演じられたタイムトラベル
著者:土橋 真二郎
なんとも奇妙なタイトルに惹かれてこの本を購入してしまったのだが、ちょっと期待し過ぎたようである。登場人物は僅か8名で、場所はだだっ広い倉庫のような場所だけ。その床に描かれた二次元の線によって三次元の仮想空間が設定され、そこでデスゲームが延々と続くという設定である。
二次元の線による舞台設定は、2003年にデンマークで製作されたニコール・キッドマン主演映画の『ドッグヴィル』と全く同じだ。そして前半から中盤までの200頁以上を使って、このゲームのルール説明と辻褄合わせが嫌というほど続くのである。後半になって百の目を持つ「アルゴス」というボスキャラが登場すると急に面白くなるのだが、それまではかなりの退屈感と眠気に耐えなくてはならない。
またタイムトラベルについても、ゲームの中で過去や未来との連続性を確保するためのお遊びに過ぎず、タイムトラベルものを期待して読んでしまうと、なんとなく騙されたようで腹が立ってくる。
この作者の作品は初めて読んだのだが、どうやらその初めてに、この作品が当たってしまったのは不運だったようだ。ただ作中で演じられるゲームの構造については、実に緻密でかなりの緊張感が得られることは間違いない。それにしても、もう少し登場人物の背景や心理描写を丁寧に描いても良かったのではないだろうか。
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