あがり
原作:松崎有理
久し振りに公募された「SF短編を対象にした新人賞」だったためか、600人以上の応募者があったという『創元SF短編賞』。見事その最高峰に輝いたのが本作の『あがり』である。
本作はSFというより、どちらかと言えばホラーに近い作品であり、タイトルの『あがり』もゴールというような意味で、進化と自然淘汰をめぐるストーリーとも言えよう。したがって『パラサイト・イヴ』で作家デビューした「瀬名秀明」と似たような作風と言っても過言ではないだろう。
正直言って、私にはこの作品がよく理解ではないし、ワンテーマでストーリーがないためか最後まで退屈感を拭えなかった。それにラストの締めくくり方もマンガチックで拍子抜けしてしまった。著者は東北大学理学部卒業後、医学系研究所勤務していたせいで、研究施設などの現場風景は巧みなのだが、それ以外の何物でもないような気がする。
この作品の背景にある『創元SF短編賞』の主な選考委員は、大森望、日下三蔵、山田正紀の三氏であるが、各氏の意見がバラバラであり、どうもその調整結果として、ある意味無難で、予定調和的に本作が選ばれたような気がする。私個人としては、山田正紀氏が推した宮内悠介氏の『盤上の夜』 のほうがずっと優れた作品だと思う。ただかなり奇異ではあるが、囲碁小説である『盤上の夜』をSFなのかと問われれば、ちょっとねと答えざるを得ないところが弱かったのかもしれない。
まあいずれにせよ、大昔から選考委員たちは、前衛的なものや自分が知らない分野のものを過大評価する傾向があるようだ。だが大芸術作品を選ぶ場ではないのだから、もう少し大衆受けするものを推薦する勇気を持ってもらいたいものである。
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