夢のような美しい5日間があっという間に終わり、残念ながらまた普通の日常生活が復活してしまった。行くまではそわそわしながらカレンダーをめくっているのだが、行ってしまえばいともあっけなく、しばらくの間はうつろになった心だけが非日常をさまよい続ける。旅とはそんなものなのかもしれない。
宮古 ドイツ文化村
「八重山」とは八重山方言では「やいま」、沖縄方言では「えーま」と発音されるそうだ。八重山と言ってもそうした名称の山があるわけではない。
その名称の由来には諸説がある。1719年刊行の『中山伝信録』には、「八重山、一名北木山、土名彜師加紀、又名爺馬」との記載がある。このうち、「彜師加紀」は「いしかき」、「爺馬」は「やま」と読むとされる。
この記載では、現在の石垣島と八重山列島とが必ずしも区別されていないが、「八重山」は「爺馬」=「やま」への当て字であると考えられている。石垣島・竹富島・小浜島・黒島・新城島・西表島・鳩間島・波照間島の有人9島を遠方から眺めると八重に連なって見えるとの伝承より名付けられたとされているようである。
さて堅苦しいうんちくはこのくらいにして、今回のツアーで回った島々を羅列すると、宮古島・池間島・来間島・伊良部島・下地島・石垣島・西表島・由布島・竹富島の9島となる。そのうち宮古島・池間島・来間島・下地島には、それぞれ長い橋がかかっているのでバスで回ったのだが、伊良部島はまだ橋が工事中であり、フェリーでバスごと渡ることになった。もし工事中の伊良部大橋が完成すれば全長3,540mとなり、通行料金無料の橋としては日本最長となるようである。
宮古島周辺の島で行かなかったのは大神島だけである。この島は人口26人、周囲2.75kmほどの小島で、交通機関や宿泊施設はない上、キャンプも不可となっているらしい。また、秘祭「祖神祭」は、島外の人は見ることが許されておらず、海賊の財宝が隠されているという噂もある。さらには約40年ほど前、大神島一周道路の建設が行われた際、ブルドーザー等の重機が故障したり工事関係者や島民らが次々と原因不明の病気にかかる等の異変が続いたため工事が中止となったと言われている。とにかくミステリアスな島なのだ。
さて宮古島とその周辺の島々には山がない。従って川もなければ森林もない。目にするのはサトウキビ畑ばかりである。また珊瑚からなる弱アルカリ性の土壌のため、ハブも生息していないという。そうした意味では安心できる島なのである。
アラマンダの客室からの風景
宮古島周辺ではコバルト色の海と純白の砂浜を堪能し、NHK朝ドラ『純と愛』のロケ地の場所も確認した。しかし何と言っても宮古島での目玉は、最上級Sランクホテルである『ジギラベイサイドスイート アラマンダ』でのゆったり連泊であろう。
まさに紺碧の海を望む丘に佇むリゾートホテルである。プールとテラスの真ん前にウミガメが泳ぐ人口運河を配し、60㎡以上ある落ち着いたアジアンテイスト仕立ての贅沢なスイートルームが、心にゆるやかな時間とやすらぎを与えてくれた。そしてディナーは、焼肉・中華・イタリアン・和食など、各人が好みのレストランを選択し、ホテルからシャトルバスを使って外食に行く仕掛けになっているのである。
宮古牛の焼肉と魚介類
さて3日目からは宮古空港より航空機に乗り、今度は石垣島へと向かった。島めぐりの拠点である石垣島での宿泊も、やはり最上級Sランクホテルであり、石垣ブルーに包まれ優雅な白亜の帆船をイメージした『ANAインターコンチネンタル石垣リゾート』だ。当然ここも、ゆったり連泊であることは言うまでもない。
石垣島を拠点とした観光は、石垣港から高速に乗って行く離島めぐりだ。石垣島の周辺には8つの島があるが、今回は西表島・由布島・竹富島の3島が目標である。
西表島には特別天然記念物として保護されている『イリオモテヤマネコ』が生息しているが、その数は年々減少して現在生息数は100頭以下と推測され、絶滅の危機が高まっている。道路のあちこちに「ヤマネコに注意!」の標識が立っているのだが、残念ながら夜間に山から海辺へ移動するヤマネコが、車にはねられる事態が増加しているらしい。
西表島の東部500mの海上に浮かぶ周囲2㎞・人口7人の小さな島が由布島である。西表島との間は浅瀬になっており、干潮時には徒歩や水牛車にのって渡ることができる。かつては集落があったのだが 昭和44年の台風により島全体が浸水する被害が生じたのを契機に、対岸の西表島に美原集落をつくり移転したため、現在は島全体が植物園になっている。
この島に水牛で渡り、植物園や水牛車などを見学するのが一番の観光コースだと言う。我々のツアーは全員で16名、添乗員と運転人を入れるとギリギリ18名の最大乗員数である。途中疲れたのか、何度も立ち止まってしまう水牛に鞭を入れる運転人。歩いたほうがよほど速いのだが、そうもゆかない、なんだか水牛が可愛そうになってしまった。
このあとレストランでランチを食べた後、バスで再び西表島の大原港まで戻った。次は私が一番楽しみにしているマングローブのジャングルクルーズである。窓ガラスのない小さな遊覧船で、マングローブが密集する仲間川をクルージングしてゆくのだが、なんと船長はさっきまでバスを運転していた運転手ではないか。彼は水牛以外なら何でも運転できるらしい。ちょっとピエール瀧似でおしゃべりも楽しいし、何でも器用にこなすので、まるで零細企業の社長さんのようでもある。
広大な河口の仲間川には海水が入り込み、かなり上流までマングローブの林が続いている。これは日本最大だというが、その神秘的な眺望は、まるでアマゾン川の奥地を連想させられる。アマゾンと異なるのは、ワニとピラニアがいないということだけであろうか。
サキシマスオウノキ
まだ時間が早く潮が満ちていないため、上流のほうはかなり浅瀬になっていて、船が座礁しそうになるのだが、船長の見事な舵裁きでなんとか目的地の船着場までたどり着くことが出来た。そこで上陸して木道を進んでゆくと、樹齢400年と言われる日本最大のサキシマスオウノキの巨大な老木が姿を見せてくれたではないか。まるで太古からの生命が息づいているような、神秘的な雰囲気に支配され、一瞬現実の世界から隔離されてしまうことだろう。
最終日はまた高速船で、石垣島から一番近い竹富島へ向かう。ここには星砂が獲れるカイジ浜がある。砂浜に軽く手を乗せて、付いてきた砂をよくみると、なんと星の形をしたものがいくつか混じっているではないか。星砂とは原生生物である有孔虫の殻であり、サンゴ礁が広がる地域に分布しており、西表島の星砂の浜や、ここ竹富島の太陽の砂などが有名である。
この竹富島のもうひとつの観光スポットは、沖縄の原風景と言える赤瓦屋根の街並みである。この中を水牛車でゆっくりと練り歩くのだ。ここは町中なので、由布島の水牛のように糞尿を垂れ流しにするわけにはゆかない。それで運転人は水牛が糞尿を催すと、それを慣れた手つきでバケツに受けるのである。そして臭い消しを撒いて行くのである。
また水牛のほうも由布島のようにただ真っ直ぐに歩くだけではなく、狭い路地を水牛車がぶつからないように回ってゆくのだ。日ごろの訓練の賜物だろうが、まさに神業である。いずれにせよ、人・牛ともに由布島よりずっと難しいことは間違いないね。
帰りは石垣島から羽田までの直行便だが、そのまえに最後のひと仕事。石垣島の川平湾に立ち寄って、グラスボートで海底の珊瑚礁を船底からウォッチングするのだ。緑色の珊瑚を派手な色をした魚たちがとりまく。にかく綺麗である、美しい天然の水中都市のようだ。ツアーのラストを飾るに相応しい演出である。さらば白い珊瑚の砂浜、そしてコバルト色の空と紺碧に輝く真っ青な海たちよ。
こうして全日程を消化したわけであるが、今回のツアーは飛行機の出発時間からゆったりで始まり、少人数なのでバスもゆったり、ホテル出発時間も平均10時とゆったり、お土産屋めぐりもほとんどなく、食事もそれなりに豪華と良いことずくめだった。当然ツアー費用は高目なのだが、ちっとも高いという感じがしなかった。もう激安ツアーはやめて、これからはこうしたゆったりツアーだけに絞りたいね。それにしても、よく食べ、よく飲み、よく遊んだお蔭で、2キロも太ってしまったことだけが口惜しい。
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