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2013年12月の記事

2013年12月28日 (土)

永遠の0

★★★★

製作:2013年 日本 上映時間:144分 監督:山崎貴

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 ちょっと視点を変えた戦争映画である。特攻隊員だったという実祖父の生きざまを孫からの視点で、現代と過去を交錯させながら綴っていく。「海軍一の臆病者」と呼ばれたゼロ戦搭乗兵だった祖父、それは内地に残してきた妻と娘のためだった。ではなぜ自ら特攻に志願して若き命を絶ってしまったのだろうか。

 監督があの『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズを手掛けた山崎貴ということもあり、特撮の東宝の威信をかけてVFXの美しさを誇っていた。ことに空中戦と特攻のシーンは、鳥肌が立つほど見事な出来栄えである。
 また予告編を観た時から大泣きすることが分かっていたので、ハンケチを手にしながらスクリーンを見つめていたが、これが大正解であり、このハンケチは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってしまった。とにかく久々に心の底から泣いた。是非ハンケチ、それも大きめのものをお忘れなく。

 孫が祖父の過去を調べるうちに、多くの戦友たちに巡り合うのだが、その戦友たちのキャストが非常に豪華である。田中泯、橋爪功、山本學、平幹二郎、夏八木勲といった個性派の大ベテランたちを揃えたのはよいのだが、どうも全員が年齢的に若過ぎて辻褄が合わない。戦争経験者なら、そのほとんどが90歳以上であり、この映画での現代が今より6、7年前の設定だとしても、まだ辻褄の合わない計算になる。

 もちろん超高齢の俳優さんは少ないので、これらの俳優で良いのだが、もっと老けメーキャップを装い、もっともっと老いた演技をしなくてはならなかったのではないだろうか。そんなことを感じながらスクリーンを観ていたため、いまひとつストーリーにのめり込めなかったことだけが、この映画の唯一の欠陥かもしれない。

 そうした部分を除けば、ほとんど満点に近い出来と言ってよいだろう。
 それから、この映画の主人公だけが特別なのではなく、戦争に行った人々は皆自分の物語を持っている。という劇中の言葉が心に沁みてきて堪らない。まさにその通り、実に良い言葉ではないか。もっと言えば人間の誰もが、それぞれの紡いだ物語を必ず持っているはずである。

 いずれにせよ、観客が年配者だけではなく、老若男女の全てに亘っていたことが素晴らしいではないか。これで本年度日本アカデミー賞は確定したようなものである。

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2013年12月26日 (木)

キャビン

★★★

製作:2011年 米国 上映時間:95分 監督:ドリュー・ゴダード

 男女5人の若者たちが、休暇を楽しむため人里離れた山小屋を訪れバカ騒ぎ。そして地下室で気味の悪い古ぼけたノートを発見し、そこに記された呪文を唱えてしまい、墓場からゾンビたちが蘇ってしまう。
 なんとまさにあの『死霊のはらわた』のパクリ、いやオマージュかと思えば、どうやらパロディーのような気がする。まあそれはどちらでもよいのだが、このパロディーが延々と後半まで続いてゆくのは勘弁してもらいたかった。

 その後一転して、急に怪物や化け物たちの総進撃となって、大殺戮アクションが始まったと思ったら、なんと突如シガニー・ウィーバーが登場して殴り合いを始める。何だこりゃあ、と思う間もなく厭世的なエンディングでサヨウナラなのだ。
 予告編で、ここまではよくある話。だが、ここから先の展開は絶対に読めない。賭けてもいい。絶対に、読めない。」と挑発し、なにやら『キューブ』を彷彿させるポスターといい、確かに人の気を引く宣伝力だけは大したものである。

 だがホラーとして観ると全く恐くないし、終盤の怪物総進撃やマンガそのもののラストシーンには、苦笑いがとまらない。そりゃあトンデモ出鱈目な結末にすれば、誰だって「ここから先の展開は絶対に読めない」に決まってる。観客をコケにするのもたいがいにして欲しいものである。
 まあしかしながら、ワンポイントアイデアと宣伝・企画力に敬意を表して、を3つ献上することにした。あとは好みの問題もあるので、何とも言い難いが、時間があれば自分の目で観て確かめてもらいたい。

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2013年12月23日 (月)

ウォールフラワー

★★★

製作:2012年 米国 上映時間:103分 監督:スティーヴン・チョボスキー

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 スクールカーストを描き、米国で社会現象を起こした青春映画。思春期の青年の揺れ動く心情を繊細なタッチで追及し、困難を乗り越え成長する少年の心象風景を描き、観客の心を強く揺さぶる映画という触れ込みである。だが残念ながら、異なる慣習と感性の違いなどが障壁となり、日本人にはいまひとつ波長が合わないような気がするのだ。

 また主役であるチャーリーが精神障害を持っていることそのものは、ある程度必然かもしれないのだが、それほどそのことがストーリーに反映されているとも思われない。従ってそればかり強調するよりも、パトリックやサムの生い立ちや、もっと彼らの心象風景を克明に描いたほうが良かったのではないだろうか。

 いずれにせよ、中心人物の三人を演じたローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラーの表現力は素晴らしいのだが、脚本と演出また時間配分などが中途半端であることは否めない。もう少しのめり込めて感情移入出来るストーリー仕立てに出来ればと思うと、非常に残念な作品でもある。

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2013年12月20日 (金)

カノジョは嘘を愛しすぎてる

★★★★☆

製作:2013年 日本 上映時間:117分 監督:小泉徳宏

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 原作は青木琴美の漫画しいうことで、館内は女子高校生たちの群れで超満員。まだお昼の12時だというのに、彼女たちは真面目に高校へ行っているのだろうかと余計な心配をしてしまう。いずれにせよ、おじさんには全く場違いな雰囲気なので、隅っこのほうでマスクをかけて小さくなっていた。

 ストーリーのほうは、人気バンドCRUDE PLAYのメンバーで唯一音楽センス抜群の小笠原秋。彼はビジネス優先の音楽界に嫌気がさして、デビューする前にメンバーから抜けるが、裏方のサウンドクリエイターとして、CRUDE PLAYの楽曲を作っていた。
 そんなある日、恋人とプロデューサーの関係を知り、その恋人に別れを告げる。失意の中で次の新曲が沸き上がり、それを口ずさんでいるときに、CRUDE PLAYのファンだという女子高生・小枝理子と出会い、彼女に正体を明かさず恋人同士になってしまう。おおらかで実に分かりやすい。誰が観たってマンガの実写版だとすぐに気づいてしまうくらい、いかにもマンガチックな演出でもある。

 主役の小笠原秋を演じたのが、るろうに剣心』の佐藤健で、音楽プロデューサー・高樹役の反町隆史を除けば、ほとんどがおじさんの知らない若者ばかりのキャストである。だが小枝理子を演じた新人の大原櫻子が、とても自然体でまっすぐで明るく好感の持てるキャラで、まさにこの役にピタリとはまり込んでいたね。よく分からないが、もしあの歌声が吹き替えでなく、彼女自身の声だとしたら、これはまさに大変な拾いものだといえよう。さすが5000人の中から選ばれたシンデレラガールだということが納得できてしまうよね。

 とにかくマンガだと侮れない。特にラストの歌には感動した!久々に心が洗われる映画を見て、大昔の青春時代を思い出してしまった。おじさんはもう、涙でボロボロになっちゃったよ。もちろん周囲の女子高生たちも、大いに感動しみんな大泣きしていたもんね。

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2013年12月17日 (火)

G.I.ジョー バック2リベンジ

★★

製作:2013年 米国 上映時間:111分 監督: ジョン・M・チュウ

 1980年代のテレビアニメ「地上最強のエキスパート・チームG.I.ジョー」をベースにした、実写ヒット・アクション映画の続編である。ニンジャが登場したり、悪の組織「コブラ」との激しい攻防戦を息つく間もなく展開するという、前作と同じようなパターンのようである。

 本作ではブルース・ウィリスやドウェイン・ジョンソンが登場するので期待していたのだが、どうも脚本がいまいちで、アクションも中途半端だし、心に響くようなものが皆無。前作は観ていないのだが、なんとなく前作のほうが面白そうな気がするね。

 それにしても北朝鮮まで参加する核保有国サミットには、笑ってしまった。そして米国にとっては友好国のイギリスを血祭りにあげて、北朝鮮や中国を救うというところに、なんとなく矛盾というか皮肉と言うか、摩訶不思議で奇妙なオチだけが残ったような気がする。とにかくバランスのよくない映画だね。

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2013年12月14日 (土)

クロユリ団地

★★

製作:2013年 日本 上映時間:106分 監督:中田秀夫

 前宣伝も後宣伝もかなり印象的だったので、思わずレンタルしてしまった。だが残念ながら、久々の大期待外れ作品であった。

 何だか存在感のない家族だな、と思っていたらとうの昔に亡くなっていたんだね。それにしてもなぜ独身女性があんなに古ぼけた団地に入居する必要があったのか、と言う疑問を押さえ込むための言い訳なのだろうか。

 
 まずヒロインが勝手に他人の家に入っていくということ自体、かなり不自然でありえない。そして見ず知らずの少年や清掃人と急に親しくなってしまうこともかなり無理がある。そのうえ登場人物の演技が余りにも酷過ぎるため、なかなか感情移入ができない。

 そのうえ何やらチンケな祈祷師まで登場するに至っては、ホラーというよりおバカ映画と言った趣きである。だから全く怖くない。あえて酷評すれば、脚本、演出、演技、映像の全てがド素人並なのである。ただ単身で身寄りのない老人の孤独死問題に、一石を投じたことだけは評価してもよいかもしれないが、描き方が中途半端で不十分ともいえるだろう。

 とにかく、本当にあのリング仄暗い水の底からの中田監督が創ったのかと、信じられない気分で一杯である。もしそうだとすれば、彼は完全に終わったね。

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2013年12月11日 (水)

BT’63

原作:池井戸 潤

 タイトルのBTとは、ボンネットトラックのことであり、63とは1963年のことであろう。一応銀行員は登場するものの、あの「倍返し」半沢直樹の原作者が書いたとは思えない異色サスペンス巨編である。
 主人公の大間木琢磨は、精神分裂病で2年間の闘病生活を余儀なくされ、会社を退職し妻とも離婚せざるを得なかった。そんな彼が5年前に亡くなった父の遺品を手にすると、視界には四十年前の風景が広がってくる。気が付くといつの間にか、自分自身が若き日の父・大間木史郎の意識の中へタイムトリップしているのだった。

 父・史郎が生きている時は、寡黙で生真面目だけが取り柄のようなつまらない男にしか見えなかった琢磨だったが、何度もタイムトリップしているうちに、何度も父・史郎の燃えるような生きざまを目の当たりにする。そして琢磨自身も現実世界の中では、自分探しの旅も兼ねて、父・史郎が残した数々の足跡を辿って行くことになる。とにかくテンポの良い展開で、BT21というボンネットトラックが、過去と現在を繋ぎながらこの作品のキーとなり、かつ道案内もつとめてくれるのである。

 タイムスリップという手法を使って、父と息子の葛藤と愛情を描いているところは、なんとなく浅田次郎の『地下鉄に乗って』とか重松清の『流星ワゴン』を彷彿させられる。ただこの物語は単にそれだけに終わらず、恐ろしい二人の殺し屋の存在と、彼らが演出するおどろおどろしい犯罪との絡みにも、つい恐いもの見たさで覗き続けずにはいられなくなってしまうのだ。

 ただ父の恋人・鏡子の余りにも救われない人生や、後半のややご都合主義的であっけない展開には多少疑問符が付くかもしれない。しかしながら、そうしたマイナス点を差し引いても、読めば読むほどぐいぐいと心が惹き込まれて、あっという間に読破してしまうほど面白い小説であることは否めないだろう。

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2013年12月 6日 (金)

宮古・八重山9島めぐりの旅

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 夢のような美しい5日間があっという間に終わり、残念ながらまた普通の日常生活が復活してしまった。行くまではそわそわしながらカレンダーをめくっているのだが、行ってしまえばいともあっけなく、しばらくの間はうつろになった心だけが非日常をさまよい続ける。旅とはそんなものなのかもしれない。

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     宮古 ドイツ文化村

 「八重山」とは八重山方言では「やいま」、沖縄方言では「えーま」と発音されるそうだ。八重山と言ってもそうした名称の山があるわけではない。
 その名称の由来には諸説がある。1719年刊行の『中山伝信録』には、「八重山、一名北木山、土名彜師加紀、又名爺馬」との記載がある。このうち、「彜師加紀」は「いしかき」、「爺馬」は「やま」と読むとされる。

 この記載では、現在の石垣島と八重山列島とが必ずしも区別されていないが、「八重山」は「爺馬」=「やま」への当て字であると考えられている。石垣島・竹富島・小浜島・黒島・新城島・西表島・鳩間島・波照間島の有人9島を遠方から眺めると八重に連なって見えるとの伝承より名付けられたとされているようである。

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 さて堅苦しいうんちくはこのくらいにして、今回のツアーで回った島々を羅列すると、宮古島・池間島・来間島・伊良部島・下地島・石垣島・西表島・由布島・竹富島の9島となる。そのうち宮古島・池間島・来間島・下地島には、それぞれ長い橋がかかっているのでバスで回ったのだが、伊良部島はまだ橋が工事中であり、フェリーでバスごと渡ることになった。もし工事中の伊良部大橋が完成すれば全長3,540mとなり、通行料金無料の橋としては日本最長となるようである。

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 宮古島周辺の島で行かなかったのは大神島だけである。この島は人口26人、周囲2.75kmほどの小島で、交通機関や宿泊施設はない上、キャンプも不可となっているらしい。また、秘祭「祖神祭」は、島外の人は見ることが許されておらず、海賊の財宝が隠されているという噂もある。さらには約40年ほど前、大神島一周道路の建設が行われた際、ブルドーザー等の重機が故障したり工事関係者や島民らが次々と原因不明の病気にかかる等の異変が続いたため工事が中止となったと言われている。とにかくミステリアスな島なのだ。

 さて宮古島とその周辺の島々には山がない。従って川もなければ森林もない。目にするのはサトウキビ畑ばかりである。また珊瑚からなる弱アルカリ性の土壌のため、ハブも生息していないという。そうした意味では安心できる島なのである。

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    アラマンダの客室からの風景

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 宮古島周辺ではコバルト色の海と純白の砂浜を堪能し、NHK朝ドラ『純と愛』のロケ地の場所も確認した。しかし何と言っても宮古島での目玉は、最上級Sランクホテルである『ジギラベイサイドスイート アラマンダ』でのゆったり連泊であろう。

 まさに紺碧の海を望む丘に佇むリゾートホテルである。プールとテラスの真ん前にウミガメが泳ぐ人口運河を配し、60㎡以上ある落ち着いたアジアンテイスト仕立ての贅沢なスイートルームが、心にゆるやかな時間とやすらぎを与えてくれた。そしてディナーは、焼肉・中華・イタリアン・和食など、各人が好みのレストランを選択し、ホテルからシャトルバスを使って外食に行く仕掛けになっているのである。

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      宮古牛の焼肉と魚介類

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 さて3日目からは宮古空港より航空機に乗り、今度は石垣島へと向かった。島めぐりの拠点である石垣島での宿泊も、やはり最上級Sランクホテルであり、石垣ブルーに包まれ優雅な白亜の帆船をイメージした『ANAインターコンチネンタル石垣リゾート』だ。当然ここも、ゆったり連泊であることは言うまでもない。

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 石垣島を拠点とした観光は、石垣港から高速に乗って行く離島めぐりだ。石垣島の周辺には8つの島があるが、今回は西表島・由布島・竹富島の3島が目標である。

 西表島には特別天然記念物として保護されている『イリオモテヤマネコ』が生息しているが、その数は年々減少して現在生息数は100頭以下と推測され、絶滅の危機が高まっている。道路のあちこちに「ヤマネコに注意!」の標識が立っているのだが、残念ながら夜間に山から海辺へ移動するヤマネコが、車にはねられる事態が増加しているらしい。

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 西表島の東部500mの海上に浮かぶ周囲2㎞・人口7人の小さな島が由布島である。西表島との間は浅瀬になっており、干潮時には徒歩や水牛車にのって渡ることができる。かつては集落があったのだが 昭和44年の台風により島全体が浸水する被害が生じたのを契機に、対岸の西表島に美原集落をつくり移転したため、現在は島全体が植物園になっている。

 この島に水牛で渡り、植物園や水牛車などを見学するのが一番の観光コースだと言う。我々のツアーは全員で16名、添乗員と運転人を入れるとギリギリ18名の最大乗員数である。途中疲れたのか、何度も立ち止まってしまう水牛に鞭を入れる運転人。歩いたほうがよほど速いのだが、そうもゆかない、なんだか水牛が可愛そうになってしまった。

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 このあとレストランでランチを食べた後、バスで再び西表島の大原港まで戻った。次は私が一番楽しみにしているマングローブのジャングルクルーズである。窓ガラスのない小さな遊覧船で、マングローブが密集する仲間川をクルージングしてゆくのだが、なんと船長はさっきまでバスを運転していた運転手ではないか。彼は水牛以外なら何でも運転できるらしい。ちょっとピエール瀧似でおしゃべりも楽しいし、何でも器用にこなすので、まるで零細企業の社長さんのようでもある。

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 広大な河口の仲間川には海水が入り込み、かなり上流までマングローブの林が続いている。これは日本最大だというが、その神秘的な眺望は、まるでアマゾン川の奥地を連想させられる。アマゾンと異なるのは、ワニとピラニアがいないということだけであろうか。

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     サキシマスオウノキ

 まだ時間が早く潮が満ちていないため、上流のほうはかなり浅瀬になっていて、船が座礁しそうになるのだが、船長の見事な舵裁きでなんとか目的地の船着場までたどり着くことが出来た。そこで上陸して木道を進んでゆくと、樹齢400年と言われる日本最大のサキシマスオウノキの巨大な老木が姿を見せてくれたではないか。まるで太古からの生命が息づいているような、神秘的な雰囲気に支配され、一瞬現実の世界から隔離されてしまうことだろう。

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 最終日はまた高速船で、石垣島から一番近い竹富島へ向かう。ここには星砂が獲れるカイジ浜がある。砂浜に軽く手を乗せて、付いてきた砂をよくみると、なんと星の形をしたものがいくつか混じっているではないか。星砂とは原生生物である有孔虫の殻であり、サンゴ礁が広がる地域に分布しており、西表島の星砂の浜や、ここ竹富島の太陽の砂などが有名である。

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 この竹富島のもうひとつの観光スポットは、沖縄の原風景と言える赤瓦屋根の街並みである。この中を水牛車でゆっくりと練り歩くのだ。ここは町中なので、由布島の水牛のように糞尿を垂れ流しにするわけにはゆかない。それで運転人は水牛が糞尿を催すと、それを慣れた手つきでバケツに受けるのである。そして臭い消しを撒いて行くのである。

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 また水牛のほうも由布島のようにただ真っ直ぐに歩くだけではなく、狭い路地を水牛車がぶつからないように回ってゆくのだ。日ごろの訓練の賜物だろうが、まさに神業である。いずれにせよ、人・牛ともに由布島よりずっと難しいことは間違いないね。

 
 帰りは石垣島から羽田までの直行便だが、そのまえに最後のひと仕事。石垣島の川平湾に立ち寄って、グラスボートで海底の珊瑚礁を船底からウォッチングするのだ。緑色の珊瑚を派手な色をした魚たちがとりまく。にかく綺麗である、美しい天然の水中都市のようだ。ツアーのラストを飾るに相応しい演出である。さらば白い珊瑚の砂浜、そしてコバルト色の空と紺碧に輝く真っ青な海たちよ。

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 こうして全日程を消化したわけであるが、今回のツアーは飛行機の出発時間からゆったりで始まり、少人数なのでバスもゆったり、ホテル出発時間も平均10時とゆったり、お土産屋めぐりもほとんどなく、食事もそれなりに豪華と良いことずくめだった。当然ツアー費用は高目なのだが、ちっとも高いという感じがしなかった。もう激安ツアーはやめて、これからはこうしたゆったりツアーだけに絞りたいね。それにしても、よく食べ、よく飲み、よく遊んだお蔭で、2キロも太ってしまったことだけが口惜しい。

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2013年12月 3日 (火)

くじけないで

★★★★

製作:2013年 日本 上映時間:128分 監督:深川栄洋

Kujike
 90歳を超えてから詩人になった柴田トヨさんの感動的な伝記ドラマである。満員の館内を見回すと、そのほとんどが年配の女性たちばかり。余談であるがそんなこともあり、映画が始まるまでの数分間は、おしゃべりの嵐でやかましくて堪らなかった。
 だが映画が始まった途端に、急に静まり返ったかと思ったら、今度はすすり泣きのオンパレード。もちろん私も泣いた。昭和時代の回顧を観るだけで、もう涙・涙・涙が止まらない。とうとう最初から最後まで泣き通して、ハンケチとティッシュがびしょびしょになってしまった。私も年を取ってしまったものである。

 また主役の八千草薫の美しいこと。まるで天使のようなその笑顔を観ているだけでも、涙が溢れてくるのだ。他にはこの役をこなせる女優はいないだろうと思われるくらい、実に貴重な女優さんである。
 泣かせられる映画だとは思っていたが、ドラマの創り方自体にそのことを意識している雰囲気は余りなく、どちらかというとトヨさんの家族愛と前向きに生きて行こうとする姿勢をしみじみと優しく描いているという趣きであった。それでも最初から最後まで涙が止まらなかったのは、なんといっても年のせいに違いない。
 ただひとつだけ文句を付けるとすると、息子役をした武田鉄矢のダメっぷりなシーンが長過ぎたということだろう。こんなシーンはもう少し整理して、もっとトヨさんの詩にまつわるシーンを増やして欲しかったと感じたのは、決して私だけではないはずである。

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