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2012年8月の記事

2012年8月31日 (金)

去年はいい年になるだろう

 奇妙なタイトルだが、時間を遡るタイムマシンが登場する話となれば、なんとなく納得出来てしまうのが、タイムトラベルファン心理である。
 もし2001年9月11日、米国で起こったあの悲劇が起こらなかったら、世界の歴史はどのように変遷していたのだろうか。きっと誰もが考えそうなテーマである。

 そして本作では、24世紀から巨大タイムマシンに乗ってやってきた500万体のアンドロイド集団「ガーディアン」が、大規模な歴史改変を開始するのだ。彼らは人類を攻撃するのではなく、テロや事故や犯罪を未然に阻止するために未来からやってきたのである。さらに彼らは、全世界の軍備を無力化し、一部の独裁政権を解体することにより戦争を不可能にした。これはあくまでも人間を守るための手段であり、それこそが彼等の本能的行為でもあった。

 ここまで書くと、一大スペクタクルSF巨編というイメージが先に立つのだが、実は作者である山本弘氏自身が主人公の私小説的SF小説なのである。従って彼の家族や友人、編集者たちまでもが実名で登場し、彼の著作物やイベントなども全て実際にあるものばかりと、かなり凝りまくっている。
 著者自身が主人公になるSF作品はほかにもあるが、ここまで実名に拘ったSF作品は読んだことがない。まあある意味現実感が伴って面白いのだが、山本氏のことを十分に知っている読者でない限り、少々うざったい気分になりかねない。ただ壮大でシリアスな展開の中に実生活を組み込んだことで、妙な親近感が沸き、かなり読み易くなっているで、あっという間に読破出来たのは良かった。

 本作は無数の改変されたパラレルワールドと、その結果生じるパラドックスを見事に描いた傑作であることは間違いないだろう。ただ余りにも私小説的手法に拘って描いたため生活臭が漂い過ぎて、壮大なるSFというイメージとねじれ現象を引き起こしてしまった感がある。また著者が真面目なのか妻に遠慮したのか、あの美少女アンドロイド・カイラとの絡みが、いやにあっさりし過ぎていたのが物足りなかった。

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2012年8月29日 (水)

るろうに剣心

★★★★

 原作のマンガは未読であり、予告編以外の予備知識ゼロでこの映画を観た。渋谷という場所柄も手伝って、館内は大学生風の若者だらけで超満員。おじさんの姿は私一人で、なにか場違いな雰囲気がプンプンと漂う中での鑑賞であった。

Rururu

 とにかくスピード感溢れる殺陣が凄い。特撮抜きでは考えられない殺陣なので、当然特撮含みなのだが、どのような特撮をしたのか良く分からないところがいい。そしてスローモーション撮影をほとんど入れないところに好感を持った。なぜ『あずみ』や『カムイ外伝』でこのような特撮殺陣が出来なかったのだろうか。いずれにせよ、本作を手がけた大友啓史監督の手腕には脱帽せざるを得ない。

 また個性あるキャストが良かったね。主役の剣心を演じた佐藤健は、明るくチャーミングで可愛いという印象だ。原作での陰のある人物とはかけ離れているという意見もあるようだが、若者の観客動員にも貢献しているようだし、映画としては別の個性でもいいのじゃないかと思う。それからニセ抜刀斎こと鵜堂刃衛を演じた吉川晃司のド迫力が凄かった。『必死剣 鳥刺し』でも殺陣の凄まじさでは、主役の豊川悦司を食ってしまったように、本作でも抜群のド迫力殺陣を披露してくれた。全盛期の若山富三郎を髣髴させる迫力は、時代劇俳優が激減している現代では超・貴重な存在なのだとつくづく感じた。

 そのほかにも、香川照之、江口洋介、奥田瑛二 、武井咲 、蒼井優などの実力派俳優たちが出演している。ただ悪人武田観柳を演じた香川照之のわざとらしい演技だけが鼻をついた。最近になって、大見得を切る歌舞伎役者になったのが間違いの元なのでござろうか・・・。(苦笑)

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2012年8月28日 (火)

ラスト・プレゼント

★★★☆

 前半は、なんだか安っぽいTVのお笑い風のドラマで、何度か席を立ちそうになってしまった。やはり別の映画にすれば良かったと、少し後悔していたくらい、つまらなかった。でも、中盤にさしかかった頃に、時々涙ぽくなっている自分に気づき始めたのである。

 そして後半になって、父母と四人で、写真を撮影する場面を迎えると、劇場内のあちらこちらから、すすり泣きが聞こえ始めてくるではないか。いつの間にか僕も、ハンカチを取り出し、流れ始めた涙を拭うようになっていた。

 そして、ラストシーン・・・・もう僕の顔は涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃである。周りから、しきりに咳払いや、鼻をすする音が聞こえる。僕は、顔面びしょびしょどころか、思わず嗚咽を漏らしてしまい。テッシュで、思いきり鼻をかまずには、いられなかった。
 感動の終演後・・・。映画館を出て、真向かいにあった小さな公園でタバコを吸いながら、僕はとどめなく落ちてくる涙を必死で拭い続けていた。良い映画だった。あの前半の退屈なストーリーがなければ最高だったのに・・・。

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2012年8月27日 (月)

初恋のきた道

★★★★☆

 1999年公開の中国映画であるが、とても素晴らしい作品である。いまだにこの作品を超える中国映画は観たことがないと言い切ってもいいくらいだ。またこの映画で大ブレイクし、いまや世界的な大女優になってしまったチャン・ツィイーの素晴らしく愛らしい笑顔と、恋人への命がけの熱愛といじらしさが全て・・・と言っても過言ではないだろう。

 そして四季の移り変わりを、こころに焼き付けるような美しい映像。そして老いても変わらない母の情愛に、心を打たれる息子の両親への愛。 感動の余り、思わず涙がとどめなく落ちてくる。それも悲しい涙ではない。感動、感動の感涙なのだ。僕はこういう涙が大好きである。本当に素晴しい映画だ。誰が観ても心が洗われて、清々しい気持で満たされてしまうだろう。本物の映画とは、このような作品を言うのである。

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2012年8月24日 (金)

アベンジャーズ

★★★☆

アイアンマン、超人ハルク、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカなどのアメコミヒーローたちが協力して、異次元から襲い掛かってくる怪物たちを退治するという荒唐無稽なお話である。とにかくこの圧倒的な特撮アクションだけは、ハリウッドでしか絶対に創れないだろう。

Aven

 だが本来、このヒーローたちの活躍する時代や場所や背景が全く異なるため、なにか違和感を禁じ得ないし、ストーリーとしても余り面白くない。前半はヒーロー同士の対決が見ものであったが、生身のキャプテン・アメリカ以外は、ほとんど同じ力量ということで、あえて決着はつけなかったようである。ただ総じていえば、ハルクが一番強かったような印象がある。

 あと軍隊が全く出てこなかった、というより最後は邪魔をするだけの存在で、ヒーロー4人と人間2人の計6人だけが、全世界の危機に立ち向かうというのもかなり滑稽な感があった。まあつべこべ言わずに『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』と同様に、お祭りなのだと思って観るしかないだろう。

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2012年8月22日 (水)

座頭市(北野バージョン)

★★★★☆

  ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した北野映画『座頭市』です。
 結論から言えば、前評判通りの最高級のエンタメといって良いでしょう。そもそも僕は、北野武作品は嫌いなのですが、今回の『座頭市』に関しては「面白い!」と太鼓判を押しても良いと思いました。

 ところが、だいぶ前にこの映画を映画館で観た時、開始してから30分位経過したところで、3~4人の人達が憤慨したように思い切り席を立ってしまったのです。その人達を良く観ると、皆さんかなり年配の方々のようでした。後で思ったのですが、たぶん彼等は『勝新の座頭市』ファンで、『北野の座頭市』が余りにもかけ離れた作品であることに失望したのではないでしょうか。

 『勝新の座頭市』が汗臭く、埃っぽかったのに比べて、『北野の座頭市』は汚れた部分をカットし、スマートで美しい映像が目立ちました。また勝新の演じる市が義理人情に富み、話し好きで、強敵に対してもある種の友情を抱く余裕があったのに対して、タケシの市は無表情で無口な非情の殺し屋であります。
 これは『その男凶暴につき』からずっとタケシが演じて来た個性であり、彼は地のままの演技しか出来ないのだと確信してしまいました。

 従ってこと演技力においては勝新には遠く及ばないし、新春かくし芸大会で座頭市のパロディーを熱演しているような気がしました。銀獅子賞が監督賞であることからも、この映画の良さは「エンターティメントに徹している」ということに尽きると思います。また従来の北野映画がタケシ中心の映画だったのに対して、今回の作品では浅野忠信演ずる浪人の物語や強盗団とそれを追う姉弟の物語が同時平行で進行し、主演であるはずの「座頭市そのもの」を喰ってしまったことが、この映画をより面白くした最大原因ではないでしょうか。

 たぶんこれは意識して作られたのではなく、タケシの演技下手から生れた「怪我の光明」だったのかもしれませんね。それからテンポの良さと殺陣に関しては、『勝新の座頭市』より素晴しかったと思いますが、なんとなく『必殺仕置人』や白土三平の『カムイ伝』を髣髴させる展開が気になりました。
 いずれにしてもラストの「ゲタのタップダンス」だけは間違いなく大成功でしょう。これこそ北野監督のセンスと思い切りの良さが生んだ最高のシーンだと思います。北野監督には、これからも時代劇を期侍しますが、座頭市はこれ1作だけにして欲しいですね。

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2012年8月18日 (土)

タイムスリップの不思議

 リブリオ出版が『日本SF・名作集成』として全10巻をまとめ販売しているうちの第一巻目である。中身は味わい深いタイムスリップものの短編が四作収録されている。その概略は次の通りである。

 『時間鉄道の夜』 大場 惑
 宮沢賢治の童話作品『銀河鉄道の夜』を髣髴させる題名だが、1970年代に郊外にある学生街にてモラトリアムな時期を過ごす学生たちの日常と、10年に一度だけ運行されるという謎の時間鉄道の存在を描いた作品である。

 『竜の侍』 山田正紀
 時代背景は幕末。田舎の小さな藩士たちの生き様と、少女の密やかな淡い初恋をからませた作品で、まるで藤沢周平の時代劇のようである。ただ病に犯されて武士を諦めた藩士が、恐竜の骨を発掘することに夢中になるというくだりがかなり荒唐無稽。SFとか時間テーマとはちょっと無縁のようだが、無常な時の流れということを描きたかったのだろうか。

 『時の果の色彩』 梶尾真治
 リリカルなタイムトラベルロマンス作品を書かせたら、向かうところ敵なしの梶尾真治の登場。収録作品の中ではもっともタイムスリップというテーマに忠実である。ここに登場するタイムマシンは過去19年未来19年の38年間しかタイムトラベルが出来ないという仕組みになっている。実はこれが、甘く切ないストーリー構成に寄与しているのだが、このタイムマシンが12年前に戻されるという結末に矛盾が生じていることを著者は分かっているのだろうか。

 『フライデイ』 谷甲州
 帰還までに数十年を要するという宇宙への旅立ち。登場するのは宇宙船で唯一の乗務員である主人公と、フライデーという地球外知性体だけなのだが、ユニークな時間理論を展開してゆくため、飽きずに最後まで楽しく読ませてもらった。

 以上の四作であるが、全編文字が大きいのでとても読み易く、あっという間に読破してしまった。

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2012年8月16日 (木)

トータル・リコール

★★★

 1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で製作されたSF大作のリメイク版である。このオリジナルを観たのは、もう22年も昔の事なので、その内容については余り詳細には覚えていない。覚えているのは、当時まだ絶頂を極めていた赤絨毯の大劇場『新宿プラザ劇場』の1044席を全て埋め尽くすほどの超満員だったこと。ストーリーはハチャメチャだが、とにかく当時としては目を見張るもの凄い特撮に度肝を抜かれたこと。とにかくテンポが早くどんでん返しが多くてメチャメチャ面白かったこと。この三点である。

Recool

 それに比べると、リメイク版のほうは、超美麗なCGの普及による特撮技術の目覚しい進化はあるものの、もうCG慣れしてしまった観客にはさほどの驚きがない。いまの特撮からみれば大幅にチャチだったはずの22年前のほうが、何十倍も驚異的に感じたのは、昨今の異常なCG進化という時代背景の悲しさなのだろうか・・・。 またコリン・ファレルも魅力的な俳優ではあるが、なにせ絶頂期のシュワちゃんと比較されてはたまらない。

 それから、良い悪いは別として、ストーリーも大幅に改ざんされており、オリジナルが明るい映像だったのに対して、本作では暗い背景と映像にチェンジされている。これはクリストファー・ノーランなどの台頭による時の流れを感じるが、好き嫌いは個人的な好みの問題だろう。
 まあ良く出来たリメイク版ではあるのだが、もともとがストーリーがハチャメチャだが、卓越する特撮技術とスピード感を売りにしていた作品である。だがもはや、特撮に脅威を感じなくなってしまった現在では、かなり旗色が悪いよね。それに味付けが超エンタメである限り、暗いイメージより明るいイメージと、シュワちゃんの卓越した存在感に軍配が上がってしまうのは致し方ないだろう。

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2012年8月14日 (火)

バンジージャンプする

★★★

 大森の夜は寂しい。ましてや、うらぶれた西友の5階にある『キネカ大森』は、なお淋しい。
 わずか40席余りの小さなスクリーンを観ているのは、ご近所のおばさん達約20名といったところである。

 タイトルも奇妙だが、ストーリー展開は、もっと変てこりんな韓国映画だった。主演がご存知おばちゃん達のアイドルであるイ・ビョンホンということで、なんとか20人集まったのだろう。
 東京で短期間の単館上映しか出来なかったのもうなづけるほどの珍味?な作品だった。
 前半は独特のおとぼけを混入した、韓流を象徴するような純愛映画だったのだが・・・彼女とホテルに入ってからおかしくなってしまった。
 その後いつの間にか、数年間の時空を飛び越えて、学生だったイ・ビョンホンが、数師になってしまうのである。ここでかなり戸惑う人が多いと思うが、ストーリーが続く中で、少しずつ『彼が時々過去を思い返している』ことに気付くはずである。
 そこまでは何とか許せるのだが、後半からの真面目なのか、おちょくられているのか、皆目見当のつかない展開にだんだん腹が立ってくるだろう。
 ラストシーンこそ!と最後の期侍をかけるのであるが、馬鹿にされたままバンジージャンプのシーンになってしまった。
 おいおい、有望なる青年の未来はどうなるんだ。そして妻子は一体どうなっちゃうの・・・
 ラスト寸前でうっすらとにじんだ涙も、一瞬にして乾いてしまったじゃないか!
 凝りまくって、変化球を投げるのも良いが、せいぜいカーブやフォーク程度にしてくれ。たとえマンガであっても消える魔球が限界だ。『踊る魔球』はないだろう。

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2012年8月12日 (日)

The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

★★★★☆

 多くの迫害を乗越えながら、ミャンマー(ビルマ)の民主化運動を支え、ノーベル平和賞を授与されたアウンサンスーチーさんの実録ドラマである。監督はなんとあの『レオン』のリュック・ベッソンという、フランスとイギリスの合作映画でもある。
 もはやスーチーさんの名を知らぬ者はいないと思うが、英国人の夫や息子たちとの長期間に亘る別居生活や、夫のマイケル・アリス博士による影の支援については余り知られていないかもしれない。

Sucyy

 母親の病気のため、軍部が独裁を続けているビルマに帰国した故アウンサン将軍の娘スーチーさん。そしてそれを知った民主主義運動家たちに、無理矢理彼等の指導者に祭り上げられてしまう。ここから彼女の引き返せない人生が始まってしまった。
 ビルマの民主化へ大きく貢献し、ノーベル平和賞を貰って歴史にその名を刻んだとしても、家族と10年以上別居し、最愛の夫の死にさえも立ち会えなかった心情はいかばかりだったろうか・・・。ある意味で彼女は、民主主義運動家やビルマ及びイギリス政府などに利用されたのではないだろうか。

 それにしても実に切ない人生である。そしてスーチーさんが、いつも髪に差している鮮やかな花の髪飾りは、再会することなく死別した夫と、かつて誕生日に贈りあった品種だという。彼女にとっては、これをつけることが無言の抵抗の証なのであろう。

 最後に一言。ミャンマーに住むビルマ民族は、性別に関係なく姓を持たないという。アウンサンスーチーの「アウンサン」も姓や父姓ではなく、個人名の一部分に過ぎない。従って彼女の名前は、「アウンサンスーチー」であり、「アウンサン・スーチー」と分割することはない。ただ日本のメディアでは、便宜上「スーチーさん」と報道されているのである。

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2012年8月10日 (金)

ステップフォード・ワイフ

★★★
 
 1975年に映画化されている『ステップフードの妻たち』のリメイク版で、主演はニコール・キッドマン。前作はスリラーだったようですが、本作はコメディー仕立てでした。

 テーマは現代アメリカが抱える、『女性上位社会と優しい旦那たち』の世界を皮肉って、古き良き昔の男性上位の社会を懐かしむ・・・というところでしょうか。
 テーマとしては悪くないし、明かるい映像も楽しめましたが、今一歩踏み込みがなく、途中でネタバレしてしまうので盛り上がりも、感動もあり得ないのです。
 もしニコール・キッドマン主演でなかれば、この映画は成り立たなかったと思います。予告編やポスターに見た彼女のバービー人形振りに惹かれて、ついつい観てしまった人も多いことでしょう。
 しかし期待を裏切られることを覚悟して観たほうが良いと思いますよ。

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2012年8月 8日 (水)

セブン・デイズ・イン・ハバナ 

★★★☆

 キューバの首都ハバナの一週間を、7人の監督が綴ってゆくオムニバスである。あるときは、旅行や仕事でキューバを訪れた外国人が主役になり、またあるときは現地の若い女性や年配者が主役となる。いろいろな人々の日常などを断片的に描きながら、ハバナの街の顔をなぞってゆく。

7dayss
 普段全くと言ってよいほど縁のないハバナやキューバ人であるが、この映画を観ているとなんとなく街並みだけではなく、キューバ人たちの生活観が見えてくるから面白い。キューバだけではないが、暑い国の男性は総じて陽気だが楽天的で怠け者が多い。その反動なのか女性たちは気が強くて働き者である。

 とにかく全編を通して、ラテン系のリズム感が漂うしっかりとした音楽が非常に良かったし、情熱的なダンスのノリもなかなかだったね。また7人の監督によるオムニバスではあるが、いくつかの作品が少しずつ繋がっているようだ。僕的には、7作の中では歌手のセシリアが恋人を捨ててスペインへ行くかどうかで悩む作品が一番面白かった。少し訳が分からなかったのが、『儀式』をテーマにした異様な作品だ。まだキューバには、このような前近代的な儀式が残っているということだろうか・・・。
 いずれにせよ、ちょいと毛色の変わったフランス/スペインの合作映画であった。

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2012年8月 4日 (土)

僕はビートルズ

 イージス艦と自衛隊員が太平洋戦争の最中にタイムスリップし、偶然救助した日本軍の将校に未来を知られてしまう。そのためにその将校によって、アメリカに先駆けて日本軍が原爆を創り、それを戦艦大和に積んでアメリカへ出航することになってしまう。・・・というような展開に終始し、なんと全43巻にも亘る大長編となったかわぐちかいじ氏の『ジパング』というマンガがある。

 本作は21世紀の日本で、ビートルズのコピーバンド、ファブ・フォーとして活動していた若者4人が、ビートルズがデビューする直前の昭和30年代の東京にタイムスリップするのである。そしてビートルズの曲を自分達の曲だと偽って発表してしまうのだ。お陰で当然のように、彼等は日本で爆発的なヒットを飛ばし、やがて英国のメディアにも進出して行くのである。

 その頃デビュー直前のビートルズが、この曲を聴いてショックを受け、演奏活動を休止して行方不明となってしまうのだ。果たしてビートルズは復活できるのか、またファブ・フォーは、このままコピー活動を続けて行くのか・・・。
 なんと戦争と音楽との違いを除けば、前述した『ジパング』とそっくりである。未来のものである「原爆」と「ビートルズの曲」をめぐり、その可否を問う展開となっているからである。そして結末もほぼ同じように推移する。
 両作品とも、かわぐちかいじ氏が描いたマンガなので感覚的に同じような展開を目指したのかもしれないが、なんと本作には別途原作者がおり、この原作の審査委員だったかわぐちかいじ氏が、自ら希望して作画を担当したと言ういきさつがあるらしい。

 いずれにせよ、ビートルズが創った曲を完全盗作してしまうのだから、ビートルズファンには非常に不愉快な作品だったようである。それでかわぐちかいじ作品としては、全10巻という以外に早く、あっけない幕切れで終了してしまったのだろうか。ただ過去へのタイムスリップという展開で、未来の知識を利用して成功するという話であれば、結局はビートルズに限らず、やることなすこと全てが、未来からの盗作?ということになってしまうことになる。

 あと過去の人物と現在の人物の比較をしてもあまり意味がない。五輪を観ても分かるが、ほぼ全ての競技において過去の記録よりも現代のほうが優れているはずである。これは決して過去より現在が優れているというのではなく、現在の技量は、過去の技量と努力の積み重ねに過ぎないからなのだ。
 だからビートルズとファブ・フォーの技量を比較しても意味がないのである。こうしたことも含め、少なからずもビートルズファンの一人として、ファブ・フォーのコピー活動には、なにかやり切れない想いを抱きながら、このマンガを読み続けていた。だがタイムトラベルファンとしては、それなりに楽しめた作品だったことも否めない。

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2012年8月 2日 (木)

ダークナイト ライジング 

★★★★

 クリストファー・ノーラン監督が描くバットマン三部作の最終章である。本作の背景は、前作から8年後という設定になっている。今回のバットマンには、いつもの派手さや力強さが全く感じられない。また続編なので、前作を観ていない人には、ちょっと分かり辛いかもね・・・。

Darknight

 バットマンはこの8年間ずっと表舞台から遠ざかり、引きこもり生活を送っていたのだ。そして精神だけではなく前作の戦いによって、身体もガタガタになって、杖をついて歩いている始末。だから派手なパーティーや女たちとのスキャンダルも皆無である。そしてウェイン財団を追われ、自己破産までしてしまうのである。そのうえこれまで彼を支え続けた執事のアルフレッドにまで見放されてしまう。さらに登場すれば警察に追われ、怪人ベインには力でねじ伏せられてしまい、洞窟の中に閉じ込められてしまうのである。

 なにせバットマン史上最悪の設定で、最大級の危機が怒涛のように押し寄せてくるのだ。またこのないない尽くしの中で、ベインたちに核弾頭が盗まれて、ゴッサム・シティー壊滅の危機を迎えるという破格のスケールに膨張するのである。もはやバットマンの領域を超えて、スーパーマンの領域に踏み込んできた感があり、私の心の中は、なんとなく割り切れない感情が渦巻くばかりであった。クリストファー・ノーラン監督の感性には、つねに脱帽しているが、今回ばかりは少しやり過ぎたような気がする。

 終盤の僅かな時間以外は、全くいいところのない正義の使者と、やりたい放題で何をやっても上手くゆく大悪人を対比しながら、延々と続くこの作品を正視続けるのはかなりキツイ。その上大音響を伴う暴力シーンばかりが続く。余りの激しさに、一緒に観ていた妻が途中で気分が悪くなり退場してしまった。
 かなり評価の高い作品ではあるが、やはり観る人を選ぶ作品なのかもしれない。ラストシーンはアルフレッドの夢想なのか現実なのか、いずれにせよロビンに世代交代するというスイッチが押されたことだけは間違いないだろう。このあたりはなかなか洒落たエンディングだったね。

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