★★★☆
◎スーパーマンをこよなく愛する蔵研人(クラーク・ケント)がぼやく
製作:2013年米国 上映時間:143分 監督:ザック・スナイダー

あのバットマンを現実的にアレンジし、『ダークナイト』として世に送ったクリストファー・ノーランが製作を手掛けた『スーパーマン』映画の新作である。ただ製作総指揮は、トーマス・タル 、ロイド・フィリップス 、ジョン・ピーターズとなっているし、監督はオタク系のザック・スナイダーで、脚本はデヴィッド・S・ゴイヤーである。とするとクリストファー・ノーランは、一体どこまで関与したのだろうか。そのあたりに、バットマンとはちょっと違うなと言う疑問の鍵が転がっているのではないかと考える。
ただしクリストファー・ノーランが絡んで、ダークナイトのような雰囲気のスーパーマンを創るという前評判が大いに貢献し、米国での大ヒットに繋がっているようである。したがってその面では配給会社の思惑が、ピタリとはまって興行的には大成功を収めることになったのであろう。
前半部分を占める、若かりしスパーマンの苦悩と、自分探しの旅については、一捻りしたアイデアとリアリティーに富んでいてなかなか興味深い作品にまとまっていた。ところが中盤以降のゾッド将軍登場からは、ここ数年間に亘ってハリウッドで製作されている超大作CG系SFと全く同じパターンに染まっちゃうのだ。そしてスーパーマンも一緒になって、ただただ破壊を繰り返すだけの映像にはかなり違和感を感じてしまったのは私だけであろうか。
またコスチュームの「赤いパンツ」無しは、時代の要請かもしれないが、なんとなくスーパーマンと言うよりは『X-メン』という感じが漂ってしまう。それになんといっても、あの夢と勇気と希望を与えてくれたあのテーマ曲が消えてしまったのは寂しい限りだ。せめてラストシーンかエンドロールだけでも、オマージュとして演奏して欲しかったな。
少し不満が先行してしまったが、空を飛ぶときの緊張感と爆発力、逃げる時の超スピード映像などは、前作までのスーパーマンを遥かに凌駕する完成度であり、VFX技術の向上には目を見張るものがあることは間違いない。
本作はスーパーマンが先に登場し、最後にやっとクラーク・ケントが登場するという、逆転の発想を実行したわけであるが、危機一髪の事態を観ていたクラークが、ぱっとスーパーマンに変身して、見事危機的状況を無事救って、全米国民に拍手喝采という、従来の感動シーンは全くなかった。それこそがスーパーマンのスーパーマンたる所以なのだが、オールドファンは、ここでかなり期待をへし折られてしまうのである。
ある意味でノーラン風アレンジを観てみたいとも思ったのであるが、同じアメコミヒーローであっても、やはりスーパーマンはスーパーマンでしかなく、バットマンとは全く違う存在であることを再確認せざるを得ない。
つまりバットマンは人間であり、その主な戦闘能力は近代兵器にある。どちらかと言えばある意味で『アイアンマン』に近い存在である。ところがスーパーマンは異星人であり、地球上ではほぼ不死身であり、武器は自らの肉体のみである。従って、バットマンについては、ある程度現実感を伴った創り方が許容されるのだが、スーパーマンに関しては、そもそもファンタジーの世界にしか実在しえないヒーローであり、無理やり現実感を押し付けるのはいかがなものであろうか。
またこの映画は三部作だという。それなのに、第一部で最強の敵を登場させ、あれだけ大暴れさせてしまっては、第二部以降の展開がネタ切れになるのではと心配していたのだが、第二部は「スーパーマンVSバットマン」になるというのである。それで第一部で惜しげなくネタを提供した理由がなんとなく分かったような気がした。つまり、もう従来のスーパーマンは、今回が最後で、次回からは全く異なる視点からみた「スーパーマン外伝」になるのであろうか。
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