天地明察
★★★★
予告編を観た限りでは、余り興味の湧かない作品だったのだが、これがかなり完成度の高い映画だった。メガホンを取ったのは、『おくりびと』で第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督であり、原作は本作で第7回本屋大賞を受賞した冲方丁である。
本作は江戸時代前期に、800年にも亘って日本国内で使用されてきた暦のズレを正し、日本独自の暦作りに専念した実在の人物である安井算哲の半生を描いている。彼は幼時より囲碁を学び、算砂の弟子とも伝えられているように、もともとは碁打ちだった。ところが彼は、算術や星の研究にも秀でており、それを会津藩主の保科正之に認められて、全国各地を行脚して、北極星の高度を測りながら、その土地の緯度を計測するという作業を命ぜられる。それが新しい暦作りに繋がって行くのであった。
それにしてもキャスト陣が豪華である。主役の安井算哲には岡田准一、その妻えんには宮崎あおい、そして中井貴一、松本幸四郎、市川染五郎、市川猿之助、佐藤隆太と主役級の俳優が続く。さらに笹野高史と岸部一徳の個性派が脇を固めているのだ。
そして驚いたことに、時代考証もかなり正確である。ことに碁盤が長方形をしていたのには驚かされた。碁盤は大昔にさかのぼれば、ほとんど正方形に近かったのだが、江戸時代に本因坊三世道悦が、一寸だけタテ長の碁盤を規格化したという。そしていつから変化したのかは知らないが、現代ではほぼ正方形の碁盤に戻っている。また当時の測量計や地球儀などもかなり正確に復元しているのである。とにかく時代考証には、相当なこだわりが感じられた。
これだれ格調高く、壮大な物語に仕上げてしまうと、かなり退屈感を禁じえないのだが、上映時間141分もさほど気にならなかいほどスクリーンに熱中することが出来たことが素晴らしい。本作が今年の日本アカデミー賞を受賞する可能性はかなり高いだろう。また外人受けする部分も多いため、もしかするとハリウッドで二回目のアカデミー賞外国語映画賞を受賞という快挙もあるかもしれない。
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