桜、ふたたびの加奈子
★★★☆
製作:2012年日本 上映時間:106分 監督:栗村実
川の流れで時の変遷を表現するカメラワークは、なかなか好感が持てた。また音楽のほうは、現代のベートーヴェンと言われている佐村河内守が担当しているのだが、残念ながらこの作品には不向きな気がした。もっと静かな音楽を選曲してもらいたかったね。
タイトルの『加奈子』は、広末涼子扮するヒロイン桐原容子の娘の名。この娘が小学校に入学する直前に、容子の不注意から交通事故に遭って死亡してしまうのである。
ストーリーはここから始まり、それ以来容子は悲しみと同時に深い心の傷を負ってしまう。この世にいない娘に話し掛けたり、食事を作ったり、挙句の果ては自殺未遂までやってしまうのだ。
ところがある日、狂ったように走り出す飼い犬に導かれた場所で、妊娠中の女子高生と遭遇する。その後もその女子高生と付き合ううちに、彼女が出産した女の子こそ加奈子の生まれ変わりなのだと信じるようになるのだった。
オカルトのようだが、オカルトチックでもない。だが実はやはりオカルトだったというような、ファンタジー映画である。ファンタジー作品なら、テーマが「喪失と再生」なのだと思うのだが、ファンタジーならもっとファンタジーを前面に出したほうが分かり易かったのではないだろうか。いずれにせよ、男性より女性受けしそうな映画である。
いつも演技力を批判されていた広末涼子だが、今回は娘を亡くして精神バランスを崩した母親役を見事に演じていた。それからあまり目立たない役柄なのだが、愛情深い夫役をこなした稲垣吾郎の静かな演技もいぶし銀のように光っていたと思う。
淡々とした前半だったが、後半になってかなり盛り上がってくる。そして終盤のドンデン返し、さらにはラストに用意されたもう一つの種明かしは、実に見事だったね。これでミステリアス・オカルト・ファンタジーというジャンルが確立された。
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