愛、アムール
★★★★
製作:2012年フランス 上映時間:127分 監督:ミヒャエル・ハネケ
80歳を過ぎた老夫婦の老老介護のお話。だが単純に夫婦愛とか介護とかの問題だけで終わらせていないところが、ハネケの凄いところである。
元音楽家のジョルジュとアンヌは、パリの高級アパートで悠々自適の生活を送っていた。ところがある日、アンヌが急に口をきかなくなり、ジョルジュは困惑してしまう。彼女は一瞬、思考力と記憶力を喪失してしまったらしい。病名は定かではないが、どうも脳に異常があって、緊急に手術をする必要があった。
しかし残念ながら手術は失敗に終わり、アンヌは右半身不随となってしまう。入院を好まない彼女は、車椅子に乗って我が家に帰ってくるのだが、次第に症状が悪化してゆき、失禁してしまった日を境に、まともに喋れなくなり、とうとう思考能力まで失ってしまうのだった。
これを辛抱強く介護するジョルジュだが、以前の優雅だった妻の姿を思い起こすたび、自分自身が妻の不憫さに耐え切れなくなり、実の娘にさえ妻を会わせたくなくなってしまう。そしてどんどん孤立化して、アパートの部屋に閉じ籠る生活が続いてゆく。
アパートの部屋だけの長回しシーンが多く、そのうえ現実的で暗くて重いテーマがのしかかってくる。観客にとっても身につまされる問題だし、BGMもなけれは苦しいことばかりで、全く遊びがないところが辛かった。
さらには、二度にわたって鳩が侵入してきた意味と、ジョルジュは一体どうなってしまったのかという謎を残したまま、突然フィルムが切れてしまったかのように終了してしまうのだ。いかにもフランス映画らしいエンディングと言えばそれまでだが、いろいろと考えさせられる映画であった。
どうも商業ベースには乗りそうもない映画なのだが、劇場の狭い武蔵野館ということもあって、館内は年配の観客で超満員。立ち見まで出る騒ぎとなってしまった。それにも拘わらず、三つあるスクリーンのうち、一番小さなスクリーンでこの作品を上映している劇場関係者のメンタリティーの無さは一体何者なのだろうか。
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