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2013年4月の記事

2013年4月25日 (木)

エレベーター

★★★

製作:2011年米国 上映時間:84分 監督:スティグ・スベンセン

 舞台はほとんど、閉じ込められたエレベーターの中だけという、ワンシチュエーションスリラーである。登場人物も少ないし、ほとんどがエレベーター内での会話のみなので、製作費はかなり低めに抑えられたのではないかと思うが、観る人によってはかなり退屈な映画かもしれない。

 少女のいたずらによって緊急停止したエレベーター。だがその後、停止ボタンを元に戻してもエレベーターは動かない。インターホンで助けを求めるのだが、なかなか救助隊がやってこない。そのうち閉じ込められた男女9人のストレスが溜まり、険悪なムードが漂ってくる。さらにそのうちの一人が爆弾を所持していることが分かり、全員がパニックに陥ってくるのだった。

 このあらすじを読むとなかなか面白そうなのだが、ストーリーがよく練りこまれていないばかりか、かなり設定に無理があって納得できないところが残念である。
 まず超高層ビルでエレベーターが一台しかないわけではなし、乗客が満員になるまで動かないのは変だし、定員が10人以下だったり、スピードが遅すぎるのも非現実的である。さらには事故が起こっても、同乗している警備員の無線が電池切れとか、助けが来るのに何時間もかかるのもわざとらしくてムカムカするばかりだ。また全く捻りのない平凡な決着のつけ方にも疑問符がつく。一体この監督は、何を言いたかったのだろうか・・・。
 
 まだまだ揚げ足をとれば切りがないのだが、いずれにせよもう少し感情移入可能なまともな設定と脚本でないと、こうしたワンシチュエーションものでは退屈感を拭えないだろう。もし84分という短い時間でなければ、たぶん途中でDVDを早送りしてしまうところであった。

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2013年4月22日 (月)

舟を編む

★★★★☆

製作:2013年日本 上映時間:133分 監督:石井裕也

Funeamu
 原作は本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説。一冊の辞書を作るには、気の遠くなるほどの年月を要すると聞いたことがある。この物語でも『大渡海』という辞書を15年間かけて製作している。事業としては全く割の合わない出版物であるが、辞書の製作こそ、採算を度外視した出版社のステータスであり、出版人の意地なのであろう。
 このお話では、その名の通り真面目な馬締光也(松田龍平)と下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)との清純ドラマのような恋愛物語もちりばめられてはいるが、映画の本質は15年間に亘る真摯な辞書作りにスポットが当てられている。

 
 私自身も大昔に、某出版社に籍を置いていたこともあり、編集作業に没頭している人々の姿を観ていると、胸がジーンと熱くなってしまう。だがこの物語は、出版社の経験がない人でもかなり感動できる様な気がする。
 それは出演者の多くが、真面目で誠実な役柄に徹しているからである。ことに主役である松田龍平の真面目演技は超完璧だったし、もともと地が真面目な俳優である加藤剛の久々の演技も、ぴたりとはまっていた。また不真面目で要領の良い先輩・西岡正志(オダギリジョー)の存在も、馬締光也とは正反対の存在であるのだが、それが馬締光也を真面目に見せるための薬味になり、なかなか好感を持てる存在なのである。

 ほかにも、小林薫・池脇千鶴・渡辺美佐子・伊佐山ひろ子などの個性豊かな演技派が脇を固めている。またエンドロールで麻生久美子の名前が流れていたのだが、一体どこに登場したのか分からなかった。後で良く調べたら、辞書の宣伝ポスターとして映っていた女優だったらしい。これじゃあ分からないはずだよね。
 いずれにせよ、かなり良質な映画であった。まずは今のところ、2013年日本アカデミー賞の最有力候補に躍り出たことは間違いないだろう。

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2013年4月18日 (木)

チャイルドコール 呼声

★★★

製作:2011年ノルウェー 上映時間:96分 監督:ポール・シュレットアウネ

Chaildcoal
 幼い一人息子を連れて、夫のDVから逃げてきた母親アナを『ドラゴン・タトゥーの女』で一躍脚光を浴びたノオミ・ラパスが、新境地で演じているのが印象的だった。そして彼女がいつも抱えている「不安」が、観客にも乗り移ってしまい、なんだか解らないままイライラが募ってくるのだ。

 幼児虐待の映画なのかと思ったら、これはひび割れた母親の心が描く心象風景的なサイコスリラーといえよう。タイトルの『チャイルドコール』とは、家庭用の小型無線機なのだが、ここから変な声が聞こえてくる。混線なのか、悪戯なのか、それとも彼女の妄想だったのか、結局はっきりしないしその意図もよく分からない。

 オープニングで彼女が死んでいることを明かしてしまたのは何故なのだろうか。駐車場を湖と思い込んで、妄想の中で湖に潜ったのに、びしょ濡れになっていたのは何故なのだろうか。そもそも『チャイルドコール』から聞こえてきた声の意味は何なのか。息子のアンデジュと彼の友達との関連性はなんだったのか。電気店のヘルゲの存在は何を意味するのか。
 
 とにかく分からないことだらけで、突然ストーリーは閉鎖してしまう。そしてそれらは全て夢落ちだと言うのだから、観客不在もいいところである。とんでもない天才の迷宮的作品なのか、それとも単なる駄作なのか、凡人の私には判断できなかった。

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2013年4月15日 (月)

桜、ふたたびの加奈子

★★★☆

製作:2012年日本 上映時間:106分 監督:栗村実

Kanako
 川の流れで時の変遷を表現するカメラワークは、なかなか好感が持てた。また音楽のほうは、現代のベートーヴェンと言われている佐村河内守が担当しているのだが、残念ながらこの作品には不向きな気がした。もっと静かな音楽を選曲してもらいたかったね。

 タイトルの『加奈子』は、広末涼子扮するヒロイン桐原容子の娘の名。この娘が小学校に入学する直前に、容子の不注意から交通事故に遭って死亡してしまうのである。
 ストーリーはここから始まり、それ以来容子は悲しみと同時に深い心の傷を負ってしまう。この世にいない娘に話し掛けたり、食事を作ったり、挙句の果ては自殺未遂までやってしまうのだ。
 ところがある日、狂ったように走り出す飼い犬に導かれた場所で、妊娠中の女子高生と遭遇する。その後もその女子高生と付き合ううちに、彼女が出産した女の子こそ加奈子の生まれ変わりなのだと信じるようになるのだった。

 
 オカルトのようだが、オカルトチックでもない。だが実はやはりオカルトだったというような、ファンタジー映画である。ファンタジー作品なら、テーマが「喪失と再生」なのだと思うのだが、ファンタジーならもっとファンタジーを前面に出したほうが分かり易かったのではないだろうか。いずれにせよ、男性より女性受けしそうな映画である。

 いつも演技力を批判されていた広末涼子だが、今回は娘を亡くして精神バランスを崩した母親役を見事に演じていた。それからあまり目立たない役柄なのだが、愛情深い夫役をこなした稲垣吾郎の静かな演技もいぶし銀のように光っていたと思う。

 淡々とした前半だったが、後半になってかなり盛り上がってくる。そして終盤のドンデン返し、さらにはラストに用意されたもう一つの種明かしは、実に見事だったね。これでミステリアス・オカルト・ファンタジーというジャンルが確立された。

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2013年4月12日 (金)

脳男

★★★☆

製作:2013年日本 上映時間:125分 監督:瀧本智行

Nooman

 原作は第46回江戸川乱歩賞に輝いた首藤瓜於の推理小説。タイトルの脳男とは、生まれつき並外れた記憶力、知能、肉体を持ちながら、人間としての感情を持たない正義の殺人マンのことである。原作は未読なのだが、映画ではこのダークヒーローを、あのイケメン俳優の生田斗真が、大幅なイメチェンと肉体改造を施し見事に演じていたのが印象深かった。

 ただ爆発音が大き過ぎて、心臓マヒで死にそうになったし、そのあと耳鳴りが続いて参ってしまった。またエンドロールのと音楽もやかましいだけで辟易してしまった。この監督は音の使い方が乱暴過ぎるのではないだろうか。ただ洋画を彷彿させるような映像の創り方や、テンポの良さはなどには拍手を送りたい。

 しかしながら、かなり荒唐無稽で理不尽な設定には納得できない感がある。どうしてあんな少女が、あれ程の爆弾を手に入れて、タイミングよく随所にセッティング出来るのか。ことに病院での爆破シーンは、テロというよりまさに戦争であり、国家レベルの規模でなければ到底仕掛けられないだろう。ジョーカーよろしく、たった一人の少女が簡単に仕掛けられるはずがないじゃないか。それまではかなりのめり込んでいたのだが、あの時点で私の心は急速に覚めてしまった。

 また警察のだらしなさとが目立つし、この映画では江口洋介が全く浮いた存在で、ただただうざったい男にしか映らなかったのが残念である。例え正義のためとはいえ、暴力や殺人は絶対に許さないという日本警察の考え方。結果としてそのために犯人を逃し、その後に何百人の犠牲者が出ることになるのだ。そのことが、この映画が残した最大のメッセージなのであろうか。そしてなんとなく続編があるような終わり方も気になったな。

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2013年4月 9日 (火)

世界にひとつのプレイブック

★★★★

製作:2012年米国 上映時間:122分 監督:デヴィッド・O・ラッセル

Playbook
 原題は『SILVER LININGS PLAYBOOK』で、邦題同様意味不明のタイトルである。要約すると、シルバーライニングは太陽の光を受けて白く輝いている雲の縁の部分、つまり逆境の中の希望の光を指す。またプレイブックは、アメリカンフットボールのフォーメーションを記した作戦図のことだという。すなわち人生を取り戻すための戦術であり、最愛の相手を失い、人生のどん底にいた男女の出会いと再起を描いた物語、ということになるらしい。

 
 かなり気取った、まどろっこしいタイトルだが、映画の中身のほうは、笑いや涙を交えて描いたヒューマンコメディに仕上がっている。またラストのダンスシーンでは、ダメだ!と思わせながらも、何とかハッピーエンドに繋げ、いかにもアメリカンな展開にホット胸を撫で下ろすことになるのでご安心を。

 本作は第85回アカデミー賞の作品、監督、脚色、主演・助演男女と、主要部門全てでノミネートされている。ことに「ハンガー・ゲーム」で人気沸騰したジェニファー・ローレンスの演技が光り、彼女が第85回アカデミー賞主演女優賞を射止めることになったのである。

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2013年4月 5日 (金)

キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け

★★★☆

製作:2012年米国 上映時間:107分 監督:ニコラス・ジャレッキー

Kingof
 リチャード・ギア扮する投資会社の社長ロバートは、銀行との会社売却契約がなかなか決まらずイライラしていた。そんな折、深夜に愛人と同乗した車で、事故を起こしてしまう。愛人は死亡して車は炎上。警察に電話しようと思ったが、例の契約が破棄されてしまうことを恐れ、そのまま事故現場から逃げてしまうのである。
 さあそれからが大変。しつこい刑事の訪問に始まり、次から次へと嘘で塗り固めなければならなくなるのだ。さらには、事故現場からの脱出を手助けしてくれた黒人に、警察の執拗な追及がはじまっていた。警察は大物のロバートを徹底して追及することが難しいと判断し、弱者である黒人のほうをいたぶってゆく。

 こんな状況を観ていると、どこかの国の大物政治家と秘書の関係に似ているではないか。ただこの映画では、警察の捜査方針が余りにもえげつない。たぶん犯罪を犯したロバートが主役のため、どうしても警察のほうを悪者に仕上げる必要があったのだろう。
 リチャード・ギアがはまり役だし、ストーリー的にもそこそこ面白い。まあそれなりに楽しめる映画に仕上がっているのだが、ヒューマンドラマとしては、余り重厚さが感じられないし、一体何を主張したかったのかがはっきりしない。そんなところに、やや物足りなさを感じてしまったことも否めない。

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2013年4月 1日 (月)

ベラミ 愛を弄ぶ男

★★★☆

製作:2012年英国 上映時間:102分 監督:デクラン・ドネラン

Verami
 19世紀のパリ、ブルジョア社会が舞台。中身はからっぽだが、恵まれた容姿を武器に、次々に女性たちを翻弄しながら、底辺からのし上がって行く青年を『トワイライト』のロバート・パティンソンが演じる。またタイプと年齢の異なる貴婦人を演じるのは、クリスティナ・リッチ、ユマ・サーマン、クリスティン・スコット・トーマスの三人で、年齢はそれぞれ30代、40代、50代だがいずれも美女揃いだ。

 原題は「Bel Ami」でフランス語では「美しい友人」の意味だという。ただロバート・パティンソンがそれほど美形だとは思わないし、むしろ三人の貴婦人のほうが魅力的のような気がする。ルックスやムードは好みの問題かもしれないが、このストーリーではかなり重要なポイントになるのではないだろうか。
 またこうした物語では、かなりドロドロとしたどぎつい展開になるはずなのだが、エッチシーンもロバート君のお尻ばかりが目立つだけで、意外とあっさり・おとなし目だった気がする。またラストシーンも、想像していたようなバッドエンドではなく、奥歯に物が挟まったような曖昧さがやや物足りなかったかな。

 三人の貴婦人の中で一番良かったのは、一番年配のクリスティン・スコット・トーマスだ。彼女はロバートに一目惚れしているにも拘わらず、大人の女性としての節度と知性を維持していたのだが、一度関係が出来てしまうとロバートの虜になってしまうのである。三人の女性の中では一番映像が少なかったのだが、もっと彼女との絡みを濃厚にかつ長時間描いて欲しかった。

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