東京家族
★★★☆
製作:2012年日本 上映時間:146分 監督:山田洋次
小津安二郎監督の不朽の名作『東京物語』へのオマージュとして、山田洋次監督が現代の家族像を描くヒューマン・ドラマである。これで山田洋次監督の作品はなんと81作目になるという。それにしてもなぜ今、小津安二郎なのだろうか。
もしかすると山田洋次監督は、迫り来る引退の日を前にして、風前の灯になりつつある、古きよき時代の邦画文化を、自らの手でもう一度再現してみたかったのかもしれない。そんな雰囲気の漂う作品でもあり、所々に寅さんの雰囲気を散りばめることも忘れなかったね。
この作品についてネット上では、小津安二郎監督の『東京物語』と比較して、とても小津監督の足元にも及ばないと言うような中傷も見られる。だが本作品はリメイクではなくあくまでもオマージュである。SFや時代劇ならともかくも、このようなホームドラマにおいては、時代背景が全く異なるため、そもそもリメイクすること自体が無理なのだ言いたい。だから本作を東京物語と比較しても意味がないのではないだろうか。
いずれにせよ、前半はとても地味でゆったりとした展開である。そして予告編で強調していた「お母さんの死」が訪れる。そこから急にスピードアップしてゆくのだが、ここがこの作品最大の見せ場となるのである。まさに予告編と本編が一対となっているのだ。観客たちは途中から予告編を思い出し、この優しいお母さんが、いつ、どこで、どのように倒れるのだろうかと心配で堪らなくなりながらスクリーンの中に吸い込まれてゆくからである。
主な出演者は、橋爪功、吉行和子 、西村雅彦、中嶋朋子、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍という、個性的で芸達者な俳優ばかり。まさに彼等は、それぞれの役柄にハマり切っていたし、孫たちも、まさに今どきの子供そのものという感があり、演出もなかなか素晴らしいと思った。ただスカイツリーや光る観覧車が登場しても、なんとなくもっと昔の昭和の臭いがプンプンと漂ってくるところに、この映画の限界を感じてしまった。だからまだ独身の若者たちが、この映画を観ても退屈感だけが残るかもしれない。
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