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2013年5月27日 (月)

六月の蛇

★★★☆

製作:2002年日本 上映時間:77分 監督:塚本晋也

 もう10年以上前のことであります。当時この映画は、銀座と渋谷の2館でしか上映されていませんでした。それで、現在は閉館していますが、当時東急本店横の「文化村通り」にあったシネ・アミーズというミニシアターへ行って来ました。
 館内は平日ということもあり、観客20名程度で、座り放題状況でした。こんな入りでは1日100人位入場するのが精一杯ではないかしらん。20日間上映しても2000人で全国数ヵ所での上映と、ビデオ販売だけで採算が合うのだろうかと、職業柄の収支計算をしてしまった記憶が残っています。
 市場の狭いマイナーな日本映画の台所事情をひしひしと感じ、映画を創る人、俳優さん達、映画を配給する人、ミニシアターを経営する人、そしてその映画を観る人々の全員がきっと「大の映画ファン」なのだろう、という一体感をひしひしと感じずにはいられませんでした。

 ノスタルジーに浸り過ぎて、肝心のレビューが後先になってしまいました。塚本晋也監督作品といえば何といっても「鉄男」であり、前衛的なイメージがありますが、今回の作品はモノクロではありますが、比較的わかり易い作品だったと思います。やはり塚本監督も年を取って、大胆さがなくなりましたが、気取ることもなくなり、素直な表現力が身に付いたのかなとも感じました。

 ストーリーは、あるカメラマンの葛藤と、子供のいない中年夫婦の倦怠感とをラップさせながら、ヒトの中に潜む狂気をするどく描いています。ヒロインの黒沢あすかの体当り演技には、いたく心を打たれましたが、夫役の神足裕司はミスキャストのような気がしました。始め夫ではなく、父親なのかと勘違いしてしまったくらいですから・・・。
 また塚本監督自身が演じたカメラマンについても、本来几帳面でおとなしい男だったのが、途中から急にやくざのように豹変してしまったのが、どうも不自然な感じでした。数々の葛藤の末に、正反対の人間に変化してしまったのだという展開はわかるのですが、それには力メラマンの描き方がちょっと不親切だったと思います。

 またヒロインの心に潜む願望として、超ミニを履いて男達の眼を奪いたいというところまでは分かりますが、下着を脱いだり、バイブを使ったりしたい願望が女性にあるとは思えません。これは男の気持ちから創られた勝手な願望であり、ちょっと悪乗りし過ぎましたね。
 また悪乗りといえば、後半にカメラマンが夫を痛ぶるシーンで登場する、『蛇のようなへんな武器』には失笑しました。ヒトの心の中に棲む蛇を表現したつもりかもしれませんが、この作品は『鉄男』じゃないのだから。劇場内でも数人の笑い声が聞かれましたよ。
 ラストについても、なんとなくしっくりしません。この映画が良かったのは息づまる強迫シーンと、その強迫に必死になって低抗しながらも、自分自身の中に棲む狂気に負けたヒロインが、全裸でストロボを浴びるシーンまでですね。あとのシーンはさしあたり「六月の蛇足」でしょうか。

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コメント

気になる映画ですね。
たった2館でしか上映されなかったんだから、
知らなくてもしょうがないか、と思っています。
ちょっと気になるなぁ。

投稿: | 2013年5月30日 (木) 07時07分

亮さん

ご無沙汰していますが、お元気そうですね。
本作を観たのは、もう10年以上前ですが、当時無名だった黒沢あすかという女優の存在感と度胸の良さに驚いたものです。
現在は、園子温監督の作品に良く出演していますよね。
もし気になるのなら、レンタルDVD屋さんをのぞいてみたらいかがでしょうか。

投稿: ケント | 2013年6月 2日 (日) 10時32分

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