められないのではなく、たぶん家庭や妻のことを無視して生きてきた男という設定なのかもしれないが、余りにも弱々しいので「老人」を感じてしまうのかもしれない。脳腫瘍を患う病気の妻よりも、この夫のほうがアルツハイマーのような気がしてしまったのは、決して私だけではないはずである。彼は私の好きな俳優の一人なのだが、本作に限ってはミスキャストだったような気がする。
劇中に出てくる三好駅はどこにあるのか、ちょっと調べてみたら実は架空の駅であり、実際のロケ地は山梨県にある中央本線の四方津駅らしい。だが吉祥寺でのお茶会や、俊平と飯田橋で会ったりしているところをみると、劇中の設定でもかなりの郊外であるとしても、山梨県ということはないだろう。
長男浩介に漂うやりきれなさは観ていて辛かったが、少なくとも難病ものにありがちな暗さがなく、明日に向かって前向きに生きていこうとする姿勢は評価したい。いずれにせよ、劇場で観る価値があるかどうかは別としても、心に残る感動的な映画であることは間違いないだろう。
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