LOOPER/ルーパー
★★★☆
製作:2012年米国 上映時間:118分 監督:ライアン・ジョンソン
30年後の未来では、システムの発展により死体を隠すことが出来なくなるという。そこで未来の悪党たちは、殺害したい人物をタイムマシンで過去に送り、そこで待っている殺し屋によって殺害させて死体処理をする方法を考えた。
その殺し屋たちは、「ルーパー」と呼ばれ、殺しと死体処理の報酬として銀の延べ棒を受け取っていた。だがその殺し屋自体も未来になって不要になると、標的に選ばれて過去に送られる。そしてそれを殺害するのは、過去におけるその殺し屋自身となるのだ。
そして無事未来の自分自身を殺害処理すると、今度は報酬として金の延べ棒が、過去の自分に送られてくる。そして彼等はルーパーから引退して行くのだが、30年後には不要になった標的となり過去に送られて殺害されるという恐ろしい循環システムだったのである。
タイムトラベルものとしては、なかなか画期的なアイデアであり、過去と未来の自分同士の戦いというのも、なかなか興味深い設定なのだ。また過去の自分を傷付けると未来の自分も同様に傷付いてゆくというのも、なんとなく納得出来そうな理論である。
ただ本作の場合は、パラレルワールドの別の未来からやって来た自分なので、必ずしも過去の自分とリンクするという理論が成立するとは限らないと言える。だが結局は、あの壮絶なラストシーンを演出するための前提理論だったのだろう。
タイムトラベル作品は複雑にループしてストーリーを捻りこむため、じっくり何度も繰り返して観ないと、理解不能になってしまう傾向がある。本作でも殺されたはずの未来の自分(ブルース・ウィリス)が、なぜか次の瞬間には生存していて再度タイムトラベルをするという、矛盾の循環のようなシーンがあって頭がこんがらかってしまった。結局映画を観終わってからネットで調べて、殺されたのはブルース・ウィリスが若かった当時に、未来から送られてきた自分なのだとやっと理解した次第である。
この映画にはタイムトラベラー以外にも、TKと呼ばれる超能力者が登場するのだが、どうも途中からSFなのかオカルトなのか方向性と世界観がはっきりしなくなってしまう。そしてスージーとかキッド・ブルーとか、ほとんど意味のない登場人物がしゃしゃり出てくるのもいかがなものであろうか。それよりも未来の自分が、中国で知り合った東洋女性との愛の回顧録を充実させることのほうが、ストーリー展開上もどれほど重要だったことか・・・。
また過去の自分はちょっと弱々しいのに、未来の自分の強いこと強いこと、まるでダイハードとかターミネーターの世界じゃないの。あんなに強ければ最初から逃げ回ることもなかったのでは、とストーリーの流れ自体にも疑問符が付いてしまうのだ。
とまあいろいろ突っ込みどころの多い映画なのである。ただ壮絶なラストシーンはなかなか感動的でもあったし、タイムトラベルものとしては新趣向な作品でもあり、もう少し脚本を練り込んでいたら、もっと素晴らしい作品になったはずだ。そう考えると非常にもったいない、悔いの残る映画だったのではないだろうか・・・。
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