ブラック・ブレッド
★★★☆
タイトルから想像すると、なにやら妖しげでミステリアスな雰囲気が臭ってくる。だがこれは直訳通り「黒パン」という意味であろう。主人公の少年が、警察で父親の取調べを待つ間に、パンが与えられるのだが、白いパンに手を出すと、パンを運んできたおばさんに、「あんたは黒パンしか食べられない」と言われて、黒パンを手渡されるシーンがある。
つまり当時のスペインでは、「金持ちは精製された白い小麦で作られ た柔らかい白パンを食べ、貧乏人は雑穀とかがいろいろと混ざって固い黒パンを食べていた」ということを示唆しているのである。(だったらあのおばさんは、はじめから黒パンだけ持って繰ればいいのにね。・・・と突っ込みたくなる。)
本作はスペイン内戦終了後のカタルーニャ地方の山あいの村で起きた殺人事件を題材にしたスリラーだとか、ダークファンタジーということになっているが、オープニングの殺人シーン以後の展開は、スリラーやファンタジーというよりも、リアリティを強調した社会派映画といった臭いがする。また殺人犯はフードで顔を隠していたが、それが誰なのかすぐに判ってしまった。従って犯人探しのミステリーとしては余りいただけない。あくまでも社会派映画として観ないと、かなり退屈だし期待外れになるので要注意。
そしてこの映画の本当のテーマは、貧困と差別なのではないだろうか。貧困は前述した黒パンとなぜ犯人が殺人をしなければならなかった原因として描かれているし、差別はホモやら肺病患者たちへ向けられているようだ。
またラストは皮肉な結末となり、少年は黒パンを捨てて白パンを拾うのだが、それが本当に幸せだったのかは謎のまま、ヨーロッパ映画らしく、含みを残したまま終映となってしまった。
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