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2013年9月の記事

2013年9月29日 (日)

終の信託

★★★☆

製作:2012年日本 上映時間:144分 監督:周防正行

 周防監督は、『それでもボクはやってない』で痴漢と冤罪について追及していたが、今度は尊厳死と殺人罪の垣根に踏み込んだ重厚な映画を創った。前半はやや中だるみ的で退屈感を抱いてしまうかもしれないが、検察庁での塚原検事(大沢たかお)とヒロインの女医である折井綾乃(草刈民代)の対決シーンは見ものである。そして大沢たかおの悪役演技もなかなか見応えがあったね。

 あくまでもこの物語は、重度のぜんそく患者の江木秦三(役所広司)が望む尊厳死と、苦渋の中であえてその望みを叶えてあげた女医の決断と罪の意識がテーマとなる。従って江木が死ぬまでの時間は、このテーマに導くための序章に過ぎない。そのためか前半は少し退屈感を拭えなかったが、ストーリー展開と時間配分を完全克服出来なかったのかもしれない。

 また江木の気管チューブを抜いたときに、彼は静かに死ぬのかとの思っていたのだが、あそこであれだけ苦しみもがいていたのを、あえてそのまま薬で殺してしまうのはいかがなものであろうか。とりあえずは助けておいて、安楽死はそのあとでまた考えたほうが良かったのではなかろうか。またあれだけ優しい江木なのに、家族の存在が余りにも希薄過ぎるのが納得出来ない。結局は裁判での最終判決が「正解」だったような気もするが、いずれにせよ余り後味の良い作品ではなかった。

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2013年9月27日 (金)

桐島、部活やめるってよ

★★★☆

製作:2012年日本 上映時間:103分 監督:吉田大八

 ホントか嘘か分からないものの、今どきの高校生たちの生態らしきものが、グニャグニャと描かれていて何となく楽しかったね。そして本作こそ、なぜか去年の日本アカデミー最優秀作品賞を受賞してしまった作品なのである。

 ストーリーは、学校一の人気者でスポーツ万能の優等生である桐島が部活をやめたということから、少しずつ校内の微妙な人間関係に波紋が広がっていく状況を描いてゆくのだが、この肝心の桐島君がなかなか姿を見せない。というか、とうとう最後まで出てこなかったのは、どういうことなのだろうか。
 
 それにしても時間をループさせながら、バタフライ効果を狙った実験的な演出には「ホーッ!」と唸らずにはいられない。また視点を変える手法によって、生徒たちの葛藤などが浮き彫りになり、自分自身もスクリーンの中の一員になったような錯覚にはまってしまうのである。

 ただしストーリーと呼べるようなものもなく、「桐島、桐島!」と馬鹿騒ぎしている生徒たちの姿が、なんだか不自然であり、なぜ桐島の家に行かないのかも不合理である。まあ私自身はそれなりに楽しめたものの、いずれにせよ、好き嫌いのはっきり分かれそうな作品であることは否めないであろう。

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2013年9月25日 (水)

つくられた明日

原作:眉村卓

Scan10405
 タイムトラベルも絡んでくる学園SFミステリーである。氏名、生年月日、血液型、住所、職業、性別などを総合し、人間を260のタイプに分類し、それぞれのタイプごとにその年の全ての日についての出来事が記載されているという画期的な占い本が発売された。
 その本に記載された運命は、まるで未来予告のようにぴたりと当たるものだから、次第にマスコミも取り上げることになり、どんどん販売部数が増加してゆくのだった。

 ところがその本を手にした主人公の運命は、11月から先が空白となっていたのである。つまり彼は10月末に死亡するということなのだろうか。そんなことを悩んでいるうちに、主人公の親友と彼女が何者かに拉致され、行方不明になってしまうのである。
 占い本を発行しているのは誰だ、そして親友たちを拉致したのは誰か、さらにはそれらの真の目的は何なのか?。古い作品でかつジュニア向きなので、少し陳腐感が漂うのは否めないかもしれない。

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2013年9月23日 (月)

夏の終り

★★★

製作:2012年 日本 上映時間:114分 監督:熊切和嘉

Natuend

 瀬戸内寂聴が自身の体験を基に綴ったロングセラー小説を映画化したものだという。この原作は読んでいないため、予備知識もなく、また比較しようもない。ただただ映像が美しいことと、ヒロインを熱演した満島ひかりの衣装の数々がなかなか素敵であった。それにこうした役柄がぴったしな小林薫は、時間が止まったかのようにいつまでも年を取らない。

 テーマはシンプルで、「行きどころのない男女の愛と葛藤」である。だがストーリー展開については、無暗に時間と空間を複雑に紡ぎ過ぎてしまい、何だか訳の分からない作品になってしまったような気がする。カメラマンと役者たちは頑張っていたと思うが、綾野剛の存在感が薄かったのも、脚本と演出の失敗ではないだろうか。

 それにしても、宮崎アニメの『風立ちぬ』と同様、喫煙シーンが多いのには驚いてしまった。登場人物全員が、それこそ所構わず朝から晩まで、煙草ばかり吸っているのである。まるで煙草を吸わないのは人間ではないと言わんばかりだ。だがよく考えてみると、確かに30年前までは自分も同じだった。昭和時代と平成時代の大きな文化の違いといえば、煙草を吸うことがインテリのステータスだった時代と、煙草を吸わないことが文化人のステータスになった時代ということかもしれないね。

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2013年9月21日 (土)

画皮 あやかしの恋

★★★☆

製作:2008年シンガポール・中国・香港 上映時間:103分 監督:ゴードン・チャン

中国・清時代代の怪異譚『聊斎志異』中の一話を映画化したもので、美女の形をした妖魔と人間との愛を描いた恐ろしくかつ切ないラブロマンスを描いた怪奇ファンタジー映画である。つまり過去に製作された『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』と相通ずるような作品だと言えば分かりやすいだろうか。

 またこの映画に登場する「妖魔」とは人間の皮をかぶって美女に化けた女ギツネの妖怪とのこと。その正体はラストの映像ではっきりするはずである。とにかくこうした映画を創らせたら、香港映画の右に出るものはないだろう。
 それにしても、この映画は中国で大ヒット。中国国内だけで約30億円の興行収入を得たというから大したものである。当然続編も製作され、『妖魔伝 レザレクション』という妙な邦題で日本でも上映されている。
 この続編は見逃してしまったのだが、中国では1作目のメガヒットを超える驚異のスタートを切り、初日の興行成績は約8億8千万円を超え、中国映画史における初日興行記録を塗り替えたという。今後日本でDVD化されたら是非観てみたいものである。

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2013年9月18日 (水)

バイオハザードV:リトリビューション

★★★

製作:2012年米国 上映時間:96分 監督:ポール・W・S・アンダーソン

 映像とアクションに関してはほとんど文句のないところだが、ストーリーそのものが全く意味不明。たぶんシリーズ中最低の出来であろう。
 今回はまさにゲームそのものの展開、それに加えてゲームでは主要キャラだったレオン、バリー、エイダが登場し、コスプレのオンパレード。ただしレオンは似ているものの余り活躍が目立たず、エイダはコスプレだけでゲームような魅力的なキャラには感じなかった。

 それにしても、$65,000,000 もの製作費を使って、こんな内容のない映画を作っても、約四倍である$240,159,255もの興行収入を実現してしまうところに、バイオハザードブランドとハリウッド映画業界の凄まじさがあるんだね。とても日本で実現できないスケールである。邦画界から見れば、全世界的な興行収入を期待できるハリウッドが羨ましいだろうな。
 いずれにせよ、これまでのバイオハザードシリーズは、ゲームの世界への序章に過ぎないようである。このあとさらに続いて行くであろうこのシリーズは、一体どのような方向に向かってゆくのであろうか。少なくとも、もう一回だけは観てみたいと思う。

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2013年9月15日 (日)

アウトロー

★★★☆

製作:2012年米国 上映時間:130分 監督:クリストファー・マッカリー

 リー・チャイルド原作のハードボイルド小説「ジャック・リーチャー・シリーズ」を映画化したアクション大作という触れ込みである。オープニング早々、遠距離からの無差別狙撃による殺人シーンは圧巻であり、この映画中最大の見せ場でもあった。これで観客はスクリーンに引き込まれ、次の展開に固唾をのむのである。
 ところが、残された指紋と弾丸により、元軍人で腕利きスナイパーだったジェームズが容疑者として逮捕されてしまうのだ。すでにオープニングで犯人の顔は割れているため、彼が犯人でないことは観客の誰もが知っているのだが、余りにも証拠が揃い過ぎているため、スクリーンの中では、彼は絶対的な犯人として拘束され、世間にも認知されてしまうのだった。

 さてその誤認逮捕を覆すべく颯爽と登場するのが、我らがトム・クルーズ扮する元軍の秘密捜査官で、現在流れ者のジャック・リーチャーという設定である。彼は捜査能力が超一流というだけではなく、殺人格闘技術や狙撃にも秀でている超人的な男であった。さあこれから彼は、どのようにして真犯人を突き止めてゆくのだろうか、ペペンペンペンペン・・・といった具合に、おもむろに幕が開いて行くのである。そしてロザムンド・パイク扮するところの美人弁護士との恋愛をチラつかせた共同捜査や、町のチンピラたち数人をあっという間に倒してしまう格闘シーンなど、中盤以降の展開にかなり期待を抱かせてくれる。
 
 ところが中盤以降のテンポの悪さに、不要なカーチェイスが絡んだため、それまでのバランスの良さを崩してしまった。さらに終盤のちょっと分かり辛くチンケなラストバトルや座頭市的なラストシーンと、かなり非現実的な締めくくり方には失望感を抱かざるを得なかった。やはりトム・クルーズ主演の映画は、トム・クルーズとトム・クルーズファンのための映画に落ち着いてしまうのだろうか。

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2013年9月12日 (木)

復活の条件

作:森村誠一

 飼い猫・ミーの毒殺事件を境に、それまで順調だった会社役員・石塚の人生は、大きく狂い始めてしまう。家庭の崩壊、家族や隣人の喪失、親会社の倒産と、次々に不幸の嵐が駆け抜けてゆくのだ。
 失意のまま死を覚悟したとき、亡母の声に導かれて「人生再スタートライン」にタイムスリップすることになる。記憶は残ったままなので、同じミスを繰り返さず、ミーの殺害を食い止めて、不幸の連鎖から逃れて、幸福だった人生を取り戻そうとする。果たして石塚の新しい人生やり直しゲームは成功するのだろうか。

 ホームドラマからはじまり、SF、ミステリー、企業小説へと変化してゆく展開は、一貫性がないとも言えるのだが、巧みにその全てが繋がって違和感のないストーリーに仕上がっている。ただタイムスリップものとして考えると、タイムパラドックもどんでん返しも、科学的な理論武装も、何もないのでかなり物足りない。まあ、人生のやり直しという部分にタイムスリップを利用しただけと考えたほうが良い。結局は森村節の家庭と企業を抱き合わせたミステリー小説なのである。まあいずれにせよ、80歳近くになって、新しい手法に挑戦した森村御大の気概には敬服したい。

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2013年9月10日 (火)

時の塔

作:レイ・カミングス/川口正吉訳

Tojinotou
 作者のカミングスは、1887年ニューヨーク生まれのSF作家であるが、なんとあの発明王エジソンの秘書を5年間務めたという。本作は1929年に書かれた古典SFである。
 「時の塔」と呼ばれる塔の形をしたタイムマシンで未来からやって来た少女が、悪人ターバーの病院に監禁されてしまう。されを主人公のエドと親友のアラン、そしてその妹のナネットが救い出すのだが、その代償にナネットがターバーに捕まってしまう。
 なぜかターバーもタイムマシンを所持しており、地球征服の野望に燃え、以前からナネットと結婚しようと目論んでいたのだ。ところが主人公のエドとナネットは相思相愛の仲であり、ナネットを取り返すべくエドとアランの長い旅路が始まるのであった。

 はじめはSFというよりも、こじんまりとした冒険小説のような佇まいであった。ところが太古の時代から超未来へ、そして未来でのターバーとの戦いが始まると、俄然スケールが大きくなってくる。映画にしても良いのではと思ったが、現代では古典SFとなってしまい、かなり古臭いストーリー展開なので、現代風にアレンジする必要があるかもしれない。
 またタイムトラベルものとしても、まだまだ単純でタイムパラドックスなども考慮されてあらず、単に冒険を広げるためにタイムマシンを利用しただけに留まっている。まあこの時代のSFなので仕方がないと言えばそれまでであるが、タイムトラベルファンには、ちょこっとばかり物足りないかもしれない。

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2013年9月 8日 (日)

RETURN(ハードバージョン)

★★★☆

製作:2013年日本 上映時間:105分 監督:原田眞人

Return
 サラリーマン時代に、暴力団組長の息子を殺害してしまい、海外へ逃亡していた男(椎名桔平)が、今度は南米のボスの命令で、ある日本人実業家の暗殺を強要される。10年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、長男殺害の復讐を誓う御殿川組の三姉妹であった。
 この映画は、もともとスマホ向け携帯配信ドラマとして製作されたバイオレンスアクション作品だったという。それを原田監督自らが再編集し、劇場用の映画に繋ぎ合せたらしい。従って、省略部分が多くなり、少し分かり難い展開であったことは否めない。

 しかしながら、暴力団三姉妹(キムラ緑子 、赤間麻里子 、土屋アンナ )のド迫力演技には、観ているほうがタジタジになりそうだった。ことに土屋アンナの、狂気漂う素のまま演技には、逃げたくなるほどの恐怖感を感じてしまった。
 また最大の見所は、椎名桔平のアクションシーンだろう。短刀片手に南米の伝統武術カポエイラを使って、数人を殺戮してしまうシーンには、鳥肌が立ったくらいだ。まさに現代の黒忍者と言った迫力であった。
 ただラストのバーベキューシーンは、撮影後の和やかな一幕と言った感があり、私には監督の真意がよく掴めない。たぶんこのラストシーンについては、賛否両論に分かれるかもしれないね。

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2013年9月 6日 (金)

マン・オブ・スティール

★★★☆

◎スーパーマンをこよなく愛する蔵研人(クラーク・ケント)がぼやく

製作:2013年米国 上映時間:143分 監督:ザック・スナイダー

Supparman
 あのバットマンを現実的にアレンジし、『ダークナイト』として世に送ったクリストファー・ノーランが製作を手掛けた『スーパーマン』映画の新作である。ただ製作総指揮は、トーマス・タル 、ロイド・フィリップス 、ジョン・ピーターズとなっているし、監督はオタク系のザック・スナイダーで、脚本はデヴィッド・S・ゴイヤーである。とするとクリストファー・ノーランは、一体どこまで関与したのだろうか。そのあたりに、バットマンとはちょっと違うなと言う疑問の鍵が転がっているのではないかと考える。
 ただしクリストファー・ノーランが絡んで、ダークナイトのような雰囲気のスーパーマンを創るという前評判が大いに貢献し、米国での大ヒットに繋がっているようである。したがってその面では配給会社の思惑が、ピタリとはまって興行的には大成功を収めることになったのであろう。

 前半部分を占める、若かりしスパーマンの苦悩と、自分探しの旅については、一捻りしたアイデアとリアリティーに富んでいてなかなか興味深い作品にまとまっていた。ところが中盤以降のゾッド将軍登場からは、ここ数年間に亘ってハリウッドで製作されている超大作CG系SFと全く同じパターンに染まっちゃうのだ。そしてスーパーマンも一緒になって、ただただ破壊を繰り返すだけの映像にはかなり違和感を感じてしまったのは私だけであろうか。

 またコスチュームの「赤いパンツ」無しは、時代の要請かもしれないが、なんとなくスーパーマンと言うよりは『X-メン』という感じが漂ってしまう。それになんといっても、あの夢と勇気と希望を与えてくれたあのテーマ曲が消えてしまったのは寂しい限りだ。せめてラストシーンかエンドロールだけでも、オマージュとして演奏して欲しかったな。
 少し不満が先行してしまったが、空を飛ぶときの緊張感と爆発力、逃げる時の超スピード映像などは、前作までのスーパーマンを遥かに凌駕する完成度であり、VFX技術の向上には目を見張るものがあることは間違いない。

 本作はスーパーマンが先に登場し、最後にやっとクラーク・ケントが登場するという、逆転の発想を実行したわけであるが、危機一髪の事態を観ていたクラークが、ぱっとスーパーマンに変身して、見事危機的状況を無事救って、全米国民に拍手喝采という、従来の感動シーンは全くなかった。それこそがスーパーマンのスーパーマンたる所以なのだが、オールドファンは、ここでかなり期待をへし折られてしまうのである。
 ある意味でノーラン風アレンジを観てみたいとも思ったのであるが、同じアメコミヒーローであっても、やはりスーパーマンはスーパーマンでしかなく、バットマンとは全く違う存在であることを再確認せざるを得ない。
 つまりバットマンは人間であり、その主な戦闘能力は近代兵器にある。どちらかと言えばある意味で『アイアンマン』に近い存在である。ところがスーパーマンは異星人であり、地球上ではほぼ不死身であり、武器は自らの肉体のみである。従って、バットマンについては、ある程度現実感を伴った創り方が許容されるのだが、スーパーマンに関しては、そもそもファンタジーの世界にしか実在しえないヒーローであり、無理やり現実感を押し付けるのはいかがなものであろうか。

 またこの映画は三部作だという。それなのに、第一部で最強の敵を登場させ、あれだけ大暴れさせてしまっては、第二部以降の展開がネタ切れになるのではと心配していたのだが、第二部は「スーパーマンVSバットマン」になるというのである。それで第一部で惜しげなくネタを提供した理由がなんとなく分かったような気がした。つまり、もう従来のスーパーマンは、今回が最後で、次回からは全く異なる視点からみた「スーパーマン外伝」になるのであろうか。

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2013年9月 4日 (水)

タイピスト!

★★★★☆

製作:2012年フランス 上映時間:111分 監督:レジス・ロワンサル

Tipist
 舞台は1950年代のフランス。故郷の田舎町を飛び出して、あこがれの秘書を目指すローズだったが、ドジでノロマで失敗ばかり。唯一の特技は、タイプライターの早打ちだけ、だがそれもド素人流の一本指打法だったのである。
 もし左右の指を全て使って上手に打てば、世界チャンピオンも夢ではないと上司のルイに勧められて、特訓に次ぐ特訓が始まるのだった。といった展開のサクセスストーリーであり、かつ不器用な男女のラブロマンス映画でもある。

 とにかく1950年代のカルチャーとファッションが満載で、これぞまさに往年のフランス映画といった趣があった。それもそのはずで、アカデミー賞に輝いたあの「アーティスト」のスタッフが参加し、アルフレッド・ヒッチコック、ビリー・ワイルダー、ダグラス・サーク、ジャック・ドゥミ、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、ミケランジェロ・アントニオーニ、小津安二郎などにオマージュを捧げているという。

 またタイプ早打ち大会での早打ちシーンには度肝を抜かれることだろう。ちょっとしたミスも敗北につながるため、観ているほうがドキドキしてしまうよね。
 そしてヒロインのローズを演じたデボラ・フランソワのキュートな魅力の虜になってしまった。さらには、田舎から出てきたころの純朴な女性から、輝き始める女性へとだんだん変身してゆく彼女のメーキャプや衣装も見どころであろう。
 単純でベタな展開だというレビューも見かけるが、そんなに力まず「ノスタルジー漂う往年のエンターテイメント作品」なのだとお気楽な気分で鑑賞すれば、かなり評価も変わるのではないだろうか。私的にはこういう作品が大好きである。

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2013年9月 1日 (日)

終戦のエンペラー

★★★★

製作:2012年米国 上映時間:107分 監督:ピーター・ウェーバー

Enperaa
 終戦直後の日本に上陸したダグラス・マッカーサー元帥。あのコーンパイプをくわえ悠然とタラップを降りる無防備なサングラス姿は、今後日本国に君臨するため、日本国民たちに余裕と貫録を見せつけるための演出だったという。
 ホワイトハウス側の要望は、昭和天皇の処刑であったが、マッカーサーは日本国民の礎である天皇を処刑すれば、日本国民の反感を招き日本の復興は望めないと考えた。そこで日本通の部下ボナー・フェラーズ准将に、天皇の戦争責任を回避すべく証拠集めを命令するのである。

 この映画は、そのフェラーズが証人たちと面談し、天皇の無実を証明しようと証拠探しに奔走する姿を描く。その中で彼が昔知り合った日本女性を必死になって探し回り、彼女とのフラッシュバックが何度もスクリーンに流れてくる。この部分は実話ではなく、かつ余計なものとしてかなり評判が悪いのだが、私自身は決してそうは思わない。
 もし彼女の存在がなかったら、ただ男臭いだけの映画で終わっていただろうし、映画としての貫録を保てる上映時間も確保できなかっただろう。そしてそれにも増して、彼女とのフラッシュバックこそが、日米戦争の悲劇の象徴であり、かつこの映画の狂言回しとしての役割も担っているのである。

 それにしても、自由になったとは言え、こんな映画は日本ではなかなか製作出来ないだろう。米国のやや手前味噌的な解釈や、香港ぽいドヤ街風景などが気にはなったものの、「曖昧な日本人」や「天皇とマッカーサーの会見」などについては、かなり正確に的を得て描写していたのではないだろうか。
 また天皇に対しての思い入れは全く持っていない私だが、なぜか天皇がマッカーサーに話した言葉には号泣してしまった。やはり私は生まれながらにして日本人なのだな、とつくづく感じざるを得ない映画でもあった。

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