« 死刑台のエレベーター | トップページ | 時砂の王 »

2012年10月14日 (日)

天地明察

★★★★

 予告編を観た限りでは、余り興味の湧かない作品だったのだが、これがかなり完成度の高い映画だった。メガホンを取ったのは、『おくりびと』で第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督であり、原作は本作で第7回本屋大賞を受賞した冲方丁である。

Meisatu

 本作は江戸時代前期に、800年にも亘って日本国内で使用されてきた暦のズレを正し、日本独自の暦作りに専念した実在の人物である安井算哲の半生を描いている。彼は幼時より囲碁を学び、算砂の弟子とも伝えられているように、もともとは碁打ちだった。ところが彼は、算術や星の研究にも秀でており、それを会津藩主の保科正之に認められて、全国各地を行脚して、北極星の高度を測りながら、その土地の緯度を計測するという作業を命ぜられる。それが新しい暦作りに繋がって行くのであった。

 それにしてもキャスト陣が豪華である。主役の安井算哲には岡田准一、その妻えんには宮崎あおい、そして中井貴一、松本幸四郎、市川染五郎、市川猿之助、佐藤隆太と主役級の俳優が続く。さらに笹野高史と岸部一徳の個性派が脇を固めているのだ。
 そして驚いたことに、時代考証もかなり正確である。ことに碁盤が長方形をしていたのには驚かされた。碁盤は大昔にさかのぼれば、ほとんど正方形に近かったのだが、江戸時代に本因坊三世道悦が、一寸だけタテ長の碁盤を規格化したという。そしていつから変化したのかは知らないが、現代ではほぼ正方形の碁盤に戻っている。また当時の測量計や地球儀などもかなり正確に復元しているのである。とにかく時代考証には、相当なこだわりが感じられた。

 これだれ格調高く、壮大な物語に仕上げてしまうと、かなり退屈感を禁じえないのだが、上映時間141分もさほど気にならなかいほどスクリーンに熱中することが出来たことが素晴らしい。本作が今年の日本アカデミー賞を受賞する可能性はかなり高いだろう。また外人受けする部分も多いため、もしかするとハリウッドで二回目のアカデミー賞外国語映画賞を受賞という快挙もあるかもしれない。

最後に下記のバナーをクリックしてランキングを確認してくれると嬉しいな↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村とクル天↓もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

| |

« 死刑台のエレベーター | トップページ | 時砂の王 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 天地明察:

» 天地明察 [だらだら無気力ブログ!]
渋川春海ってldquo;はるみrdquo;って呼ぶんだ。ずっとldquo;しゅんかいrdquo;だと思ってた。 [続きを読む]

受信: 2012年10月16日 (火) 01時35分

» 「天地明察」感想 [流浪の狂人ブログ ~旅路より~]
 冲方丁原作の同名時代小説を、「おくりびと」の滝田洋二郎監督、V6の岡田准一主演で映画化。江戸前期、得意の算術を用いて、日本の正しい暦作りに尽力した囲碁棋士・安井算哲(のちの渋川春海)の半生を描く。... [続きを読む]

受信: 2012年10月19日 (金) 19時05分

» 『天地明察』お薦め映画 [名機ALPS(アルプス)MDプリンタ]
★★★★★ 岡田准一の表情がいい。算術や天体観測、暦研究など目の前の新しいこと全てにワクワクしている様子が伝わってくる。青年期から壮年期までだけなのに、大河ドラマを見ているような気分になった。安井算哲は棋士としての様々な能力を別の分野で十分に生かした、良…... [続きを読む]

受信: 2012年10月22日 (月) 05時17分

» 天地明察 : また、鬘が…。 [こんな映画観たよ!-あらすじと感想-]
 我等が広島カープは、今日も完封負けです。もう、だめですな。本日紹介する作品は、カープ同様残念なこちらになります。 【題名】 天地明察 【製作年】 2012年 【製作国】 [続きを読む]

受信: 2012年10月26日 (金) 16時25分

» 天地明察  ★★★ [パピとママ映画のblog]
いつの時代も既得権益を侵すのは至難の業だ。江戸の昔、日々の暮らしに直結する暦を正しく作り直すために文字通り命懸けで挑んだ人々がいた。そのリーダーが実在の人物・安井算哲である。行く手を阻んだのは、幕府に利権を奪われるのを恐れた公家たち朝廷の圧力だった。幾...... [続きを読む]

受信: 2012年11月 7日 (水) 16時50分

» 天地明察 [いやいやえん]
江戸時代に日本独自の暦作りに挑んだ実在の人物・安井算哲の生き様を描く時代劇ドラマ。原作は吉川英治文学新人賞、本屋大賞など数々の文学賞を受賞した冲方丁の同名小説、未読です。 将軍に囲碁を教える名家の息子として生まれたものの、出世も富にも興味がなく、星の観測と算術の設問を解いている時が一番幸せという算哲を、将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之は800年にわたって使われていた暦の誤りを正し、新しい暦を作る大計画のリーダーに抜擢する。難関は、日本全国で緻密な天文観測を実施する事と、古来の... [続きを読む]

受信: 2013年4月 7日 (日) 10時08分

« 死刑台のエレベーター | トップページ | 時砂の王 »